星野陸也プロがトーナメント中に必携する練習器具とは?【プロキャディ出口の目⑩】

プロキャディの出口慎一郎氏がプロトーナメントの裏側で起きていることをロープの内側から独自の視点でレポートする連載「出口の目」。キャディを務めるプロのことはもちろん、ロッカールームでの他選手の会話や練習場で気になったこと、さらには選手たちのプライベートなことまで様々な切り口でプロゴルフの面白さを伝えていく!


プレー前後で異なる練習の意味を知る

トーナメントに観戦に行かれた際は是非練習場でプロの練習をじっくり観察してみてください。片山晋呉プロがいろんな道具を使って練習することは有名ですが、各選手がそれぞれにテーマを持って練習しています。今回はそんなプロのトーナメント中の練習について話したいと思います。

トップ杯東海クラシックの週に星野陸也プロが珍しく用意している全ての練習器具を使って練習したいと言い出しました。もちろん練習器具を使って練習すること自体は珍しいことではないのですが、おそらく星野プロの中で、全ての練習器具を使ってまで確認したいことがあったのだと思います。

ちなみに星野プロがトーナメント中に持ち歩いている練習器具が素振り用のバットタイプのもの、スーパーグリップといパター用の太いグリップをさしたクラブ、そして柔らかいシャフトを入れた6番アイアンです。左打ち用のクラブもありますが、これはほとんど使いません。スーパーストロークを指しているクラブは手首の余計な動きを抑えるための練習器具で、柔らかいシャフトはタイミングを合わせるための練習器具です。

トーナメント中、選手たちは朝のスタート前に練習し、ラウンド後にも練習をします。このプレー前とプレー後では練習の意味がちょっと異なるんです。

もちろん選手によってやり方はその時の目的によって練習法は異なりますが、朝の練習では自身が今取り組んでいることを中心に練習します。一方、ラウンド後はスイングをリセットする意味の練習になります。

どういうことかというと、コースに出ると傾斜があったり、風があったり、様々なシチュエーションの中でゴルフをやらなければなりません。例えば風が強い日は、左右に曲げたり、上下に打ち分けることをやり続けます。その結果、スイングが無意識の間にズレるというか、バランスが悪くなっていたりするんです。これはプロの世界では当たり前のことで、そのズレをプレー後の練習でリセット。要するに明日に向けて、体の状態を練習によってもう一度元に戻しているわけです。

片山晋呉が練習器具を駆使する理由とは?

片山晋呉プロのキャディをやらせてもらっていた時に「晋呉さんはなぜそんなに練習器具を使って練習するんですか?」って聞いたことがあります。片山プロの答えはとにかくスイングの効率を上げたいからだとのこと。片山プロの場合、ラウンド前にも練習器具を駆使して練習を行います。とにかくスイングの効率を上げるための練習とは何かを常に考えているのです。

片山プロから聞いた言葉で印象的だったのが「ゴルフのスイングの調子は山手線のようなもので、ぐるぐると回るように変動するもの。だからどこかに自分の起点を作っておかないと迷った時や調子が悪くなった時にリセットすることができないんだ」と。

片山プロが考えた理想の動きがあり、それを練習器具を使うことで実現する。それがスイングを効率よくリセットする1番の方法なのです。

読者の皆さんも練習場に行かれると思いますが、自分の基本を探す練習法を見つけると、スコアは驚くほど安定すると思いますよ。次はパッティングなどもう少しプロの練習法を掘り下げてお話をします。

続く

Shinchiro Ideguchi
1983年生まれ。ディライトワークス所属。2013年よりプロキャディとして活動をスタート。プロキャディの世界では異色とも言える脱サラからプロゴルフの世界に飛び込んだ。昨年から星野陸也プロをメインにキャディを務め、今シーズンも星野プロを中心に比嘉一貴プロらのバッグを担ぐ予定。2017年には片山晋呉プロの専属キャディとして1年を通して戦い、これがプロキャディとしての大きな機転となった。その後メンタルトレーナーの資格を取得するなど、プロのより良いプレーを引き出すために様々な勉強を積んでいる。


Composition=出島正登



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