今からすぐできる! パニックにならずに平常心を保つ14個の方法!

新型コロナウイルス感染が世界的に拡大するなか、今なお続く、さまざまな不安と混乱――。だが、こんな有事の時だからこそ、平常心を保つことこそが、今をベストにし、明日を切り拓く一番の鍵になる! 9年前の東日本大震災時に雑誌「ゲーテ」で記事にした、自律神経の名医、小林弘幸・順天堂大学教授による平常心を保つためのメッソドを再録。 呼吸法、食事、入浴法など、日々のちょっとした工夫で心を整える14の方法を紹介する。

①1対2の呼吸をする

人は、不安やストレス、怒りなどのネガティブな感情に襲われた時、必ず呼吸が浅くなっている。すると、副交感神経の働きが下がり、平常心を失うだけでなく、血流が滞り、身体の調子まで悪くしてしまう。そこで、「あ、まずい」と思った時は、1対2の呼吸をすること。1で吸って2~3倍の長さで吐く。別に腹式呼吸など難しいことは気にしなくていい。


②「さけとかめ」を口癖にする

パニックを防ぐには、日頃の危機管理=準備が重要だ。忘れ物というミスを犯してパニックにならないためにも、毎朝、「さけとかめ」(さ=財布。け=携帯。と=時計。か=鍵。め=名刺)を口癖にしよう。「さけとかめ」と書いた紙を玄関に張っておくのもいい。さらに手帳には、財布を紛失した際に、連絡すべき銀行やクレジットカード会社の電話番号をすべて書いておく。万が一の時も、一瞬で平常心に戻ることができる。


③水を1日1.5ℓ飲む

脱水症状になると血管が収縮し、副交感神経がガクンと下がる。熱中症で倒れるのは実は、体内の電解質のバランスが崩れる前に、脱水症状で血管が収縮して倒れる場合が多いのだ。だから、1日1.5ℓは水(水分)を補給しよう。理想的な飲み方としては、まずは朝、1 杯の水を飲む。胃腸を動かすと胃・結腸反射で副交感神経が上がるので、朝の水は一石二鳥なのだ。また、飲酒の際は特に水を飲むこと。ワイン1杯につき水1杯、これが理想的。


④自然を味方につける

視覚・嗅覚・聴覚をどう味方につけるかでも人生は変わってくる。特に水、香り、音楽、自然はすべて副交感神経の強い味方。ゴルフの横田真一プロが芝の匂いや風の香りを味方にして復活優勝を遂げたように、平常心が乱れた時は空を見上げ、風や花の香りをかごう。人間はひとりで生きているのではない。人間はもちろん自然とともに生きているのだ。また、時差による影響も西回り(自転と逆)で行くほうが自律神経の乱れが少ない。


⑤ゆっくり表情を変えずに淡々と喋る

言葉は速くなると呼吸が浅くなる。すると自分の平常心が乱れるだけでなく、聞き手の副交感神経も下げる。だから、会議などで一番相手を納得させるいい喋り方は、ゆっくり表情を変えずに淡々と話すこと。ゆっくり話すほど自分が話すべき内容が明確になり、相手にもよく伝わる。そういう意味では、最高のリーダーとは、事実を伝えながらも、周りの人に不安を与えず、自律神経を安定させる喋り方ができる人だ、とも言えるだろう。


⑥一日の終わりに日記を書く

反省し、それを消化することで、人は自律神経が安定する。だから一日の終わりに、7行前後の日記を書こう(3年日記)。ただし順番は、最初は一日で一番失敗したこと、最後は一番感動したことにする。こうすれば暗い気持ちにならず、安眠できる。そして、必ず手書きにすること。書くことは、実は人間の本能。人間は頭でいくら思っても学習しない。手で書いて、目で見て、はじめてインプットされるのだ。だから外国では文書に必ずサインをする。


⑦各季節ごとに1回、血液検査に行く

健康への不安も平常心には大敵。そのためには各季節ごとに1回の血液検査がベスト。年に1~2回ではダメ。体調の変化や、稀に癌の発生を見逃してしまうリスクが一気に高くなるからだ。さらに検査は、常に信頼できる同じホームドクターにしてもらうこと。そうすれば小さな数値の変化に気付き、早期に病気を発見できる可能性が高まる。今、癌をはじめ、ほとんどの病気は早期発見で治る。面倒、怖いと逃げても不安の解消にはならない。


⑧言葉の勇気を伝える

言葉には人の一生を決めてしまうほどの威力がある。人を安心させるのに「大丈夫だ」という言葉ほど重要な言葉はない。医師がふたりいて、骨折患者に、ひとりは「まだ全然くっついてないね」と言う。もう一人は「まだだけどもうすぐ、大丈夫ですよ」と言う。同じことでも患者に与える希望はまったく違う。ひと言で人が生き返ることもある。だからリーダーこそ、人に勇気を与え、自律神経を安定させる言葉を伝えるべきなのだ。


⑨口角を上げて笑う

口角を上げてニコッと笑うと副交感神経の数値がぐんと上がる。また、笑うことで癌細胞をやっつけるナチュラルキラー細胞まで増える。ある余命3ヵ月と診断された小児癌の男の子が、父親と世界中に好きな蝶を追いかける旅に出たら、半年後に癌が消えてしまったという話もある。本当に好きなことをやって笑っていると、こんな奇跡も起こり得るのだ。だから、どんな時でも口角は上げたほうが絶対にいい。怒って副交感神経を下げても何のメリットもない。


⑩朝、ゆっくりと歯を磨く

“ゆっくり早く”という流れが、自律神経の安定=平常心にはベスト。その手始めにはぜひ、朝の歯磨きを意識してゆっくりにしてみよう。そうすれば、そのゆったり安定したいい流れが、一日ずっと続きやすくなる。それでも仕事中に焦ったり、ストレスを感じた時は、一回、立ち止まるか、あるいはすべての動作をゆっくりにしてみよう。例えば目の前の書類をゆっくりめくるのでもいい。そうすれば、呼吸が自然に安定する。


⑪15分、40℃のお風呂に入る

夜にスムーズに副交感神経を上げることは、安眠熟睡の最大の秘訣。そのためにベストな入浴法は、ややぬるめの40℃のお風呂に10~15分入ること。すると、適度に深部体温が上がって、副交感神経が上がり、末梢の血流がよくなって、ポカポカの状態が長く続く。逆に、43℃などの熱いお風呂に入るのは、医学的には非常によくない。血管が収縮して、血液がドロドロになる。また、シャワーだけというのも深部体温を下げるのでダメ。


⑫上を向いて本物の勇気を持つ

悪い流れを断ち切るには上を向くこと。上を向くと気道がストレートになり、自然に呼吸が安定する。しかしそれでもダメな時は、一歩前へ出る本物の勇気を持つことだ。昨年、復活優勝を果たした横田真一プロの18番ホールのセカンドショットも、最後はその勇気で決まった。上を向き、風の匂いをかぎ、自然の力を借り……でも最後を決めたのは「一線を越える勇気」。明治大学ラグビー部の故・北島忠治監督の「前へ」という言葉は、まさに名言なのだ。


⑬ヨーグルトと乳酸菌を摂る

腸は「第二の脳」といわれるぐらい、心と密接な関わりがある。だから腸内環境がよくないと、自律神経の安定はなかなか図れない。つまり腸内環境を整えることが副交感神経を上げる=平常心を保つ近道なのだ。そして腸内環境をよくするためのお薦めは、ヨーグルトなどの発酵食品と乳酸菌。特に病院処方の乳酸菌は効果が高い。腸の働きがよくなり、結果、思わぬダイエット効果をあげるケースも多い。


⑭朝、走らない

朝は一日のうちで一番交感神経が上がる。そこで、体の硬い時にジョギングなどの息が上がる激しい運動をすることは、副交感神経を下げるので良くない。ジョギング中に血圧が急上昇して倒れる人が多いのも、自律神経が乱れ、血管が収縮したゆえのケースが多い。朝のやる気全開のテンションは、ぜひ仕事のほうに向けるべき。お薦めは、四季の自然を感じながらの夜の散歩。自然の力と歩くリズムが副交感神経をより上げてくれる。


Hiroyuki Kobayashi

順天堂大学医学部総合診療科・病院管理学教授。ロンドン大学附属英国王立病院、アイルランド・トリニティ大学附属病院、順天堂大学医学部小児外科助教授を経て、現職。専攻は、外科学、スポーツ医学、リスク管理学など。また、多くのトップアスリートに「150%のパフォーマンス」を引き出すための助言も多数行っている。 


※ GOETHE(2011年6月号)より転載