海のF1「Sail GP」という新たなるエンターテインメントとは?【速報現地ルポ】

ヨットレース界に新風を吹き込む、世界最高峰の国別対抗戦「Sail(セール)GP」が9月22日のフランス・マルセイユ大会最終日で初年度シーズンを終えた。100万USドル(約1億755万円)の優勝賞金を懸けた"海のF1"と称される新たなるエンターテイメント。初年度シーズンの"クライマックス"をゲーテWEB編集部員が密着取材した。


国別対抗ヨットレース

2019年2月から始まった「SailGP」という新たなる国際スポーツ大会の魅力に気づいている日本人は、まだそうは多くないはずだ。

SailGPとは、世界最速(時速約100km)かつ世界最大(全長50 フィート=約15m)の「F50」というレース挺を操る6つのナショナルチームが計5大会のグランプリシリーズを転戦。最終戦で優勝賞金約1億円をかけて競う新たなグローバルレースリーグである。

オラクルの創業者で世界有数の富豪のラリー・エリソンと、伝説のセーラーのラッセル・クーツという2人により設立され、今年2月に開幕。初年度は、オーストラリア、中国、フランス、イギリス、日本、アメリカが参加し、シドニー、サンフランシスコ、ニューヨーク、カウズ(イギリス)、そして、ここマルセイユを舞台に激しいヨットレースが行われてきた。

その最終戦を取材しただけなのに、私の心は完全にこの競技に奪われてしまった。

総合1位のオーストラリア、同2位の日本が22日の決勝マッチレースに進出。セーリング五輪メダリストでもあるネイサン・アウタリッジが舵を握る日本は序盤でリードを奪うものの、トム・スリングスビー率いるオーストラリアに終盤に追いつかれ、逆転を許す。必死に反撃に乗り出すも、最後まで順位はそのまま。惜しくも僅差で初代チャンピオンの座を逃してしまった。それでも、日本チームの最高執行責任者の早福和彦氏は「ネイサンを中心に若手も育ち、いいチームづくりができた。大変な1年だったけど、反省を生かし、またポジティブな気持ちで来シーズンを迎えたい」と激動の1年を振り返った。

Sail GPがなぜ魅力的なのかというと、今までのヨット界にはなかった多岐にわたるエンターテインメイト性を兼ね備えているからだ。

世界最古のトロフィーレースともいわれるアメリカズカップに長年携わってきた早福氏は、本大会の凄さについて「国別対抗であること」「世界最速であること」「世界を転戦するツアーであること」「最先端テクノロジーを追求していること」「観客が目の前でレースを見れること」という5つを挙げた。

世界最古であり世界最大の港町であるマルセイユで行われた最終戦は、歴史的建造物に囲まれた抜群のロケーションの中で開催。会場では、最先端テクノロジーを作った映像がビジョンで流れ、常に場内実況がレースを盛り上げる。無料のエリアからVIP席までさまざまな層が観戦に訪れ、まさに大盛況だった。

早福氏は「アメリカズカップも確かに歴史ある伝統的な大会だが、4年に1度で、優勝チームがルールをその都度変えることができる。SailGPはまだ完成形とはいえないが、各チームが毎年同じ条件でレースを行い、世界を転戦するという画期的な大会となっています」と将来性豊かなツアーであることを説明した。

大会スポンサーは、ロレックス、ランドローバー、そしてオラクルらが名をつらね、世界各地で生中継も実施。日本ではDAZNがLIVE配信を行っている。今後は、各チームへのスポンサーも増える予定で、ますます発展していくことは間違いない。

日本チーム最年少で東京五輪出場も目指している高橋レオ(20)は「ヨットで一番の大会だと思う。スピード感も楽しいし、100万ドルの賞金をかけたレースなんてほかにはない」と魅力を語るとともに「1年中、学ぶことが本当に多かった。来年もそれを生かして頑張りたい」とさらなる躍進を誓った。

2021年には日本でも開催予定。"海のF1"と呼ばれる新たなるエンターテインメントから目が離せなくなった。


Text=鈴木 悟(ゲーテWEB編集部)