日本一ラグジュアリーな登山プログラム「グラマラス富士登山」とは?【星のや富士】

日本初のグランピングリゾート「星のや富士」では、2019年9月1〜9月9日の期間中の全4日程で「グラマラス富士登山」を開催する。星のや富士が、富士登山のプロフェッショナルの協力を得て、安全かつ快適に富士登山をサポートし、富士山の文化的な背景を学ぶことができるプログラム。ゲーテ編集部は、その唯一無二のラグジュアリーな登山ツアーを体験する機会を得た。


「安心で快適に富士登山を楽しんでもらうプログラム」

6年前に「信仰の対象と芸術の源泉」として世界文化遺産に登録された富士山。それ以来、富士山周辺に点在する浅間神社、登山道の鳥居や社などへの文化的奥深さを教養番組などで見続け、ライフスタイル誌のWEB編集者である私自身も「今年の夏こそは登ってみたいなあ……」と思っていた。しかし、装備不足や未経験という不安もあり、どうにも登る"きっかけ"がない。私のような「登りたい」とは思っているものの、なかなか挑戦できずにいる人が他にもたくさんいることも知っていた。

そんな心境だった今年6月下旬のある日、編集部に「今年9月に星のや富士が主催する"グラマラス富士登山"を体験取材しませんか?」という連絡が入ったのだった。登山経験もなく山に関して全くの素人である私だったが、その情報を聞き付け、真っ先に立候補。「経験がなくても大丈夫ですか?」と星のや富士の担当者に聞くと「今回のプログラムは、安心で快適に富士登山を楽しんでもらうためのもの。全く問題ありません」と返答があった。「ならば」と意を決し、登山を趣味とするカメラマンを誘って体験ツアーへの応募を決めたのだった。

応募を決めた日から始まったプログラム

参加が正式に決まると、登山に向けてさまざまな安全対策のアドバイスが始まった。登山をサポートしてくれる「富士山登山学校ごうりき」のスタッフによる電話やメールによるカウンセリング、そして、体調管理と装備品の両面についてアドバイス。健康面では「健康運動実践指導者」の資格を持ったスタッフが日常生活で行える運動や体力づくりの方法などを知らせてくれる。装備品に関しても、ウェアなどの選び方からザックへのしまい方に至るまで具体的なアドバイスを行ってくれた。私の場合、登山グッズをまったく持っていなかったため、星のや富士経由でレンタルサービスを頼み、すべての装備を揃えた。初心者の私でも、かなり余裕をもって本番の日を迎えたのだった。

登山文化を体感する「星のや富士流御師料理」

本プログラムは星のや富士に前泊するツアーと、後泊するツアーの2種類から選ぶことができる。前泊では、チェックイン後に、登山中のエネルギー補給に最適な「行動食づくり」を行うことができ、後泊では、下山後の疲れた体をやわらげる「フットトリートメントとハーブバス」を受けることができる。私は富士山登頂日の夜に都内で仕事が入っていたため、前泊を選択した。

星のや富士のキャビン

いざ迎えたツアー出発日。お昼すぎにクルマで都内を出発し、15時に河口湖近郊の星のや富士にチェックイン。その後、グランピングマスターと翌日の登山に備えて行動食づくりを行い、18時からはキャビンで夕食「星のや富士流御師料理」(後泊でも登山後の夕食で提供)を体験した。メニューは「ほうとう」や「せいだのたまじ」など地元の郷土料理を参考にしたもので、星のや富士のシェフが監修し、登山前のエネルギーチャージや登山後の疲れた身体を癒すことを目指して作られている。御師(おし)とは、400年以上に渡り富士登山や宿泊の世話をしてきた人のことを言い、まさに、登山前から古くから伝承されてきた"富士の文化"を体験できたのだった。

食事後の20時からは、ガイドの近藤さんによる直前レクチャー。靴の結び方からリュックの背負い方、ステッキの使い方など装備の確認が行われた。徹底した安全対策ですべての準備をしっかり整えた後、施設内にあるクラウドテラスへ出向き、ウイスキーやビールを片手に焚き火ラウンジでほろ酔い気味に……。しかし、チェックアウトは、翌日の10時と登山にしては意外と遅く、前夜もグランピングを存分に堪能できた。

2時間半の高度順応。カメのような速度で登山を堪能

翌朝は、"星のや富士の名物"木箱に入れられた「モーニングBOX」を
キャビンのテラスリビングで楽しんでからチェックアウトした。タクシーで五合目(標高2305m)の富士スバルラインまで向かい、正午頃に昼食をとった後、ガイドの近藤さんと合流し、入念に準備体操。五合目に到着後から実に2時間半、しっかりと身体を高度順応させてからいざ登山開始となった。

ガイドを務めてくれた近藤さんは、山梨県富士吉田市生まれの富士山登山ガイド歴21年、登頂650回以上というベテラン。「富士山登山学校ごうりき」代表として、富士山登山の本質的な魅力を伝えることをモットーに少人数制のガイドを行っている。富士山の登頂率は平均50%程度といわれるなかで、ごうりきが率いるツアーは実に90%を誇る。

「登頂に失敗する方は皆さん、急ぎ足で歩き過ぎて体力を消耗し、途中で断念せざるえない状況となっていまいます。われわれの目的は、あくまでも富士山がもつ歴史や日本人に影響を与えた文化的背景を登山を通して学ぶこと。ですので、ゆっくりゆっくり歩いていきますよ」

近藤さんの講釈を聞きながら、カメのような速度でひたすら歩き続ける。200mごとに休憩を取り、前日に準備した行動食でエネルギー補給。登山を開始してから4時間で山小屋のある七合目(標高約3000m)の山小屋に到達。急ぎ足で登頂することが目的ではないため、まったく疲れていない。目の前に広がる雲海を眺めつつ、まさにグラマラスな登山ツアーだと私は確信した。

ホテルレベルの山小屋でのサービス

18時に山小屋に到着してひと休みすると、グラマラス富士の真骨頂が待っていた。宿泊先は、標高約3000mにある「海抜一万尺東洋館」。一般的な山小屋は大部屋での寝袋や二段ベッドが主流だが、このプログラムでは1組(5人まで)1室を貸切利用。プライベートが保たれた個室で、しかも、星のや富士と同じリネンでベットメイクをしたマットレスを設えている。

ほかにも、山小屋での足湯のサービス、近藤さんによる星空案内……。そして極めつけは、夕食だ。星のや富士監修のビーフシチューや赤ワインが振る舞われ、まさに絶品としか言いようがなかった。標高3000mで快適で贅沢なラグジュアリーホテルレベルのサービスを受けられるのが、このツアーの最大のポイントだ。21時には就寝。いざ登頂を目指す翌日は4時起きだったが、睡眠時間を7時間もとることができて休息は十分だった。

混雑せずゆっくりと堪能できる七合目でのご来光

最終日は午前4時に起床。山小屋付近でご来光を堪能し、夜が明けた1時間後に山頂を目指して出発した。「ご来光=山頂」というイメージを持っている方も多いが、グラマラス富士はそうではない。なぜなら、七合目でも山頂にも劣らないパノラマで、混雑せずゆっくりと堪能できるからだ。

そもそも、深夜に山小屋を出発すれば、登山客で渋滞するなかヘッドライトをつけて山頂を目指すことになり、身体への負担が大きく危険が伴う。それに対して、このプログラムは、原則として登山はすべて日中。体力的な負荷が少なく、私のような登山初体験者でも安心して挑むことができた。

休憩と朝食をとりつつ、この日もゆっくりカメのような速度で一歩一歩、歩き続けた。「もうすぐ山頂」という"はやる気持ち"を常に抑えてくれたのが、ガイドの近藤さんだ。マイペースよりも遅い速度で登山を楽しんだおかげもあり、出発から4時間半後の10時半に山頂に到着。心配だった高山病とも無縁のまま、正午には下山を開始。16時には5合目に到着したのだった。

何事もなく下山後に都内で仕事

下山後は、星のや富士であいさつを済ませた後、クルマで都内へ戻り、夜には別の取材へ。ひたすらカメのような速度で歩き続けたことによって、疲労感はなく、心に残ったのは充実感だけ。

まさに、登頂の達成感や絶景を堪能するだけでなく、文化的背景を学び、知的好奇心を満たす「グラマラス」な体験をできた3日間となった。山道の社でお参りをしつつ、ガイドの近藤さんからは植物や自然環境を紹介される。噴火を繰り返して現在の形になった富士山は「日本一」というひと言でおさまるような存在ではない。魅惑的で、幻想的で、文化的。このツアーに参加すれば、その深みを知ることになる。

衣装協力=La Mont(TEL:0555-21-1888)

「グラマラス富士登山」概要
■日程:2019年9月1日、3日、5日、9日(全4回)
*いずれも登山の出発日。星のや富士での前泊か後泊の宿泊予約が別途必要
■定員:1回1組5名まで最少催行人数2名
■対象:小学4年生以上、69歳以下の健康な方
■価格:1名¥118,000/1名(税・サービス料10%別、宿泊代別)
星のや富士
住所:山梨県南都留郡富士河口湖町大石1408
アクセス:河口湖ICから車で約20分
TEL:0570-073-066(星のや総合予約)
チェックイン15:00~/チェックアウト12:00~
料金:1室1泊あたり¥67,000~(税・サービス料10%別、食事別)
https://hoshinoya.com/


Text=鈴木 悟(ゲーテWEB編集部) Photograph=吉田タカユキ