マクラーレンの日本オフィスで見た新しいモーターショーの形【吉田由美の世界のクルマ見聞録⑲】

カーライフエッセイスト・吉田由美は、日本列島だけでなく世界中のさまざまな国にひとりで飛び、クルマの最先端を肌で感じ続ける"現場主義者"である。ゲーテWEBでは『吉田由美の世界のクルマ見聞録』と題し、彼女が実際に現地に出向き「見て、聞いて、乗って、感じた」ことを独占レポート。特別篇の今回は、3月3日にマクラーレン・オートモーティブ・アジア 日本オフィスで行われた「バーチャル・プレスディ」についての速報レポート。

新型コロナウイルスで開催中止も……

私は新しい車や技術をいち早く車を見ることが出来るモーターショーが好き。

そのため年に数回、海外までわざわざ足を運んでいるのですが、中でもスイス・ジュネーブモーターショーとフランス・パリサロンは私の中でのツートップ(笑)。

ジュネーブショーは毎年開催されますが、パリショーは2年に一度。今年はその両方が見られるモーターショーなのですが、ジュ―ネーブモーターショーは世界的な新型コロナウイルスの感染拡大によって直前に中止になるという悲劇。もうガッカリです…。

しかしそんな中でも今の時代、インターネットを使った「バーチャル・プレスディ」と題して各ブランドが行うプレゼンテーションをオンラインで生中継。

マクラーレン・オートモーティブ・アジア 日本支社代表の正本嘉宏氏が解説

私はそれをオンタイムでマクラーレン・オートモーティブ・アジア 日本オフィスで見ることにし、もともとはジュネーブのショー会場で行うはずだったマクラーレンのデザインを統括するロブ・メルヴィル氏に約30分ほどスカイプでインタビューしました。

新車発表会の模様は、最近、インターネットで配信する機会も増えましたが、モーターショーでもそれが行われるなんて…。しかも通常、ショー会場に行かねば見られないプレスカンファレンスを順番にすべて見られるとは、今までありそうでなかった企画。

マクラーレンのデザインを統括するロブ・メルヴィル氏にスカイプでインタビューする筆者

今回、マクラーレンがジュネーブショーで発表したのは旅のためにデザインされた「マクラーレン・ヴァーダント・テーマGT by MSO」、そしてマクラーレン・スーパーシリーズの中で最速ラップを刻む「マクラーレン 765LT」。マクラーレンV8ツインターボで765PS.最大トルクは800Nm、0-100㎞/hの加速は2・8秒。F1と同等のトランスミッションやチタニウム製のエグゾースト、F1スタイルのポリカーボネート製の透明パネル、フロント・スプリッターをはじめフロントバンパー、フロントの床、サイドスカート、リアのバンパーとディフューザーなどはすべて軽量で強度もあるカーボン・ファイバー製。世界限定765台を販売。

マクラーレン 765LT

そして、ロブ・メルヴィル氏へのインタビュー。英語に自信がない私は、通訳の方の助けをお借りしています。 

まず挨拶をすると、ロブさんから「以前、ヒルズであったことあるよ」と言われてビックリ。ロブさんは、私より記憶力が良いようです。

そして私からロブさんへのインタビュー内容は以下の通りです!

Q:新型765LTならではのデザインのポイントはどこですか?

「しっかりとした目的を持ってデザインし、ビジュアルのストーリーを持っています。クーペ、スパイダー、LTとのつながりはストーリーで解釈することができます。それがマクラーレンのキャラクターであり、マクラーレンのプロダクトすべての使命であり、目的です」

Q:ロブさんはどんなものから影響を受けてデザインをしていますか?

「自然、サイエンス、その融合、まわりにあるものすべてです。例えば砂利や、洞窟、風景などすべてがデザインのモチベーションになっています。F1もそうです。本物(オーセンティック)と一体性(インテグリティ)が普遍的な価値を作ると思います。つまり、トレンディなデザインを作ってはいけないということです」

…それは意外です。

Q:新型765LTの中の「マクラーレンらしさ」と「ロブさんらしさ」はどの部分ですか?

「マクラーレンは、すべて緩やかなカーブでできています。フロント左右のサイドから回り込んでいるところ、ドアが720Sのドアにサイドスカートにかけてはタービランスを外に逃がすようにデザインしています。リアはバンパー、タイヤ、ホイールアーチをリアの方に伸ばしているのもマクラーレンのデザインです。私らしさは、マクラーレンと共にすべてをシグネチャーなアプローチにしていることです。たとえば「セナ」はスピードテールやボクシーでスクエアにしていますが、それぞれキャラクターが違います。まずはオーセンテックを理解、追求、そして想像し、クリエイトするのです」

Q:新型765LTの中でご自身が気に入っているのはどこですか?

「クリーンなデザインです。すべてデザインエレメントと融合しています。オーセンテック、ピュア、エモーションなところですね」

Q:日本を意識してデザインしている部分はありますか?

「日本人の気質とマクラーレンはよく似ていると思います。本物の追求、一体感の追求はマクラーレンと共通しています。こだわりや精密性は、気質によるものが大きいと思います」

Q:ロブさんがこれまで見てきた中で一番カッコいいと思う車は何ですか?

「アルファロメオ33。自分がデザインした中では720Sはいい車だと思っています」

Q:カーデザイナーになったきっかけを教えてください。

「子供の頃、絵を書くのが好きでした。いろいろトライしてみましたが、結果、車に落ち着きました」

ロブ・メルヴィル氏は2017年にフランク・ステファンソン氏の後を継いで、スポーツシリーズのデザイナーからマクラーレンのチーフデザイナーに就任。マクラーレンはロブ氏が手掛けた「650S」以降、大きく販売を伸ばしています。この後もどんなマクラーレンの世界を魅せてくれるか楽しみです。

とはいえ、いくらネット時代とはいっても、やっぱりモーターショーは生で見たい!新車も実車を見たいし、ブースの雰囲気も味わいたい。インタビューも相手ときちんと向き合って話をしたいし。バーチャルが可能な時代でも、やっぱり現場に行かないと空気感は伝わらないし、ドキドキもワクワクも無い。今回のバーチャル・プレスデーを体験して、ますます会場で見るモーターショーの魅力を再確認しました。やっぱり私はモーターショーが好き♡

Yumi Yoshida
岩手県生まれ。カーライフ・エッセイスト。自動車評論家(日本自動車ジャーナリスト協会理事)。短大時代からモデルを始め、国産メーカーのセーフティドライビングのインストラクター経て「カーライフ・エッセイスト」に転身。クルマまわりのエトセトラについて独自の視点で自動車雑誌を中心に、テレビ、ラジオ、web、女性誌など広く活動中。3つのブログを展開し、中でも「なんちゃってセレブなカーライフ」は、ピーク時で1日約20万アクセスを誇る。持っている資格は、普通自動車免許、小型船舶1級、国内A級ライセンス、秘書検定、ECO検定、カラーセラピー。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)理事。日本ボートオブザイヤー選考委員。