【特集IR】IR=カジノではない! 専門家に聞くニッポン版カジノの基礎知識

「カジノ営業区域は延べ床面積の3%まで」など、IRの概要を定めたカジノ法案が成立したのが昨年の春。開業は確実に近づいている。これから日本のギャンブル市場はどうなっていくのか? カジノジャーナリスト・片山 真氏に話を聞いた。


Q.日本が参考にすべき
世界のカジノは?

A.成功を収めているシンガポールのカジノ
2014年5 月には、安倍晋三首相がシンガポールのカジノを視察しています。日本のIRはMICE、ホテル、エンターテインメント施設などとカジノが1ヵ所に集まる凝縮型。いいお手本がシンガポールのIR、マリーナ・ベイ・サンズとリゾート・ワールド・セントーサになることは間違いないでしょう。

Q.カジノがもたらすメリットとは?

A.なんといってもその経済効果でしょう
いろいろな試算が発表されていますが、大阪湾の夢洲(ゆめしま)にIRが開業した場合、まず、開発に伴う経済効果が1 兆3000億円超。開業後の近畿圏への経済波及効果は年間7000億円~8000億円におよぶといわれています。訪日する外国人客数=インバウンドも一気に増えることが予想されます。


Q.そもそも
カジノ法案とは?

A.カジノを含む統合型リゾートの法律
いわゆるIRの要件や基準を細かく定めた法律です。例えば、IRにはMICE(マイス)と呼ばれる大規模な国際会議場や展示場が必要なこと。ホテルの基準についてはスイートルームの割合まで記されています。2020年1 月に発足したカジノ管理委員会の役割なども規定しています。

Q.どれくらいの市場規模が予想される?

A.1兆円規模の資金を用意
1ヵ所のIR施設に「100億ドル以上の投資を考えている」と話す海外カジノオペレーターもいるほど。つまり、1 兆円規模です。産経新聞の計算だと、3 ヵ所分で「東京スカイツリーが46本建つ」とか。地方型IRはもう少しコンパクトなものになるとしても、これらを回収し、利益が出るスケールです。

Q.マネーロンダリングの心配はない?

A.世界最高水準で未然に防ぐ
日本版IRは「世界最高水準のカジノ規制」の上に作られることが、法律で定められています。「一定額以上の現金取引の届け出義務」「チップの譲渡、持ち出しの規制」などの対策を講じています。これによって高額を賭けるVIP(ハイローラー)は少し遊びにくくなるかも知れませんが。

Q.ギャンブル依存症の対策は練られている?

A.依存症のための治療プログラムが発足
身近に触れることのできるパチンコや、競馬、競輪などの公営競技と違い、IRが最初に開業するのは全国で3 ヵ所まで。誰もが簡単に行ける場所にはならないでしょう。それでも依存症対策は重要。IRの開業を機に依存症の治療プログラムが注目され、さらに充実したものになるはずです。

Q.カジノのオープンはいつになる?

A.大阪府/市は2025年を目指す
誘致したい自治体と事業者が国へ申請をする期間が、’21年1 月4 日から7 月30日までと決まりました。IRができる場所が正式に選ばれるのはその後。誘致レースで先行する大阪府/市は’25年の大阪万博に間に合わせたいところですが、万博前のIRソフトオープン(部分開業)も選択肢になるでしょう。

Q.いくらから遊べる?

A.¥300~¥1000くらいが妥当
カジノのゲームテーブルには、各々の卓で、最低賭け金と最高賭け金の額が明示されています。ラスベガスの主要カジノのレートから換算すれば、ブラックジャックやルーレットは1 回の勝負が¥500~¥1000ぐらいから。スロットマシンは小さい単位で多くのラインに賭ける形で1 回¥300程度に。

Q.入場制限やドレスコードはある?

A.服装は緩いが入場は厳しい
入場できるのは20歳以上。日本人の入場回数は「連続する7 日間で3 回まで、連続する28日間で10回まで」、またマイナンバーカードで本人確認します。ヨーロッパの重厚なカジノにあるようなドレスコードは設けられず、ラスベガスやマカオと同様、カジュアルな服装でも入場可能となるでしょう。

Q.カジノで遊ぶのに入場料は必要?

A.訪日外国人客は入場無料
日本人のカジノ入場料は1 回¥6,000です。シンガポールでは自国民から約¥12,000(150シンガポールドル)の入場料を取っていますが、その半分にしても世界に例を見ないほど高額です。カジノチップやドリンクチケットで、客に還元するような工夫が必要だと思います。

Text=川岸 徹 llustration=太田丈晴