平均ストローク率を上げるためにトッププロが気にしている3つの数値【プロキャディ出口の目⑬】

プロキャディの出口慎一郎氏がプロトーナメントの裏側で起きていることをロープの内側から独自の視点でレポートする連載「出口の目」。キャディを務めるプロのことはもちろん、ロッカールームでの他選手の会話や練習場で気になったこと、さらには選手たちのプライベートなことまで様々な切り口でプロゴルフの面白さを伝えていく!   


日本とは違うトラックマンの活用術  

最近は日本のツアー会場でトラックマンを持参している選手が増えましたね。トラックマンとは弾道を計測する機器で、飛距離や打ち出し角、スピン量など様々なデータを計測することができます。

そのトラックマンの活用の仕方で以前、全米オープンに行った際に気づいたことがあります。練習場でタイガー・ウッズやマキロイらの練習を観察していると、トラックマンのデータを入念にチェックするのは短いクラブのときだけなんです。むしろドライバーを打ち始めたら、スタッフがトラックマンを片付け始めていたほどです。彼らは何のデータを確認していたのかが気になったので、トラックマンのスタッフに聞いてみると、弾道の最高到達点から地面に着地する際の角度を確認しているとのことでした。

PGAツアーに限ったことではないですが、気候や海抜などの影響でトーナメント会場によってボールの飛び方は変化します。そのため、グリーンをキャッチするにはどれくらいの角度が必要なのかを選手たちは確認しているのです。毎回、同じ球を打つことに意識が行きがちですが、球の落ち方までも調整していることに驚かされました。確かに海外の選手は自分の飛距離の話をするときにトータルの飛距離ではなくキャリーの飛距離を必ず言います。だからこそドライバーではなくウェッジでトラックマンを活用するのだと納得させられました。

最近は以前よりもさらに飛ぶことが重視されているように思いますが、それだけでは勝てません。今年のソニーオープンで優勝したキャメロン・スミスは昨年のHSBCでプレーを見たことがあるのですが、それほど飛ぶといった印象はありませんでした。それよりもグリーンを狙うショットやリカバリーの技術の高さが印象に残っています。そこの技術力があれば、トーナメントによっては飛ばなくても勝つことができるということです。

強い選手ほどパーオン率が高く、その数値を重視しています。日本ツアーでは2年連続賞金王の今平周吾プロは昨年もパーオン率2位で、技術の高さを物語っていますが、キャディをしていて感じることは3つのスタッツを選手たちは大切にしています。それはパーオン率、サンドセーブ率を含めたリカバリー率、そして平均パット数です。この3つの数値を上げることは、結果的に平均ストロークを上げることにつながるわけで、年間を通して活躍するバロメーターにもなります。

もちろん飛ばすことはゴルフの魅力の一つですが、読者のみなさんがより良いスコアを求めるのなら、自分の中での優先順位を変えてみてはどうでしょうか。

Shinchiro Ideguchi
1983年生まれ。ディライトワークス所属。2013年よりプロキャディとして活動をスタート。プロキャディの世界では異色とも言える脱サラからプロゴルフの世界に飛び込んだ。昨年から星野陸也プロをメインにキャディを務め、今シーズンも星野プロを中心に比嘉一貴プロらのバッグを担ぐ予定。2017年には片山晋呉プロの専属キャディとして1年を通して戦い、これがプロキャディとしての大きな機転となった。その後メンタルトレーナーの資格を取得するなど、プロのより良いプレーを引き出すために様々な勉強を積んでいる。  


Composition=出島正登