【特集IR】8000人のスタッフとコミュニケーションをとるメルコ人事担当の技術

統合型リゾート事業=IRを世界展開するメルコリゾーツ&エンターテインメント・リミテッド。マカオでの成功から、わずか十数年で急成長した企業の経営理念のひとつは、従業員を大切にする精神。バイスプレジデント「シティ・オブ・ドリームス」人事担当のラクエル・ノゲイラさんが語るIRで働く意義とは?

人が利を生む。ゆえに人に投資し、幸せを育む

メルコグループの従業員(契約社員・パートタイマーも含む)は現在、約5万人。コタイ地区のシティ・オブ・ドリームスだけでも8000人もいる。ラクエル・ノゲイラさんはその人事を担う重役。適正な人員配置はもちろん、従業員に働きやすい環境を与えることも任務の要だ。

「事務職の従業員を英語ではback of houseあるいはback officeと言いますが、メルコグループではheart of houseと表現します。私たち家族を陰で支える彼らこそ、家の中心だと考えているからです」

社員間のコミュニケーションも垣根がなく、平等かつ透明性を重視している。

「ベルボーイとマネージャーも、コーヒーを片手に何でも正直に話せる関係です。お互いの信頼感を得ることを目的にしたコーヒーセッションというミーティングがあるんです。単なる雑談なのですが、円滑な人間関係のベースがあれば、問題が起きても対処が早いですから」

施設内にある3台のタブレット。これはキャリアアップを望む社員がその意思を具現化するためにある。職種は約800種。誰もが新規募集の最新情報にアクセスできる。

このようなさまざまな取り組みは、職階に関係なく行われる。例えば、役員たちを倉庫に連れていき、1日中、必要な物資をカートに詰めこむ作業に協力してもらう。現場の問題に直面することで事の本質が見えてくる、in your shoesの感覚。相手の立場に立ってみるという意味合いだ。

「従業員の訴えには聞く耳を持ち、必ず何らかのアクションを起こして、フィードバックするようにしています。そして、一番大切なことは、全員が楽しく働けること。その幸せな気持ちが、お客様へのサービスに反映されると思っています」

人という経営資源はデリケートだが、よりよく交流すれば、最大限の効果を発揮する。人に投資することがモットー。人事はそのためのheart of houseなのだ。


RAQUEL NOGUEIRA
バイスプレジデント「シティ・オブ・ドリームス」人事担当  シティ・オブ・ドリームスに所属する8000人の人事を担い、そして2児の母親としての日々もこなす。「ひとりひとりとの透明性、何でも正直に話し、クリアなコミュニケーションを取ることを一番、大事にしています」

Text=窪川寿子 Photograph=長尾真志