綾瀬はるか 「多分すごく負けず嫌いだから中途半端にできない」

大河ドラマの主演以降、老若男女から愛される「国民的女優」の位置を不動のものにした女優の綾瀬はるかさん。「常に役のセリフを覚え続けていた気がします」と多忙を極めたこの10年を振り返る。

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「『あー、休みたいな』と思うこともあれば、『こういう役もやりたかったな』という心残りもあります。だけど、その年頃だからできた役もたくさんあったし、よい経験ができているので、これが私の人生なんだろうなって思います(笑)」

「達観したような発言をした自分にハッと気づき照れくさそうに笑ったり、本誌撮影中の待ち時間に鼻歌を歌ったり。大女優とは思えない気取りのなさが魅力的な彼女。そんな彼女が映画『今夜、ロマンス劇場で』で挑戦した役は、美しさと強さを兼ね備えた王女の美雪役。「すごく負けず嫌いだから中途半端にできない」と自己分析する彼女は、過去の〈王女もの〉の映画を漁り、所作の研究を重ねたという。

「歩き方や仕草、声の出し方など、普段は意識しない当たり前の動作で王女っぽさを表現することはとても難しかったです」

美雪は、モノクロ映画の世界から現実世界に出現し、自分を「見つけてくれた」映画青年の健司と恋に落ちる、非実在のキャラクターだ。

「どの作品も、台本にちゃんと答えが書いてありますが、ファンタジーはいろいろと想像しがいがあります。白黒の世界で生きてきた美雪が、カラフルな世界に対峙した時に感じる新鮮さや驚き。映画館の客席から自分を観る健司さんやお客さんを、スクリーンの中から見ていた美雪の気持ち。そういう感情を常に想像しながら演じました」

人に触れると美雪は消えてしまうという設定もまた、彼女の想像力を刺激した。

「好きな人に触れるという、当たり前のことができないふたりが、すごくピュア。脚本から受けたこの感動を芝居で伝えることが、今の私の仕事へのモチベーションです」

『今夜、ロマンス劇場で』
監督:武内英樹
出演:綾瀬はるか、坂口健太郎ほか
配給:ワーナー・ブラザース映画
2月10日より丸の内ピカデリーほか全国公開
Haruka Ayase
1985年広島県生まれ。ドラマ『白夜行』『ホタルノヒカリ』『八重の桜』、映画『海街diary』など代表作多数。昨年のドラマ『奥様は、取り扱い注意』では、アクロバティックなアクションを披露し話題を呼んだ。2019年放送のNHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』にも出演。


Text=須永貴子 Photograph=丸谷嘉長 Styling=椎名直子 Hair & Make-up=中野明海