"scorching"ってなに?~英語力ゼロの私がロンドンに移住したら⑱

35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めて渡英した元編集者。「その英語力でよく来たね(笑)」と日本人含め各国人からお叱りを受けつつ、覚えたフレーズの数々。下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。「人のEnglishを笑うな」第17回!

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イギリスでは天気の話をする頻度が異常に高い

最近、無料のロールプレイングゲームアプリをダウンロードしました。やりだすと止まらなくなり、仕事や英語学習、家事にまで支障をきたしました。アンインストールすればいいのに、それもできず、せめてこの時間を学びの時間に変えようと全ての設定を英語に変更。途端に物語に追いつけなくなり、ゲームをやる頻度がめでたく下がりました。

アパートのエレベーターの中で、語学授業の合間で、役所の待ち時間で、隣り合った人と時間を持て余すことがよくあります。こういう時にさらっと雑談ができるようになればいいのですが、日本でもそういった類の会話は得意ではなかったので、英語となると尚更ハードルが高く感じられます。できる会話と言えば、なんとかの一つ覚えで“It's a nice day today.”(今日はいいお天気ですね)を繰り返すばかり、いい天気でなかった日は何も言えないという体たらくです。

8月、37度を記録した猛暑日にも関わらず、私はエレベーターの中でいつものように“It's a nice day today.”と言いました。相手の方は驚いたように
“It's too much! What a scorching weather ! ××××××(以下聞きとれず)︎ ”

とおっしゃいました。後半部分は全く聞き取れなかったのですが、すでに前半部分のscorching weatherが理解できませんでした。そこで私は、笑っているようにも、困っているようにも、どうとでもとれる微妙な表情をしながらエレベーターを降りました。

scorching=暑すぎる、灼熱の

という意味でした。体温より熱い、37度の日に「いい天気ですね」と言われたらそれは「天気良すぎだよ! 暑すぎるんだよ!」とでも言いたくなりますが、今回はまさしくそういうことでした。

この時のことを、英語教師を目指すイギリス人、トニーに話すと「天気の話を“Small talk”(雑談)でするのはいい心がけだ。イギリス人は天気の話が大好きだ」と言うのです。イギリスの天気は変わりやすく、天気予報はあてになりません。天気予報が晴れと言っても突然、雹(ひょう)が降るなんてこともよくあります。「昨日は寒かったのに今日は暑い」とか「さっきまで晴れていたのにいきなりの豪雨」などコロコロ変わる天気のおかげで、話題は事欠かないうえに「この曇り空、イギリスっぽいよね」なんて自虐を入れるのも大好きだそうです。雑談は好きだけれど、踏み込んだ話をしたがらない、というところは日本人と同じなので、とりあえず、みなさん天気の話をずっとしているそうです。

そんな“Small talk”をする際に、非ネイティブ同士で会話するぶんには、"Strong wind"(強い風) とか "Raining slightly"(微妙に雨が降っている)でも十分通じますが、ネイティブからしたらこれらの表現は違和感があるようで、彼らは以下のような単語を使います。

gale-force(ゲイルフォース)=強風
drizzle(ドリズル)=霧雨
deluge(デリュージ)=豪雨
hail(ヘイル)=雹
pouring(ポーリング)=土砂降り

例えば、
drizzle、delugeだと
The deluge became a drizzle. (豪雨が小雨に変わった)

pouringだと
It was pouring yesterday.(昨日は土砂降りだった)

というように使われます。

ネイティブと雑談をしたければ、このあたりの単語を頭に入れておいたほうがいいようです。

とあるfine dayの日。ロンドンは9月上旬ですっかり秋めいています。

死ぬほど嬉しい! ってなんていう? メッセージアプリから学ぶスラング

英語の上手な人や、ネイティブの人と、メッセージアプリでグループチャットをしていると、時々出てくるこんな単語が出てきます。

Nope

これは
"Do you want to come with us tonight? "(今夜一緒に行く?)
という誰かの問いに対して、英語の上手な人が返した返事です。

グループチャット、みんなが見ているから正しい英文を書かなければと、私は1メッセージ書くのにもとても時間をかけ、おそらく堅苦しい教科書のような英文を打ち込んでいます。普段あまり喋らないのに、メッセージだけはやたら長文で、グループの中ではちょっと奇妙な存在かもしれません。一方で英語を使いなれたこの方は"Nope"一言で終わらせていました。しかし私にはその一言の意味がわかりません。

Nope(ノップ)=スラングでNoの意味でした。

YesのことはYup(ヤップ)とかYep(イェップ)と言います。
フォーマルな場所では決して使ってはいけない言葉ですが、友達同士ではOKなようです。これはイギリスに限らず英語圏の人はみんな使っている印象です。

またメッセージのやり取りの中で、先日こんな表現も見かけました。

I was dead happy!

この"dead"は、まさに日本語でいう「死ぬほど嬉しい!!」という表現と同じです。とっても嬉しい、とっても幸せ、ということです。"dead"で言いたいことを強調する使い方は、"dead hungry"(死ぬほどお腹空いた)などたくさんあります。主にイギリス北部の人が多く使うスラングだそうですが、日本語で「死ぬほど〜」とよく言っていた、30代以降の日本人にとっては、大変使いやすい言葉だと思います。そういえば最近「死ぬほど〜」と言ってる人、あまりいないな、とふと思いました。

MOMOKO YASUI
ロンドン在住編集・ライター。1983年生まれ。男性ライフスタイル誌、美術誌、映画誌で計13年の編集職を経て2018年渡英。英語のプレスリリースを読むのに膨大な時間がかかって現在、仕事が非効率。


Illustration=Norio


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