地球は本当に青かった! 8Kで見る宇宙の映像はこんなにもすごい!!

最近、よく耳にし、実際に大型家電ショップでは目にすることも多くなってきた「8K」。超高精細映像はどう、何がすごいのか。その実力をNHKで体験した。


観るのではなく体感する!

8Kとは、超高精細映像を実現するシステムのこと。テレビ映像の美しさはよく画素数で表される。8K映像は、現行のハイビジョンテレビで見られる映像のおよそ16倍の画素数を誇る。単純計算では、8Kテレビは現行のテレビよりも16倍も映像がきれいということになる。

NHKでは放送技術研究所を中心に長年研究を続け、昨年、世界で初めての8Kチャンネル、NHK BS8Kを開局させた。現在ではすでに、8K専用の放送プログラムが毎日敷かれており、受像環境が整っていさえすればそのすごさを体感できる状態になっている。
 
では、8Kの実力とはどれほどのものか。NHK放送センター内にある専用の試写室で、7月にBS8Kで放送のシリーズ『8Kアースウォッチャー from 国際宇宙ステーション』の映像に触れる機会が得られた。

考えられ得るかぎりの完璧な環境で8K映像に接すると、あたかも目の前に宇宙が広がっているかのような、圧倒的なリアルさが得られるのは間違いなかった。超高精細ならではのどこまでもクリアな映像が広がり、ハイダイナミックレンジで明暗のコントラストは目がくらみそうなほど。色の表現領域も圧倒的に広がって広色域の鮮やかさが実現され、同時に開発された22.2マルチチャンネルの音響は驚くべき臨場感をもたらす。高度400kmから見た地球は、それは美しかった。
 
映像を見ながら、NHK制作局 第6制作ユニット 8K制作事務局長 村山淳さんに話を聞けた。

「技術の開発は1995年から放送技術研究所を中心に脈々と続けられてきました。いよいよ実用化と相成り、その能力を最大限に放送へと生かすべく、チームが結成されたのです」

8K技術を用いた番組づくりが可能になったというアナウンスを受けて、いまNHKのあらゆるセクションから、「うちでも8K番組づくりをやってみたい」という声が集まっているという。そうした制作側の意向を受けて支援をしたり、8K技術がより生きるテーマや取材対象を検討するのが、事務局の仕事だという。

「世界中のテレビ局のうち、8Kの放送をしているのはNHKのみ。ですから私たちが目指すのは、世界最高の映像品質と音響を最大限に生かした世界最高のコンテンツです。海外のクリエイターから自分たちの作品を扱ってくれないかと問い合わせも来ています」

8K放送の能力は、どんな内容の番組で大いに発揮できるかと問えば、ネイチャー、スポーツ、アート、劇場中継、コンサートなどのジャンルが挙がった。

「スポーツ中継が8Kになると、臨場感が圧倒的に増します。たとえばサッカーでは、ボールのあるところに画面を寄せなくても細部までくっきり見えるので、グラウンド全体を広く映す映像を中心に画面を構成できます。ボールを持っていない選手の動きまでつぶさに追えて、チームとしての戦略の意図やダイナミックな試合の流れが可視化できます。スポーツ観戦のおもしろさ、見どころは確実に広がりますね」

ということは、だ。来年に控える東京2020オリンピック・パラリンピックでも、8K映像によってこれまでにない新たな映像体験を期待できそうである。

劇場中継においても、ときにリアルな観劇以上の体験ができる。

「宝塚歌劇のような華やかな群像劇の場合、衣装や動きの華麗さが細部まで楽しめるのはもちろん、舞台全体を映した映像でもあらゆる出演者の姿がくっきり見られるので、お気に入りの演者の演技をたっぷり楽しむことができる。ファンにはたまらない映像体験になると思います」

試写室で観た宇宙の映像は、究極のネイチャー映像と言っていいだろうが、この壮大なテーマは8Kとの相性がすこぶるよいようだ。かつて宇宙から地球を眺めた宇宙飛行士ガガーリンは、

「地球は青かった」

という名言を口にした。8K映像を観たあとだと、これに心から深く頷ける。つまりは地球から離れた宇宙飛行士の体験と同等のものを、視聴者は8K映像から得られるということだ。

なるほど映像の未来とは、リアルと区別がつかないほどの体験をもたらしてくれるものとしてある。8K映像に触れられる機会や場所は、これから格段に増えていくに違いない。

Atsushi Murayama
1990年、NHK入局。ディレクターとして教養系番組の制作を担当。チーフ・プロデューサーとして美術・歴史番組の制作統括を務める。2017年10月、制作局に8K制作事務局が発足すると同時に、メンバーとして参加。以来、数多くの8K番組の制作支援に取り組む。


©NASA
「月着陸50年 ムーンウォーカーが見た絶景」
7月20日(土)19:00~21:00
1969年7月20日に成功したアポロ11号の月面着陸。以来、12人の宇宙飛行士が「ムーンウォーカー」として、月面での様子を撮影してきた。その初の着陸から50年後、およそ300枚のフィルムが超高精細画像としてよみがえる。アポロ11号から17号までに知られざる感動秘話や業績を、臨場感あふれる画像とともに紹介する。


Text=山内宏泰 Photograph=伊澤絵里奈