日産の新型フェアレディZは"スポーツカーのジャニーズ"【吉田由美の世界のクルマ見聞録㉟】

カーライフエッセイスト・吉田由美は、クルマの最先端を肌で感じ続ける“現場主義者”。そんな彼女が「見て、聞いて、乗って、感じた」クルマの最新事情とは――。

ついに「フェアレディZ」プロトタイプが発表!

今年9月16日に発表となった日産自動車の2ドアクーペのスポーツカー「フェアレディZ」のプロトタイプ「Z PROTO」。

初代フェアレディZが販売されたのは1969年。そのネーミングはミュージカル映画の「マイ・フェア・レディ」からとったものですが、日産では「GT-R」がマッチョな男性的なスポーツカーだとしたら、「フィアレディZ」は美しく優雅な女性的なスポーツカー。そのため、見た目が命です。

今回発表となったのは7代目となる新型モデルのプロトタイプ。つまりまだ試作品なのですが、とはいえ、エンジン関係などはこの後も開発が進められるようです。エクステリアデザインに関しては、ほぼほぼこのままの状態で市販されるとか。だからこそのお披露目となったそうです。

新車に関して初めにざわついたのは今年5月にオンラインで行われた2019年度の日産自動車決算報告会の時。最後に流された動画は、日産が今後'23年までに導入予定の新型車を「NISSAN NEXT」として発表し、「NISSAN NEXT From A to Z」という文字とともに、日産のアルファベットAからZまでの車種をシルエットで映し出すというもの。その中の最後「Z」にはスポーツカーらしいシルエット……。日産で「Z」と言ったらアノ車しか無い!(笑)

それから約4か月後の9月16日、思ったより早くその日はやってきました。コロナ禍のこのご時世だけに、「新型フェアレディZ PROTO」の発表会は一部のメディアだけを招いたものの、基本的にはオンライン開催。その模様は一般にも公開されましたが、リアルタイムで世界中の人が視聴できるので、日本時間平日の昼間にも関らず視聴者は多数でした。しかも、フェアレディZは日本のみならず海外でも人気車種のため、英語と日本語の両方同時配信となり、特に英語版は数十万人がオンラインで視聴となり、驚くほどの盛り上がりでした。

 「Z PROTO」  の実車を見るために代官山蔦屋書店へ

会場は横浜・みなとみらいにある「ニッサン・パビリオン」。翌日からは、発表会とは少しレイアウトを変えて一般公開されました。私も一般公開初日に行ってきましたが、この日も平日なのに結構な賑わいでした。しかも業界関係者もチラホラ。フリーランスは今回のリアル発表会にはほとんど行っていないので、私を含めて皆さんはわざわざ足を運び、世界に一台しかない「新型フェアレディZ PROTO」を見に行ったのです。私が記憶する限りでは、これは珍しい現象。それだけ注目されている車ということです。

「Z PROTO」はこの後、世界中のZファンのもとへ「ワールドツアー」に出発するとのことですが、その前にもう一度「Z PROTO」の実車を見るラストチャンスがありました。10月11日に東京・代官山蔦屋書店駐車場で開催されたフェアレディZオーナーイベント「代官山モーニングクルーズ」。ここでZオーナーに実車をお披露目するというのです。

「代官山モーニングクルーズ」は、毎月第2日曜日にテーマに合わせたクルマが集まるイベント。蔦屋書店の営業前、朝7時~10時で開催されるというので、朝5時起きで行ってきました! 前日まで台風14号の影響は残るものの、当日は曇りのち晴れの予報……。しかし、朝起きてみると小雨がパラパラ。「Z PROTO」は世界に一台しか無いので、雨だと展示中止も考えられます。

大丈夫かな?? と思いつつ、おそるおそる代官山蔦屋書店駐車場に行くと、ありました! 朝早くでも多くの人に囲まれている黄色い「Z PROTO」が! しかし、カバーをつけたり外したり……。というのも試作品のため、細部の詰めが荒く、市販車のように雨対応までされていないのです。気になって日産の方に「雨大丈夫ですか?」と聞くと「大丈夫じゃないです(苦笑)」とのこと。

それでもせっかく集まってくれたZオーナーさんたちに新型を見せるんだという心意気が感じられました。現場に日産のデザインダイレクター入江慎一郎さんがいらしたのでデザインのお話をたっぷりお聞きしました。以下、入江さんにその場でインタビューを行いましたので、掲載します。

―まずはボディカラーについてお聞かせください。

「これは色の層でボディサイドのキャラクターを表現しています。実はグリーンがかったイエローで、シャドー面のほうがややグリーンが強く、この色層の差で立体感を出しています」

Q.イエローにしたのはなぜですか?

「初代Zの生みの親と言われる片山さんの持っていた初代のイエローを現代の塗料技術で再現しました。いろんなイエローがありますが、原点であるソリッドのイエローをリスペクトし、これは最新の塗料だったからこそできたものです。また、Zのストーリーを引き継いでいくということでもあります」

Q.現在、日産にはいくつイエローがありますか?

「3、4種類あると思いますが、Z PROTOのイエローはどれとも違います。レモンイエローというか、赤味の少ない色です。シャドー面がグリーンがかっているのもグリーンが強すぎないようにした絶妙な色です」

Q.他にデザインのトピックはありますか?

「リアのコンビランプが2重になっていて、宙に浮いているように見えることです。歴代でも使っていた楕円形の光の見せ方を現代のテクノロジーで奥行きを出しました。また、リアフェンダー越しに見えるリアフェンダーの盛り上がりも、マッシブにしないギリギリのところにしました」

なるほど。つまり、新型フェアレディZは、イケメンの細マッチョ。スポーツカーのジャニーズなわけですね!(笑)

「今回はすべてイチから設計し、Zマークも新設計です。初代の240Zと同じですが、Zの文字、銀縁の中の白などは初代と同じです。開発陣はもうノリノリで盛り上がりました。スポーツカーは作っている人の高揚感がお客様に伝わらないとダメだと思うんです。嗜好品ですから。21世紀で最もエモーショナルなクルマを目指して作りました」

なんだか作っている人も楽しそうです。この後、新型「フェアレディZ PROTO」は日本を後にしましたが、早く乗れますように。

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吉田由美
吉田由美
岩手県生まれ。カーライフ・エッセイスト。自動車評論家(日本自動車ジャーナリスト協会理事)。短大時代からモデルを始め、国産メーカーのセーフティドライビングのインストラクター経て「カーライフ・エッセイスト」に転身。クルマまわりのエトセトラについて独自の視点で自動車雑誌を中心に、テレビ、ラジオ、web、女性誌など広く活動中。3つのブログを展開し、中でも「なんちゃってセレブなカーライフ」は、ピーク時で1日約20万アクセスを誇る。持っている資格は、普通自動車免許、小型船舶1級、国内A級ライセンス、秘書検定、ECO検定、カラーセラピー。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)理事。日本ボートオブザイヤー選考委員。 現在はYouTubeで「クルマ業界女子部チャンネル」を立ちあげて出演中。
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