【特集IR】ツーリズムの専門家がIRを日本の観光産業の起爆剤と考える理由

来たる IR 時代に求められるものはいったい何なのだろうか。スポーツ、食、エンタメ、投資、街づくり、イベンター、観光、ホテル。各界のトップランナーによる分析が明かすのは、IRには日本をさらなるステージへと導く力を秘めているということだ。

外国人向け"道の駅"のような場所

「日本のツーリズム産業は、人材によって発展してきました。人を楽しませることに長けたバスガイドやきめ細かなサービスを提供する旅館の仲居さん。でも、客と直接やり取りをする現場の人材を、経営陣はあまり大切にしてこなかった。雇用契約も不安定。雇用後に人材を教育していくシステムも未整備です。IRには人材育成の場となることを期待したいですね」と、日本大学 国際関係学部 準教授の矢嶋敏朗氏。

アメリカではカジノで働く人はパートタイマーであっても託児所が用意されるなど福利厚生も行き届いている。カジノ経営を学べる大学もある。

「日本のIRには、海外の事業者が参入する見込みです。それが、日本のサービス産業を変えるきっかけになると思います」

とはいえ、IRの中身は海外を模す必要はない。おもてなしの精神に自信を持ち、日本人が得意とすることをやればいい。

「日本人がハワイへ行くと、フラガールと一緒に写真を撮るでしょう。ベタと思えることも、外国人は喜びます。忍者や侍のショーが人気を集める可能性は高いですね。施設の近くにある町工場の見学ツアーも面白い。日本版IRは、街の素顔を見せる外国人向け “道の駅” のような場所にするべきです」

Toshiro Yajima
1987年、日本旅行に入社、営業を経て広報を担当。2016年から約1200社の旅行会社が加盟する日本旅行業協会に出向し、広報室長を務めた。共著に『旅行業概論』(同友館)など。

Text=川岸 徹 Photograph=野呂英成