ミシュラン星つきシェフの特別ランチまで味わえる、新潟県・越後妻有の「大地の芸術祭」とは?

新潟県・越後妻有地域で、3年に1度開催される現代アートの祭典「大地の芸術祭 越後妻有(えちごつまり)アートトリエンナーレ」が7月29日よりついにスタートする。アートを通じた地域活性化の成功の裏には、地域住民参加型の姿があった。

オフィシャルツアーが狙い目

訪れたのは、10年連続でミシュラン3ツ星を獲得している、ニューヨーク最高峰のフレンチの名店「ジャン・ジョルジュ・ゲリスティン」が構える東京店。米澤文雄シェフによる特別ランチが、「大地の芸術祭」のガイドつき日帰りオフィシャルツアー「カモシカぴょんぴょんコース〜里山・土木編〜」でのみ食べられると聞きつけ、試食会へ。

そもそも、「大地の芸術祭」は、金氏徹平氏など日本のアーティストをはじめ、レアンドロ・エルリッヒ(Leandro Erlich)、マ・ヤンソン(Ma Yansong)/MADアーキテクツ、ダミアン・オルテガ(Damian Ortega)ら世界中からのアーティストの新作が発表されるアートの祭典。そして実は、パフォーマンスや食のイベントなど多彩な催しも行われる多角的大イベントなのだ。本芸術祭では「食はアート」という考えのもと、食のプロジェクトも大事にされていて、その目玉プロジェクトのひとつが、今回の米澤シェフのコラボというわけだ。

ひと言で言うと、このオフィシャルツアーは買いである。

9,800円(作品鑑賞パスポート代は別途)で、国の名勝天然記念物「清津峡渓谷トンネル」を改修した新作アートから始まり、一日を通して越後妻有を横断してアートを鑑賞できる。そして極めつけは、米澤シェフ監修の妻有の食材を使った、妻有の伝統を封じ込めた特別ランチ。越後妻有を五感で味わいつくすコースなのだ。

さて、気になるのが、米澤シェフ監修の料理の内容。里山のお母さんたちの話から、その地の郷土料理や雪国の食材保存の文化を生かした手法を考案したそうで、地元食材をまったく新しい手法で、美味しく味わうことができる。

「山菜と言えば春食べるものと思っていましたが、越後妻有の地では、春にたくさん収穫をして、1年中食べる習慣があると聞きました。それが面白いなと」

メイン料理「妻有ポークとふきのとうマリネ 味噌バターソース」には、お米が添えられていた。ジャン・ジョルジュではお目にかかれない組み合わせも、米澤シェフのこだわりを聞けば納得。越後妻有地区には、世界でも有数の美しさを誇る棚田があり、米はそこで手間ひまかけて作られた新潟が誇る名産品なのだ。だからこそ、そんな美味しいお米と合う地元の食材を使った料理を目指したそう。

米澤シェフ監修の特別ランチのメイン「妻有ポークとふきのとうマリネ 味噌バターソース」。(Photo by 城原幹彦)

肝心の妻有ポークだが、実は子豚期より抗生物質には頼らず、穀物主体の特別配合の飼料を与えて飼育され、肉は旨味たっぷりで、脂身まで甘く味わい深い。命ともいえるソースは、松代の麦味噌にふきのとうを合わせたバターソースで風味が口いっぱいに広がる。米澤シェフの手が加わることで、越後妻有の美味がぎゅっとひと皿に凝縮した。

この他、冷汁や八海山を使ったアイスまでこだわった。もちろん9月17日までの会期中、毎日米澤シェフがいるわけではないので、里のお母さんたちが安心して作れるよう、レシピを考案している。里の文化に魅せられた一流シェフと里のお母さんたちの共同作業だ。

今夏で第7回を数える「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」だが、2015年開催時の来場者は51万690人、経済効果にして約50億8,900万円を記録した。実はこの祭典、総合プロデューサーに福武總一郎氏、総合ディレクターに北川フラム氏、そして、オイシックス・ラ・大地の高島宏平氏をリーダーに、安藤美冬氏や為末大氏など総勢19名のオフィシャルサポーターという強力な布陣が構えている。その軸には、越後妻有の住民の人々の協力が欠かせないのだ。

日本が取り組むアートによる地域活性化は、世界から注目を浴びている。アートを通じて人々が集まることで、地元の人々が、地元には世界に誇るべき文化と食と環境があることを再認識する場になった。訪れる人と住民が交流することで、今まで考えもしなかった楽しみ方が生まれる「大地の芸術祭」。

この夏、大地の恵みを味わう旅に出てみては?

Photo by 野川かさね
「大地の芸術祭2018オフィシャルツアー カモシカぴょんぴょんコース〜里山・土木編〜」
7月29日〜9月17日まで毎日運行。越後湯沢駅発着の日帰りバスツアー。開催日の3日前までにネットで予約要。参加費¥9,800(案内ガイドつき。米澤シェフ監修のランチ・バス代含む。作品鑑賞パスポート別途必要)。TEL:0258-29-1515

「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ 2018」
http://www.echigo-tsumari.jp/triennale2018/