老後の趣味なんてもってのほか! アートとしての盆栽の魅力とは?

隠居の楽しみ? そんな単純な思いこみは、この盆栽を前にすれば確実に覆される。骨董から現代アートまで幅広く作品を網羅した桶田コレクションの主宰者がなぜ盆栽に惚れこむのか?


審美眼を研ぐ、盆栽のアートとしての美と迫力

日本人有数のアートコレクターであり、骨董から現代アートまで幅広く作品を網羅した桶田コレクションを主宰するA氏が盆栽を集め始めたのは約3年前。

「繊細でありながら、ダイナミック。盆栽という前にアートとしての美と迫力を感じました」と見る者を圧倒するその魅力について語る。

展覧会ではティルマンスの写真作品と並べるなど、現代アートと日本独自の美である樹齢数百年の盆栽を組み合わせる発想は、A氏ならでは。古い慣習にとらわれず、自らの美意識がその共演の妙を生んだ。

「静謐でありながらその造形美から生まれる盆栽の迫力は、他の作品との相性もいいんです」

A氏の家を訪れる海外のアート関係者も盆栽に注目。草間彌生やウォーホルなどの作品とともに飾られる盆栽に、自身のギャラリーでも飾りたいと相談されることも多いそうだ。

「盆栽がひとつあるだけで、いつもの作品を違う感覚で見ることができる。アートの幅が広がったと思います」

ひとつのアートとしてA氏の審美眼を醸成し、コレクションに新たな視点を与えた盆栽。来年は桶田コレクションの展覧会も開催予定だそう。その美しき共演を感じてみてほしい。


Text=牛丸由紀子 Photograph=鈴木規仁