木村カエラ  なりたい自分になれるかも? ~野村雅夫のラジオな日々 vol.17

現在、大阪のFM802を中心に、ラジオDJや翻訳家などさまざまな領域で活躍する野村雅夫さん。この連載は、野村さんのラジオというメディアでDJをすることの醍醐味や、ラジオで出会ったアーティストとのエピソードを披露してもらう。今回は、来年にデビュー15周年を迎える、初の描き下ろし絵本がヒットで話題の木村カエラさん。


そんなに数が多いわけではないのに、木村カエラさんには会うたびに強い印象を受ける。率直で、飾らず、何事にも自分の好きなように取り組んでいる様子が眩しいのかもしれない。今回も互いに肩の力の抜けた愉快なインタビューとなった。

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どうも、木村カエラです。

ーーチャオ!

チャオ! ハハハ お久しぶりです。よろしくお願いします。

ーーどうも、ご無沙汰しております。カエラさんはね、この春の番組スタート時、すぐにコメントを寄せていただきまして。この番組で「チャオ」と言っていただいたら、自動的にアミーチ(友達)と認定するシステムでやってるんですけれども……。

フフフ

ーーカエラさんは、既にアミーチだったんですよ。

そうですね。その前からも、もう何度かね、会ってますからね。

ーーでも、なんかね、今日は新鮮な気分なんですよ。

なんででしょう?

ーーあのね、座り位置ですね。

確かに。

ーーこの位置関係だと、僕がゲストでやって来たみたいになってて。

そうなの。私がスタジオの入口から奥に座ってるから、私も逆にもともとのDJみたいな。

ーー今日はDJカエラさん、よろしくお願いします。

チャオ〜〜!!

(2人で)ハハハハ

ーーパッと見たら、台本にファッション・チェックって書いてあるんです。

あ、はいはいはい! してくれます?

ーーはい。あ、立ち上がった。今日はこれ、黒ですね。全体的に……あれ!! ちょっと待ってください。パンツの裾が開いてますよ!

そう。雅夫と一緒。

註:僕野村雅夫は、年がら年中、ベルボトムを履いていて、その裾の広がりっぷりがトレードマークになっている。

ーーハハハ! やったよ! 全身は基本黒で、パーカーっぽい、フードのある……。

ロングのね。

ーーそれ、つながってるんだ! ワンピースか! 立って初めてわかるやつだ。なるほど。膝下までありますもんね。

足首までありますね。スリットが入ってて、チャックが付いてるんです。

ーーで、そこからチラリとベルボトムの裾が見えるみたいな。しかも、それが緑なんですよ。

そうそうそう。

ーースニーカーは?

ピンクのコンバース。

ーーイエ〜イ! 僕も今日コンバース!

どうしよ。ペアルックみたいになっちゃった。マズイな〜

ーーハハハ! これはファッション・チェックのやりがいがありましたね。

私も、早く触れてほしくて。ベルボトムに。

ーースルーしたら大変でしたよ。

ほんとですよ、はい。

ーーどうなんですか? 普段はやっぱりカジュアルめですか? で、そこにかなりこだわりがありそう。

なんかね、変わった形の服が好きで。シンプルなんだけど、たとえば、今日着ているのも、手が長いとか。

ーーほんとだ。袖が長すぎる! 手が出てないもの。

でしょ? あとね、フードがもうぬいぐるみみたいにモコモコなの。

ーーそれ、またフードがでかい!

こういうのとか、ちょっと変わった服が好きですね。

ーー今はまた髪が鮮やかだから、黒が映えますよね。

ありがとうございます。

ーーそんなカエラさん、11月21日(水)に、ミニアルバム『¿WHO?』をリリースされます。今回はまたジャケットがね、ファッションというか、フフフ、なんだろう、これは……何かをかぶってますよ。シーツみたいなものかな。

もともとはね、ドレスを着てたんですけど、私は撮影の時もライブみたいにめちゃくちゃ踊るんですよ。で、首のところから裏返ってしまって……。

ーーあらま!

その瞬間の写真なんですよ、それは。

ーーハハハ 激しすぎるでしょ。

なぜその写真にしたかというと、今回は収録曲にタイアップのものがすごく多くて、本当にいろんな私がいるんです。出そうと思えばどんな声でも出せるし、どんな歌詞でも書けるし、どんなキャラにでもなれるんだなって。今回は個性を大事にした作品だったので、「さあ、だ〜れだ? お化けがパーン!」みたい感じで、これが一番いいなと思ったんです。

ーーそういう意図だったんですね。

たまたまひっくり返ってしまった写真が2、3枚入っていて、それを使ったって感じですね。

ーー歌詞カードがまた面白いんですよ。トランプにしてみれば大きいんだけど、どれぐらいのサイズと言えばいいんだろうか、名刺より一回りくらい大きなカードがいくつも入っていて、それぞれ綴じられてないからバラバラなんですよ。その裏にそれぞれ歌詞が書いてあるんだけど、表の写真はまたカエラさんがドレスを被ってる状態でして、ひとつひとつ、たとえばサングラスをかけてる風に落書きっぽくしてあったり、猫っぽくしてあったりとか、まさに「だ〜れだ?」っていう雰囲気なんですよね。楽しいです。

よかった。

ーーそっか、WHO、「誰?」ってのは、そういうことだったんですね。誰にでもなれちゃうぞっていう。

そう。自分探しって、みんなのテーマだったりするじゃないですか。「常に私らしくいたい」みたいにみんな思ってるんでしょうけど、それが「ほんとに、なろうと思えばなれるよ!」っていうようなメッセージが、このアルバムで出せるといいなと、自分の中にありました。

ーー自分探しって言う時に、探す対象となる自分ていうのはひとつだと思われがちだけれど、「実はいくつもあるかもよ」みたいな。

ほんとに、なりたい自分になれるかもよって。悪い方向にも良い方向にも。

ーー「なりたい自分」ね。今の自分とはちょっと違うかもしんないけどっていう。

そんな思いがアルバムになっていきました。

ーータイトルにはクエスチョンマークが付いてるんだけど、スペインなんかで使われたりする逆疑問符っていうのかな。

逆疑問符。そうです。

ーー逆疑問符でスタートして、後ろは普通のクエスチョンマークなんです。こういう表記って、日本ではあまり見ないじゃないですか。

そうなんですよ。変換できないんですよ、携帯とかでは。

ーーほんとね、できないんですよ。

ハハハ!

ーー僕、とあるナレーション原稿をこの間書いてて、この『¿WHO?』ってタイトルを打ち込もうとしても、出ないんですよ。「逆疑問符」ってまず打ってみたんですけど、出ないんです。

出ないですよね。

ーーどうしたら出るんですか?

なんかね、ハテナを延々と変換し続けると、出るんですよね。

ーーあ、そうなんだ! あ〜、先に聞きたかった!

でも、携帯だと出ないです。パソコンじゃないと出なかったよね?(スタジオのサブにいたスタッフにガラス越しに確認して……)あ、出る? ほんと?

ーー出るんだ。あ、じゃあ、みんなやってみて。ハテナって入れて、変換変換変換ってやってると、出るわけだ。

そう。(スタッフによれば)出たって。アハハハ!

ーー僕も今すぐやってみたいわ〜、ハハハ

やりたいね、確かに。

ーー後で早速試してみます。

これ、なんか面白いですね。それこそ、「だ〜れだ?」の雰囲気に近い。

近い! そう、ピカブーじゃないけど、イタズラっぽい雰囲気ですよね。

ーーミニアルバムということで、5曲入ってるんですけど、さっきカエラさんがおっしゃったようにタイアップもいろいろと付いていて、それって企業やらキャンペーンやらがカエラさんに何かを期待するわけじゃないですか。だから、木村カエラはひとりじゃなくて、それぞれに期待がかかったカエラ像ってのがあるわけです。おなじみの『ちいさな英雄』や『HOLIDAYS』あたりも入ってるんですが、ドラマ『プリティが多すぎる』の主題歌である1曲目の『COLOR』が、全体を象徴するものになってますね。

そう。カラー自体に個性という意味がありますけど、「自分を信じて突き進め」みたいなことと、でも「なりたい自分なら何にでもなれる」っていうことと。まさにそういう歌詞が入ってますね。

ーー殻に閉じこもってないで、自由を謳歌してみようっていうところだと思います。あと、3曲目に、これはJALホノルルマラソン2018のキャンペーンソングになっている『Run to the Rainbow』というのがありますが、ここ関西では大阪マラソンが今月25日(日)と差し迫っている状況です。出走する僕はもう、本当に戦々恐々としていますよ。既に浮き足立ってますよ。だって、19日(月)の今から走り込んでる場合じゃないわけで、あとは心の準備だけなんですよ。ただ、いかんせん、これまでの走り込みが生半可だったので、恐らくですけど、当日までに心の準備は結局できないままですよ。

この収録が始まる前、ため息が半端ないっていうね。「呼吸がため息」って言ってましたもんね。

ーーそうそう。名言じゃなくて迷言を出してしまいました。

ハハハ! いい言葉だなと思って。

ーーそうですか? いやぁ、もう困ったもんなんですけど、FM802は大阪マラソンの最中も当然ながら生放送をやってるわけですけど、僕は携帯を持って走っていて、いきなりスタジオから電話がかかってきたりするんですよ。油断も隙もないでしょ?

つら〜い!

ーー走ってるDJに、生放送中のスタジオのDJが「今どの辺?」とか「どんな調子?」とか、聞くわけです。で、これは場合によるんだけど、電話に出たら、それがいきなりオンエアっていうことがあるんですよ。わかります?

ハハハ!

ーーラジオに電話出演するときって、普通は、事前にスタッフを経由して、「それでは、雅夫さん、この曲が終わったらご出演になりますんで」とか段取りがあるもんですけど、いきなりスタジオのDJが喋りかけてくるってことがあって、気が気じゃないんです! なので、一応、当日は僕はradikoを起動して、ラジオを聞きながら……。

流れに乗れるように?

ーーそうなんですよ。だから、最近はその練習も兼ねて、イヤホンの感じをチェックするために音楽を聞きながらジョギングしてるんです。で、まさにカエラさんの『¿WHO?』を聞きながらこの間走ってたんです。やっぱりね、この『Run to the Rainbow』の、僕に与えてくれる力たるや!

やったーーーー!! マジ? ちょー嬉しい!

ーー呼吸も上がってきて、膝も痛いわーっていう時に、口笛も聞こえてきて、「力が入りすぎてるわ、僕。これぐらいの抜き加減やんか!」って気付かされるという。

あ〜、いいなぁ。ほんとですか? 嬉しい。

ーーこうやって、マラソンにテーマソングを寄せるぐらいですから、カエラさんもね、僕の気持ちをしっかり汲んでくれたっていう状況なわけですよ。

はい。

ーーさぞかしカエラさんもね、いくらでも走れるんだろうと。ちなみに、人生の最長距離はどれくらいですか?

えっとね、13キロぐらい。

ーーハハハ!

でも、すごくないですか?

ーーまあね、すごいですよ。ていうか、13キロもなんで走ったんですか?

高校の時に走らされたの。山道を。

ーー山道を? トレイルランみたいな。

そうそうそう!

ーー今はやってるけど、そのさきがけだ。

これ、迷子になったらどうすんのって感じの。

ーーほんとですね。ていうか、高校で走らされるにしては、距離が長いですね。

女子は全員、1年生から3年生まで、13キロ。でもね、結構、順位が良くて。12位とか、11位くらいだったんだよね。フフ。そこで思ったのは、なんでこんなに歯茎が乾くんだろうって。

ーーハハハ!

これは私の人生において必要なのだろうかと。こんな歯茎が乾くことがね。

ーー少なくとも、シンガーとしては絶対に要らないですね。

そうね。結構、苦しみも多いじゃないですか、マラソンって。

ーー給水もないですもんね、学校のやつだし、山だし。

ほんとね、湧き水でも飲まない限り。でも、体力づくりはしなきゃなと思っていて、この『Run to the Rainbow』はホノルルマラソンの曲なので、ここは自分が走って書かないとと思って、ちゃんと走りましたよ。風について、自分がどう感じるかとか。ハハハハ!

ーー何を笑ってるんですか! ハハハ!

ふざけてないよ。マジで、本気だから。そうやって歌詞を書いたんですよ。

ーーそうか。だからこそ! だからこそ、僕の胸にね……。

「ガン!」って来たんだと思いますよ。

ーー来ましたよ。カエラさん、来年は元号も代わって、「平成最後の○○」って枕詞が「新元号最初の〇〇」になるわけですよ。

そうですよね。

ーーどうですか、「新元号最初の大阪マラソン」でカエラさんが記念に走るなんていうのは! いつでも歓迎しますよ。

ほんとですか? 

ーーハハハ! カエラさんが走るなんて言ったら、802はもう全力でサポートですよ。

42.195キロですよね?

ーーそうですよ。

途中で電話かかってくるんですよね?

ーー電話については僕が阻止します。

え? じゃあ、隣で走ってくれるっていうこと? 

ーー走りますよ、そりゃ。

ほんとですか? いや、でも、歯茎乾きたくないんで。

ーーハハハ! やっぱり、ダメか〜。

歯茎が乾くのがちょっと……。

ーー僕はすかさず給水しますよ? カエラさんの分も持って走りますよ。

あ、ほんと? いろんな荷物を持って走ってくれるの?

ーー持つ持つ!

ハハハ! じゃあ、なんか、ちょっと、やってみようかな。

ーーしばらく時間はありますから。ゆっくり検討いただいて。

まずはトレーニングをしてみます。走ってみないと。

ーーその時のBGMには『Run to the Rainbow』がオススメですからね。

最高ですね。ハハハ! ありがとうございます。

ーーともかく、この番組のリスナー(そして、GOETHEの読者)には、ミニアルバム『¿WHO?』を手に取っていただいて、身体を動かす時にも聴いていただくことにしましょう。『Run to the Rainbow』に限らず、最後の『Tomorrow』までどれも心地良くて、ポジティブな気持ちにもなれますしね。で、僕は大阪マラソン、がんばります! 今日はどうもありがとうございました。

がんばってください! ありがとうございました。

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収録が終わってすぐにカエラさんが発した言葉は「あ〜、たくさん笑った」だった。嬉しいことだ。カエラさんは音楽以外にも活動の幅を広げていて、今年4月には初の描き下ろし絵本『ねむとココロ』を出版された。そんな彼女には、12月11日(火)のFM802 Ciao Amici!17時台に、またコメントで登場してくれて、オススメの本を紹介してもらうことになっているので、ぜひ放送を聴いてみてほしい。


野村雅夫
野村雅夫
ラジオDJ/翻訳家。1978年、イタリア生まれ、京都在住。大人のためのミュージック・ステーションとして人気を博すFM COCOLOで、モーニングショーCIAO 765(mon-thurs. 6:00-11:00)を担当するほか、イタリア文化を紹介する京都ドーナッツクラブの代表を務め、映画や小説の翻訳を行う。訳書や映画評、エッセイなど多数。
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