練習ラウンドで見た、星野陸也プロと谷口徹プロの密談!?【プロキャディ出口の目①】

プロキャディの出口慎一郎氏がプロトーナメントの裏側で起きていることをロープの内側から独自の視点でレポートする新連載「出口の目」がスタート。キャディを務めるプロのことはもちろん、ロッカールームでの他選手の会話や練習場で気になったこと、さらには選手たちのプライベートなことまで様々な切り口でプロゴルフの面白さを伝えていく!


星野陸也、谷口 徹先生に習う!

今年は昨年に続き星野陸也プロをメインにバッグを担がせてもらっています。国内男子ツアーが4月の東建ホームメイトで開幕し、先のゴールデンウィーク中に開催された中日クラウンズでは宮本勝昌プロが優勝を飾りました。46歳での優勝、本当に凄いことです!

その中日クラウンズでの話しをさせてもらいます。

男子ツアーのトーナメントは開催週の月曜と火曜日が指定練習日で、水曜日がプロアマ。そして木曜から本戦というのが典型的なパターンです。練習日は誰とラウンドするのか、何時からプレーするのかは自由で、コースか大会側に事前に連絡を入れて予約をします。いつも同じメンバーでまわるプロもいますが、今回は星野プロに谷口徹プロと練習ラウンドをしてみては? と提案してみたんです。

その理由は、宮本プロが優勝したことにも少し関係しています。昨シーズンは賞金王になった今平周吾プロをはじめ、自分がキャディを務める星野プロ、稲森佑貴プロ、秋吉翔太プロら若手の台頭が著しかった年でした。その勢いが今年も続くのかと思われがちですが、私自身はベテラン勢が奮起するのではと思っていました。いきなり宮本プロが優勝したのには、予想が的中して自分自身で驚いてしまいましたが。

ベテラン勢が奮起すると感じた理由は今平周吾プロが賞金王になったからです。体格的に大きいわけではなく、プロの中では飛ぶ部類ではない今平プロですが、ショット力、特に100ヤード以内の精度の高さが驚異的なんです。若手が飛距離に任せて勢いづくことは確かにあります。以前はそれに対してベテラン勢も飛距離で対抗しようとしていたように感じていましたが、今平プロの活躍がきっかけになったかどうかは定かではありませんが、最近はベテランの強みを生かす雰囲気になってきた(戻ってきた?)ように感じていました。

開幕戦で小田孔明プロがアイアンのシャフトをカーボンに替えて感触が良くなったのもいい例で、無理をせずに自分のフィールドで勝負をする姿勢がそこにはありました。

また、ベテランプロには若手が真似のできない技の引き出しの多さがあります。ベテランの強みとはまさに100ヤード以内に詰まっているんです。昨年、今平プロが練習ラウンドで谷口プロと練習ラウンドをしている光景をよく見かけました。それに気づいていたので、少し前に自分の方から谷口プロには相談はしていたんです。それが中日クラウンズで実現することができました。

朝早くにスタートして、2人だけの練習ラウンドです。通常、前の組がいない状態なら、2人でハーフ2時間ほどであがってくるんですが、この時は3時間かかりました。ネガティブな意味ではなく、本当に濃い時間だったんです。グリーン周りは星野プロの課題ですが、そこに対して様々な技術や考え方をアドバイスしてもらいました。プロがプロに教えるって、敵に塩をおくるように感じるかもしれませんが、ベテラン勢の皆さんは、そのあたりは来るものは拒まずなんです。もちろんベテランから率先してというケースは稀だと思います。だからこそ若手は勇気を出して、練習ラウンドを申し込むなど、一歩踏み出すことが必要なんです。

ゴルフは個人スポーツで孤独な戦いだと思われがちですが、現場は想像以上にフレンドリーな雰囲気なんです。特に練習日は。今回の中日クラウンズでは練習日もギャラリーの方が観戦できるようになっていましたが、もし近隣で開催するトーナメントでそのような機会があれば、是非現場に足を運んでもらいたいですね。

星野プロが谷口プロから教わった内容は、またの機会に詳しく話させてもらいたいと思います。

②に続く


Shinchiro Ideguchi
1983年生まれ。ディライトワークス所属。2013年よりプロキャディとして活動をスタート。プロキャディの世界では異色とも言える脱サラからプロゴルフの世界に飛び込んだ。昨年から星野陸也プロをメインにキャディを務め、今シーズンも星野プロを中心に比嘉一貴プロらのバッグを担ぐ予定。2017年には片山晋呉プロの専属キャディとして1年を通して戦い、これがプロキャディとしての大きな機転となった。その後メンタルトレーナーの資格を取得するなど、プロのより良いプレーを引き出すために様々な勉強を積んでいる。


構成=出島正登