至高のホテル 今、どこより気になるホテル Vol.02 パレスホテル東京

新生パレスホテル東京の幕が開いてから1年半。丸の内の中心という立地で法人需要が多かった老舗が今、女性や若い世代からも注目されているワケとは。

ウエディングはここまで来た!列席者を感動させる宴

新郎新婦によるファーストダンスに続き、列席者たちも続々フロアにでてステップを踏んだという。音楽と趣向を凝らした披露宴は4時間に及び、大いに盛り上がった。

 ロビーからエスカレーターを上がり、2階大宴会場のホワイエへ。と、そこには4mにも及ぶ紅葉のアーチが! 予想だにしなかった光景に、招かれたゲストたちは一瞬息を飲み、そして、「おおっ!」「うわぁ!」と感嘆の声を上げる。あるゲストは言う。「窓の外に広がる和田倉濠の緑とあいまって、木立の中に身を置いているかのような錯覚に陥った」
 嬉しい驚きは、会場内でも待っていた。1160平方メートルの広さを誇る大宴会場の壁は、赤や黄に色づいた紅葉の並木で彩られ、大型スクリーンには紅葉のアートワークが映しだされている。さらに、ゲストを迎える音楽は、オーケストラによる生演奏という豪華さだ。

ピアノに弦楽器、管楽器まで入った本格的オーケストラ。音楽に合わせて光の演出もなされ、ゲストを魅了。

 これは、2012年11月に行われた、俳優・別所哲也氏・美奈さんご夫妻の披露宴でのこと。「20代の“青春”の時代に出会い、これまでふたりが過ごしてきた時間の長さと深さが育んだ成熟した“今”。それを“赤秋”という言葉をコンセプトにして表現したい」という別所夫妻独自のイメージを具現化させていったという。
「披露宴のテーマに据えられたのは、おふたりが大好きだという映画『恋人たちの予感』です。ニューヨークが舞台でしたので、各テーブルの札はニューヨークの通りの名前にし、ニューヨークの紅葉を再現いたしました」と、担当したウエディングプランナーの黒沢祐子さん。
 この時使用した紅葉の大枝は、なんと約600本! 葉が落ちやすい紅葉を美しい状態で運ぶのは至難の業だ。それでも実現させたのは、ホテルの飾花を手がけるフラワーデザインMassa Nakagawa氏と山口祥次郎氏(MUKU)の、「ゲストの願いをかなえたい」という一心からだ。

祭壇のバックにはお濠の緑が。高層ビルと自然との絶妙なバランスがセントラル・パークを彷彿とさせる。

 こんな風にゲストの想いを細やかに汲み取り、形にすべくホテル一丸となって力を尽くす。そうした姿勢も評価され、婚礼部門が好調で、土・日曜、祝日は来年夏まで予約でいっぱいだという。婚礼は、新生パレスが最も力を入れているもののひとつ。幅広い層が集まるため、ホテルを知ってもらういい機会になり、レストランや客室利用につながる可能性も高い。現在、婚礼予約客の約8割が旧ホテルを知らなかった層というから、狙いは当たったといえよう。
 摩天楼と豊かな緑が共存するロケーション、自然との調和を意識したスタイリッシュなインテリア、そして、スタッフの情熱。この競演こそが、新生「パレスホテル東京」最大の魅力だ。

 別所夫妻を魅了した景色は、客室でも堪能できる。位置するのは8~18階と20~23階だが、狙いたいのは和田倉噴水公園側に面した低層階。大きな窓の外には、高層ビルをバックに木立が広がり、“都心のオアシス”を実感できる。
 今回撮影したのは最もスタンダードな「デラックスルーム」だが、それでも45平方メートルと十分な広さを確保。液晶テレビは最小でも46インチ、ベッドはシモンズ製マットレスを採用するなど、設備も充実している。タオルは今治製、急須は南部鉄器など、メイド・イン・ジャパンにもこだわる。何より印象的なのは、ナチュラルな色使いと、日本の草花をモチーフにしたデザイン。明るく軽やかで、女性からも支持されそうだ。
 この客室をはじめ、ロビーやメインバーなどのデザインを手がけたのは、イギリスGAデザインインターナショナルのテリー・マクギニティ氏。都心でありながら自然や日本を感じさせるロケーションに触発され、西洋の感性に和の要素を融合させたデザインコンセプトを打ち立てたという。随所に“日本のおもてなし”を感じられるホテルは、ゲストにとって、もうひとつの我が家になるはずだ。

予約するならここ!お濠(ほり)を望む低層階

ガラスで仕切られたバスは、リラックス度満点。バスアメニティは、館内の「エビアン スパ 東京」でも用いられているフランスのアンヌセモナン製。

5階のエビアン スパ 東京内には、距離20mの屋内プールにジャグジーを併設。窓の外には都会の摩天楼が広がり、朝は爽やかさに満ち、夜は幻想的なムードに包まれる。

客室隅のキャビネットを開くとルームバーがお目見え。湯呑みは益子焼、茶殻入れは有田焼、ティーバッグ入れは越前漆器など、ティーセットも伝統工芸品というこだわりよう。

舌で感じる歴史 新旧の美味 
代々受け継がれる“今井マティーニ”

初代チーフバーテンダーを務めた故・今井清氏。ジンやシェーカー、グラスをあらかじめ冷やすスタイルは彼によって確立された。「お酒を傷つけないように」優しくステアーすることで生まれたドライでまろやかな美酒は、今宵もゲストを心地よく酔わせる。¥1,500

「ロイヤル バー」
正面玄関脇にありながら、隠れ家のような趣のメインバー。
営業時間:11:30~24:00(金曜・祝前日は~翌1:00。土曜・日曜、祝日17:00~24:00)

三段重で供されるアフタヌーンティー

女性や外国人客に人気なのが「アフタヌーンティー」¥3,800。漆塗りの三段重に収められているのは、スコーンやスイーツのほか、ひと口サイズのお稲荷さんに和菓子といった和洋の美味。セットのドリンクは飲み替えが可能。提供は14:00~16:30

「ザ パレス ラウンジ」
ロビーに隣接する「ザ パレス ラウンジ」は、イギリスの邸宅をイメージ。夜はピアノなどの演奏が楽しめる。
営業時間:10:00~24:00(金曜・祝前日(平日のみ)~翌1:00)

丁寧な仕事ぶりが光る2大人気メニュー

とろりと黄身が流れだす「エッグベネディクト」¥2,400は、卵とジャンボンブランを使用。塩コショウをしてからひと晩寝かせた「国産牛のローストビーフ」¥4,600は、しっとりジューシーな焼き上がり。いずれも厳選した食材を、手間暇かけて仕上げた自慢のひと品。新旧の味が一度に味わえるのは贅沢。

「グランド キッチン」
朝食からディナーまで対応するオールデイダイニング。エッグベネディクトは朝食セットの「パレス・モーニング」¥4,700でもオーダー可。
営業時間:6:00~23:00

ずっしりしたチョコが味わい深い(左)
侮るなかれ。濃厚なチョコガナッシュは、パンというよりスイーツのよう。長さ10cmほどのミニサイズ。チョココルネ¥230

今も昔も愛される不動のベストセラー(中)
なめらかな口当たり&リッチな味わいのクリームの下には、ほっくりとしたマロンペーストがぎっしり。マロンシャンティイ¥630

コーンのほのかな甘みがやみつきに(右)
ホテルを代表するシグネチャーブレッドといえばパン・ド・マイス¥294。ずっしりと重みがあるのに、口どけは軽く、ふんわり。

ペストリーショップ「スイーツ&デリ」は大手町駅直結の地下1階という好ロケーション。パンやスイーツのほか、ラウンジで人気のジャムなども販売している。営業時間:10:00~21:00

Text=村上早苗、牛丸由紀子 Photograph=赤間剛夫(UNISON/Weding)、鈴木拓也、西川節子、渡辺琢哉(Nacasa&Partners)

*本記事の内容は13年11月取材のものに基づきます。価格、商品の有無などは時期により異なりますので予めご了承下さい