サボン黒石和宏社長が、ずっとやめていたゴルフを再開した理由とは?

若者のゴルフ離れが囁かれるようになって久しい。そんななかでも、変わることなくゴルフを愛し、クラブを握り続けるサボン・ジャパン代表取締役社長の黒石和宏氏に、ゴルフの魅力と、それが仕事や人生にもたらすものの大きさを語ってもらった。

日本のゴルフの雰囲気に身構えてしまう時期もあった

イスラエルで創業し、世界中に展開するボディケアブランド、サボン。死海の塩をはじめとする、ナチュラルな成分をベースにした上質なテクスチャーと使い心地、豊かな香りが支持され、日本でも上陸直後から人気を集めている。このブランドに魅了され、日本展開を実現させたのが、サボン・ジャパン代表取締役社長の黒石和宏氏だ。

黒石氏が、初めてゴルフに興じたのは20代前半、アメリカの大学に留学中のことだった。

「大学のそばに、1ラウンド9ドルくらいで回れるパブリックコースがあったんです。ラジカセで音楽を流しながら、上半身裸でプレイするようなノリでね。ゴルフをするというより、日焼けしに行くという感じでした。そんなだったから、帰国してからは、ゴルフをする気にはならなかったですね。まず、ゴルフ場の値段が高い! マナーも細かいし、しきたりも面倒そう。僕は、学生時代不良でしたからね(笑)。ルールとか、権威みたいなものに身構えてしまった」

「道具にこだわりはなし。どれを使っても、そんなに変わらない気がして(笑)。選ぶ基準はビジュアル。他の人が持っていないような、個性的なものが好き。パターはベティナルディ」と黒石氏。

ところが、40代になると、黒石氏のゴルフに対するスタンスは、がらりと変わる。拒否反応を示していた〝敷居の高さ〞を楽しめるようになったのだ。ゴルフ場には、パブリックやビジターOKなど気軽なコースもあれば、メンバーオンリーのコースもあり、その上に、限られた者にしか門戸を開かない超名門クラブが存在する。こうした階級のようなものの存在を、現在の黒石氏は「あったほうがいい」と、捉えるようになったのだ。

「もっと上を目指したい、上に行けば何かピカピカするものが待っているんじゃないか。ゴルフに限りませんが、そう思って奮起させる場所は必要だと思うんですよ。実際上に行ってみると、見える景色が変わるのはもちろん、出会う人も変わりますし、自分自身の考え方や捉え方も変わります。目指して、頑張って、たどりついた先に待っているものは、めちゃめちゃ大きい。だから、若い人には、上を目指してほしいと思います。少なくとも僕は、一生上に向かって、成長し続けたいですね」

ゴルフ後は肌をクールダウンさせて潤いを補給するボディローション「SPORT Cool D BodyLotion」(右)を。マッサージにはボディ用バーム「SPORT MS Balm」(左)を愛用。

気になるのはスコアより周囲が笑顔でいるかどうか

ゴルフを再開して5年、黒石氏が今目指しているのは、〝みんなが楽しめるゴルフ〞だという。

「平均スコアは100切るくらいですが、70台を目指そうなんて気持ちはありません。それより、一緒に回った人たちに、いかにハッピーな時間を過ごしてもらえるかのほうが、ずっと気になる。僕は、コースを歩いて移動する間やカートに乗っている最中、みんなを笑かそうと、ずっと喋っているんですよ。我ながら、笑いの絶えないゴルフだと思います。プレイがうまくいかなくて、沈んでいる人がいたら? 笑顔で帰ってもらえるよう、(ホールアウト後の)19番ホールで頑張ります(笑)」

周りの人を笑顔にするピエロ役。自身をそう称する黒石氏。それは、ゴルフに留まらず、仕事でも同じだ。スターバックス時代に1杯のコーヒーで人は笑顔になることを知ると同時に、それが自分にも笑顔をもたらすことに気づいた。以来、黒石氏の心のなかには、「人の心に潤いを与えられることを」という想いが大きくなった。そして、香りで人を癒やし、幸せにするサボンと出合って、その魅力の虜になったのだという。

ミネラル豊富な死海の塩100%と植物オイルで作られるSABONのボディスクラブ。「洗うと肌がスベスベに。ゴルフ後はこれで全身を洗い、そのまま湯船ヘ。香りにも癒やされます」。

「ゴルフをしていてよかったと思うことのひとつは、コミュニケーション上の武器になっていること。人間同士の交流には、お互いに通じ合う共通言語が必要。経営者にはゴルフ好きが多いから、ゴルフによって距離が縮まることも、けっこうあると思います。迷っているなら、絶対にやったほうがいい。武器はひとつでも多いほうがいいに決まっているから」

Kazuhiro Kuroishi
1968年大阪府生まれ。アメリカ・マウントユニオン大学卒業後、スターバックス コーヒー ジャパン勤務を経て、2007年SABON Japanを設立。1 号店オープンから10年目となる現在、43店舗を展開。ゴルフ歴5年。ベストスコア89。


Text=村上早苗 Photograph=筒井義昭