デビュー20周年のLOVE PSYCHEDELICO~野村雅夫のラジオな日々vol.43

現在、関西のFM COCOLOを中心に、DJや翻訳家などさまざまな領域で活躍する野村雅夫さん。この連載は、野村さんのラジオというメディアでDJをすることの醍醐味や、ラジオで出会ったアーティストとのエピソードを披露してもらう。今回は、LOVE PSYCHEDELICOのお二人。

20年のスペシャルボックス登場

親の影響もあって思春期にクラシックロックを聴き始め、高校時代は自分でもギターを夢中で弾いていたような僕にとって、大学時代に突如訪れたLOVE PSYCHEDELICOのデビューとの遭遇は、ちょっとした事件だった。遭遇と言ったって、当時は一リスナーとしてFM802の電波からその音をキャッチしたってだけの話なのだが、こういう70年代直系のようなロックが流行るなんて、僕も自分の趣味をこれからどんどんと喧伝していけるというもの。そのおよそ10年後、僕がFM802でDJとなり、それからまた10年を経て、デリコのおふたりと姉妹局である大人のためのミュージックステーションFM COCOLOで再会を果たすわけです。こんな未来は自分でも予想だにしなかったですよ。不思議なものです。今月は、3月にスタジオで収録し、4月15日(水)に放送した模様をお送りします。

野村 LOVE PSYCHEDELICOの『Love Is All Around』をお送りしたところで、このお二人にスタジオに入っていただきました。それぞれ自己紹介いただけますか。

KUMI おはようございます。LOVE PSYCHEDELICOのKUMIです。

NAOKI おはようございます。NAOKIです。

野村 KUMIさん、NAOKIさん、チャオ!

デリコ チャオ!

野村 よろしくお願いいたします。

KUMI よろしくお願いします。

NAOKI お久しぶりです。

野村 ですね。前が『LOVE YOUR LOVE』のアルバムのタイミングだったかな……

デリコ どうだったかな……。

野村 多分そうですよね?

KUMI  そうですね。

野村 そうなると3年弱。

NAOKI でもね、時折ね、他局で会ったり……

野村 そうですね。

NAOKI いろんなとこでね……

野村 他局ということで言うと、これ、FM 802と同じフロアでやっていますけど、僕が802からFM COCOLOに移籍してからご出演いただくのは初めてです。

KUMI  はい。

NAOKI そっか。

野村 そうなんですよ!

NAOKI 野村さんもベテラン組に入ってきたということで……

野村 ベテラン組……なんかねぇ……そんなことになっちゃったのかな。

NAOKI でも、なんかさ、若い頃からお仕事ご一緒している仲間が、お互いですけど… ベテラン組になってきて……こうやって長くね、時間が経っても一緒に仕事ができるというのは嬉しいです。

野村 いやいやいや! お二人に混ぜていただくなんて。だって僕はもう素朴な大学生な頃、ただのデリコのファンでしたもん!

一同 ハハハハハ。

野村 それがいつの間にやらということでございます……とにかく、CIAO765が始まって半年を越えたタイミングでの初登場。よろしくお願いいたします。

KUMI よろしく!

野村 LOVE PSYCHEDELICOは結成が1997年。2000年に『LADY MADONNA 〜憂鬱なるスパイダー〜』でデビュー。だから20年ですよね。

NAOKI はい。

野村 そういうタイミングもあって、FM COCOLOでは1月から3月まで、おふたりがDJの番組を毎週ご担当いただきました。その告知も兼ねて、うちの番組でも、デリコはよくかけていて……ていうか、そういうきっかけ関係なく、よくかけてるっちゃかけてるけど(笑)。

KUMI ありがとうございます。

野村 ともかく20周年ですよって話をこの番組でしていた時にチラッと触れたのが、ファーストアルバムがいきなり『THE GREATEST HITS』だったという件……

NAOKI タイトルのことね。

野村 これはやっぱり強烈だったよなあって… そんな華々しいデビューから20年ということになります。3月25日には、それを記念した4つものリリースがありまして……

NAOKI はい。

野村 まずはこちらですよ。さっきお送りした『Love Is All Around』ももちろん入っている『Complete Singles 2000-2019』。

NAOKI はい。

野村 シングル全部、しかもカップリングまで含めて完全網羅。

KUMI はい。

野村 リマスターもしての4枚組です。

NAOKI 大変だったんだよね、リマスター。

KUMI 大変だったね……

野村 僕らはね、「リマスター版でーす!」なんて気軽に言っちゃいますけど、そんなあっさりした物言いは腹が立ってくるでしょ?

一同 ハハハハハ。

野村 音には非常にこだわりの強いおふたりじゃないですか……機材も膨大なコレクションをお持ちで… 具体的にはどんな作業をされるんですか?

NAOKI マスタリングですか?

野村 はい。特にリマスターといった場合に。

KUMI マスタリングはね、もうミックスまで終わった音源をもう1回最終的なお化粧をし直す、ってな感じだから、そんなに大変な作業ではないよね?

NAOKI うん。

KUMI レコーディングの中ではね。

野村 でも、ボタンをポチっとな、というわけにはいかないでしょ? ボタンを押して、あとは40曲分、お茶飲みながら待ってますってわけにはいかないじゃないですか。

KUMI いかないね……1週間近くはかかったかな。50曲近くマスタリングするには。でもすごく楽しい作業です。

野村 おふたりはCDで元々デビューしています。20年経ったとはいえ、デジタルの音のデータがあるわけじゃないですか……具体的にはどう変わるんですか?

NAOKI その工程ってこと?

野村 はい。

NAOKI マスタリングって、1曲ずつ時代時代でというかその日にちでも変わるんです。まぁミックスなんて1日に1曲くらいしかできないですよね……いや、1日じゃできないかな。で、できあがったミックスというものが、例えばLOVE PSYCHEDELICOの場合は、テープなんですよ。あのでっかい、Beatlesの映画に出てくるオープンリールのね……ああいうテープに録っているものもあれば、WAVとか……

野村 ファイルのものもあると……

NAOKI ファイルで保存しているものもあり、時代によってはDATテープなんていう時代もありましたよね。つまり、録音メディアが違ったりするし、1曲ずつ、その時の状況によって保存されているわけじゃないですか……

野村 うんうん。

NAOKI それを1枚のCDとかレコードにまとめる時に、1曲単体で聴いていると気にならないけれども、曲並べると音量のボコボコが出てくるわけです。

野村 なるほど。

NAOKI やっぱりミックスが終わった時点で、その音量の差というのはどうしてもあるもんね。

野村 ええ。

NAOKI それをまず、みなさんが1枚、10曲なら10曲、気持ち良く、車で聴いていてもボリュームを変えずに聴けるように音量を揃える、厳密にいうと、音量というか聴感上、音量を揃えるという作業がマスタリングなんですよ。

野村 はい。

NAOKI だから、そうだな、凄い静かなブルースの弾き語りの後に……

野村 ホーンが入ったりとか…

NAOKI そうそう。あとは、エミネムみたいなのが始まったら……低音が急にでかくなって……またアコースティックな曲になると、差がありすぎて、それが低音のない音楽に聞こえちゃうじゃないですか……

野村 なるほど。

NAOKI エミネムみたいなヒップホップの音楽の低音が凄い曲の後にかかるアコースティックの曲はさりげなく少しベースが入ってない曲でもギター自体の低音が持ち上がったりするんですよね。要は、続けて聴いた時にスムーズに最後まで聴けるような処理を施してあげるのがマスタリング。

野村 おもしろいなぁ。

NAOKI それで、リマスターは何かっていうと……必ずCDとかレコードを作る時はマスタリングされているんですけど……凄い進化が早い分野なんで、今の技術でもう1回マスタリングを施すんです。

野村 やっぱり結構変わっているもんなのですか、20年経つと……でもお二人はそもそもヴィンテージの機材とか使ってらっしゃって……

NAOKI どっちかというと、ミックスだよね、野村さんが今おっしゃっているのは。

KUMI 機材はね……

NAOKI 僕らが直接触ることができるのは、ミックスまでだね。

KUMI マスタリングはマスタリングエンジニアがいて、一緒にやる、という

野村 そこに立ち会うんですね。

NAOKI マスタリングの場合は技術的なこともそうなんですけども、流行り廃りというものがあるんですよ。

野村 あー、時代の音みたいな……

NAOKI 2000年位の頃はどちらかと言うと、すごく音をつっこむという。

野村 わかります、わかります。

NAOKI プッシュした音というのかな。ラウドな感じに聞こえるマスタリングが流行っていたけど、現代は、どちらかと言うと、レコードの文化などが根付いてきたのもあって、大きな音は大きな音で、小さな音は小さな音で聞こえる自然な感じです。これは良い傾向だと思います。

野村 楽器や声がひとつひとつ別にあって、それをガチャッとひっつけたんじゃなく、空間的というか、その場に居るような感覚も味わえる。

NAOKI そうですね。

野村 レコードっていうことでいうと、20周年記念の4つのリリースには、『“TWO OF US” Acoustic Session Recording at VICTOR STUDIO 302』というのもあります。これはビクターのスタジオで録ったものですよね?

NAOKI はい。

野村 これもLPで?

KUMI はい。

NAOKI ねぇ。今回ね。

野村 DVD、映像もあって、『Premium Acoustic Live “TWO OF US” Tour 2019 』。こちらはツアーですね。EX THEATER ROPPONGIのものが収録されています。で、今僕の手元にあるのが、これは……って、重いな、これ!

KUMI ハハハ。

野村 片手で持ち上げるのも一苦労ですよ……ボックスセットですね?

KUMI はい。

野村 20年のスペシャルボックス! 一体、何が入ってるんですか?

KUMI 今話してくださったものが全部入っていて……

NAOKI 全部入り!

KUMI さらに楽譜だったり……

野村 楽譜!

KUMI スペシャルトートバッグだったり……

野村 トートバッグ! デニム生地のやつだ。これ、いいなぁ。

KUMI ボックスごと入るので。

NAOKI 開けてみてもいいですよ。

野村 うわぁ、これカワイイよ、トートバッグ!

KUMI 結構丈夫で、アナログをガサッと入れても持てるというコンセプトで……

NAOKI アナログサイズで。

野村 LPがぴったり入れられて、タフに使えるものって、実はあまりないから重宝しますね、これは。そして、楽譜も手描きの味わいがあって素晴らしい……いやぁ、このこだわりはぜひ皆さんも手に取ってみるべし! どうせならこれでしょっていうボックスセットでございます。

NAOKI はい。

野村 そしてさらに、これまで話したのは、3月25日にもう発売されたものなんですけど……新曲が今日から配信スタートなんですよね。おめでとうございます!

NAOKI ありがとうございます。

野村 タイトルは『Swingin’』となりました。

KUMI  はい。

野村 鈴木京香さん主演、テレビ東京系のドラマ「行列の女神〜らーめん才遊記」のオープニングテーマとなっています。この曲は、頭からエキゾチックな匂いのするギターの音色が鳴りまして……

NAOKI ハハハ。はい。

野村 そこから曲調が変わってという展開です。

NAOKI ハワイアンみたいなね……

野村 で、また曲の終わりにそういう雰囲気が戻るんですけど、このアイデアはどの段階で?

NAOKI えー、なんだろうなぁ。イントロのハワイアンみたいなのは……ハワイアンが好きというより、ユーモアかな……

野村 ユーモア!?

AOKI ユーモアが好きなんですよ。

野村 ふむふむ。

NAOKI で、「たりゃりゃりゃ〜♫」みたいな、カッコよくないスライド……わかります?

野村 はいはいはい。

NAOKI あの、何て言うの? こういうダンス。

KUMI フラダンス。

野村 フラダンスね!

NAOKI フラダンスみたいな人が出てきちゃいそうな……ほっこりするスライドをすると。しかも、この曲のブリッジで、ヤーヤーヤーって変な音で、なんだっけ?

KUMI メロトロン!

野村 メロトロンだ!

NAOKI メロトロンが入ってくるんですよね。なんかちょっとそういうユーモアと音楽の持っているシリアスさのコントラストが面白いかなぁと思って。

野村 なるほど。

NAOKI その2か所から思いついた曲なんです。

野村 あ、そうなんですね! だから、やはりそこが肝だなっていう。

NAOKI そうですね。

野村 『Swingin’』ってタイトルだから、ちょっとジャジーな感じかと、それこそただただカッコいいやつかと思ったら、イントロから「おお?」ってなるんですよ。

NAOKI そうか!

野村 思ってもみなかった角度で入ってきたぞって。ハハハ!

一同 ハハハ。

NAOKI 『Swingin'』と言っといてね〜、ハハハ。

野村 そのギャップが結構楽しいな、と思っていたんですけどもね。今日から配信ということで、ここはやっぱりこの新曲を聴きながらのお別れですが、こうやってお喋りをするのがずいぶん時間が空きましたよ!

NAOKI はい。

野村 もうちょっと頻繁に。

KUMI ハハハ。

NAOKI そうですね。

野村 もうちょっと頻繁にお話しできることを願っております。

NAOKI はい。

野村 それでは、最後に新曲、曲紹介お願いします。

KUMI はい。LOVE PSYCHEDELICOで『Swingin’』。

野村 ゲストはNAOKIさん、KUMIさんでした。ありがとうございました。

KUMI ありがとう!

NAOKI チャオ!


野村雅夫
野村雅夫
ラジオDJ/翻訳家。1978年、イタリア生まれ、京都在住。大人のためのミュージック・ステーションとして人気を博すFM COCOLOで、モーニングショーCIAO 765(mon-thurs. 6:00-11:00)を担当するほか、イタリア文化を紹介する京都ドーナッツクラブの代表を務め、映画や小説の翻訳を行う。訳書や映画評、エッセイなど多数。
気になる方はこちらをチェック