"世界最大"フランクフルトモーターショーで見た最新ドイツ車~吉田由美の世界のクルマ見聞録⑦

女性カーライフエッセイスト・吉田由美は、日本列島だけでなく世界中のさまざまな国にひとりで飛び、クルマの最先端を肌で感じ続ける"現場主義者"である。ゲーテWEBでは『吉田由美の"世界のクルマ"見聞録』と題し、彼女が実際に現地に出向き「見て、聞いて、乗って、感じた」ことを独占レポート。第7回は、世界最大のモーターショー、フランクフルトモーターショー2019(IAA)について。


約15年前から世界各国のモーターショーへ

9月中旬に「フランクフルトモーターショー(IAA)」の取材に行ってきました。

フランクフルトショーは2年に1度行われるモーターショーで、「世界三大モーターショー」のひとつ。フランス・パリモーターショーと交互開催で行われるので、フランクフルトに来るのも2年ぶり。

私は15年ぐらい前から世界各国のモーターショーに足を運ぶようになりましたが、以来、フランクフルトショーには欠かさず来ていて、おそらく今回で6~7回目だと思います。

最初に来た時はフランクフルト中央駅近くの治安が悪い地域に宿をとりました。そこは、タクシーの運転手さんに「一人で出歩かないように」と言われるようなエリア。同じホテルに宿泊していたプレスの方々と時間を合わせて常に数人で移動するという対策を取りました。知らないって怖いですね。次からはそういう場所は避けて宿泊場所を選ぶようにします。

ドイツメーカーの威信をかけた大規模ブース

フランクフルトショーの大きな特徴は、何と言っても規模が大きいこと。会場がやけに広いのです(と言っても昨今は中国のほうが大規模かもしれませんが)。そのため、プレスならだれでも乗れる無料の車が敷地内を走り回ります。これは各メーカーの最新モデルで、プロモーションも兼ねていますが、これがあるのとないのでは大違い。だいぶ疲労軽減と時間の節約になります。

そしてドイツメーカーが頑張るので、世界のモーターショーの中でも外せないモーターショーのひとつです。どこの自動車メーカーも同じですが、やはり自国での開催のときは、力が入ります。そのため、ドイツメーカーのブースはほかの国での開催のものより大規模で、お金の掛け方が半端ではありません!

また、ドイツメーカーの場合は、IAAでのブースのコンセプトが世界各国のモーターショーで使われるようになります。

幻のクルマ「アウディ e-tron Sportback」も目撃!

今回のドイツメーカーの中でも注目は何と言ってもフォルクスワーゲン(VW)グループ。

なかでもフォルクスワーゲンはエンブレムを刷新して「VW」マークの文字を細く、「W」の文字が少し前に出る2Dに変更。またフォルクスワーゲン初の市販車の電気自動車「ID.3」を発表。そして現在、ドイツ・ニュルブルクリンクでEV最速記録を持つ「フォルクスワーゲン I.D.R」の姿もありました。タイムは6分5秒336。2個の電気モーターによって最高出力500kW(680PS)とのことです。

また、すでに完売しているランボルギーニ初のバイブリッドモデル「Sian(シアン)」や、ポルシェ初の電気自動車「Taycan(タイカン)」を一般に初公開。またアウディでは、2台が今回のフランクフルトショーで発表。なかでも「AI:TRAIL」は、タイヤがゴツくむき出しでワイルドな未来型SUV。一方、車内はシンプルでスッキリ。ドアは観音開きで薄めのシートに、後席はハンモックをイメージするようなシートになっています。

更にアウディではプレスコンファレンスでステージ前にいた人しか見られなかった幻のクルマ「アウディ e-tron Sportback」も目撃! こちらは今年11月に開催されるロサンゼルスショーで正式発表されますが、その前にドイツで一瞬ステージに出てきて何も紹介されないまま一周ターンテーブルの上で回転してすぐに引っ込んだというサプライズ。個人的には、10月に東京モーターショーが開催されるというのに、それをスキップしてLAショーというのが残念でなりません。

BMWでは次世代のコンセプトカー、「BMW VISION iNEXT(ヴィジョン iネクスト)」。SAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)なのでフロント部分の縦の面積が大きく、キドニーグリルが縦に巨大化。なので正面から見るとポッカリ口が空いている感じに見える愛嬌のある顔。2021年から生産予定の「iNEXT」のコンセプトカーで、Bピラーが無く、観音開きになるそうです。このクルマは、運転の選択ができ、「ブースト」モードだと自分で運転し、「イージー」モードだと車両が自動運転をしてくれ、その時はハンドルが少し運転席から遠くなります。

また、BMWはX6の漆黒、‘世界で最も黒い"ベンタブラックの「THE X6 VANTABLACK」を発表。これは反射率がわずか0.2%という、光を反射しない黒のコーティングで、まるでブラックホールのようです。

メルセデスベンツは電気自動車EQファミリーで初のセダンとなるコンセプトカー「VISION EQS(ヴィジョンEQS)」を世界初公開。そしてフォーミュラEの体制と「メルセデス・ベンツEQ シルバーアロー01」の発表も行われました。

ほかにも、ランドローバーは「ディフェンダー」、日本メーカー唯一のホンダは電気自動車「ホンダe」の市販車を世界初公開していました。

存在感を発揮した中国メーカー

アメリカ系や大部分のイタリアやフランスメーカーもほとんど出展していませんでしたが、そこに敢えて出展していたのが中国メーカー。中国のVIP御用達ブランド(日本でいえばセンチュリーのようなもの)「紅旗」はハイブリッドスポーツカー「S9」や2020年に発売予定という電気自動車「E115」で存在感を醸しだしています。

そしてホール4では、「モーターワールド」という、ヒストリックカーの展示&販売が行われていました。

誰かが言っていました。「モーターショー会場でヒストリックカーを展示・販売するようになったら終わりの始まりだ」と。確かに振り返ってみると、私が海外モーターショーに行き始めて間もなくフランクフルトショーは8年前ぐらいがピークで、その後は徐々に縮小傾向になっています。特に今回は急激に失速した感は否めません。そしてそれは世界的な傾向でもあります。

今年10月には「東京モーターショー」も開催されますが、ただでさえモーターショーの今後が問われているのに、東京オリンピックの影響などを受けて不安もいっぱい。でもでもこのピンチを日本のアイデアでチャンスに変えて欲しいと思います。

ちなみに「東京モーターショー」の一般公開は10月24日(木)~11月4日(月・祝)。東京ビッグサイト青海・西/南展示棟、MEGAWEB、シンボルプロムナード公園、TFTビル横駐車場などで行われます。私が所属する日本自動車ジャーナリスト協会が行う「自動車ジャーナリストと巡る東京モーターショー「AJAJガイドツアー」」も(事前チケット購入)行われますので、ぜひお越しくださいませ。


Yumi Yoshida
岩手県生まれ。カーライフ・エッセイスト。自動車評論家(日本自動車ジャーナリスト協会理事)。短大時代からモデルを始め、国産メーカーのセーフティドライビングのインストラクター経て「カーライフ・エッセイスト」に転身。クルマまわりのエトセトラについて独自の視点で自動車雑誌を中心に、テレビ、ラジオ、web、女性誌など広く活動中。3つのブログを展開し、中でも「なんちゃってセレブなカーライフ」は、ピーク時で1日約20万アクセスを誇る。持っている資格は、普通自動車免許、小型船舶1級、国内A級ライセンス、秘書検定、ECO検定、カラーセラピー。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)理事。日本ボートオブザイヤー選考委員。



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