縦・横って英語で言える?~35歳・英語力ゼロの私がロンドンにいきなり移住体験記⑲

35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めて渡英した元編集者。「その英語力でよく来たね(笑)」と日本人含め各国人からお叱りを受けつつ、覚えたフレーズの数々。下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。「人のEnglishを笑うな」第19回!

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verticalってなに?

先日、公園内を歩いていたら親子連れに“Would you mind taking a photo for us?”(写真を撮ってくれませんか?) と尋ねられ、スマホを預かりました。アングルを探っていたら“vertical!”としきりに言ってくるのですが、「ヴァーティカル」がなんのことかわかりません。聞こえないふりをしてごまかしていたら、スマホを縦にしろ、というジェスチャーで「縦で撮って!」と言っていることがやっとわかりました。

vertical=縦の 

という意味の形容詞でした(動詞を修飾する副詞はvertically)。
 
一方で「横に」はhorizontal(ホリゾンタル。副詞はhorizontally)でした。

そういえば昔こんな単語、教科書で覚えたような気がします、辞書を見たら高校レベルの単語となっていました。渡英1年経っても「縦横」というような、かなり基礎的な単語も頭に入っていないのかぁと少しシュンとしましたが、こんな風に単語に体験がひもづくと忘れにくくなるので、少しずつでもこの体験を増やしていかなくては、と実感した次第です。

ちなみに渡英して3日目くらいの時に、同じように公園で写真を撮ってくれと言われスマホを受けとろうとしたら、なぜだか「一緒に」写真に写されたことがありました。「なんで?」と聞いたら「いろんな人と写真を撮るゲームをしている」と少女に言われました。「変なアジア人と写真を撮った」とかSNSで上がったら嫌だなぁとと思いましたが、少女からのオファーをちゃんと聞き取れていなかったのが原因なので、特に抗議もできなかったことを思い出しました。

疑問形をパッと作れない人に朗報、How comeで乗り切る!

渡英して3ヵ月ほど経った頃の語学教室でのことです。インタビュアーとインタビューを受けるミュージシャン、という設定で即興会話を作り上げる、という授業がありました。

「お前、編集者だったんだろ、やってみろよ」と生徒数十人を前に、インタビュアー役として立たされてしまいました。そもそもインタビュアーとしてもポンコツだったのに、英語で即興、しかも「元プロだった」と思われて、随分ハードルを上げられてしまいました。

震える声で「ミュージシャン役」のチリ人の女性に「あなたの最新作は素晴らしい」というようなことをたどたどしく伝えます。このミュージシャン役の方は、英語も上手なうえに、演技の方も素晴らしく「当然でしょう」と足を組んでどっしりと座っていました。完全にベテランミュージシャンを演じています。

私は再びたどたどしく「どうしてミュージシャンになったのか」「もし他の仕事をしなければいけないなら、何をするか」「あなたは毎日どれくらい楽器の練習をしているか」などの質問をし、その度に「私は生まれつきの音楽家。これ以外の仕事は考えられない」「練習とかじゃないの、楽器を触るのは私にとって当たり前のことなの、でもまぁ1日8時間は触っているわね」と完全になりきった回答をいただき、教室の爆笑をさらっていました。なんとか即興会話と演技が形になり、ほっとしていると。

「君は、質問に疑問形を使わないんだね、それがプロのインタビュアーの手法なのかな?」と他の生徒に言われました。

「まぁ、そんなところですね」としたり顔で返しましたが、実際は全然違います。スピーキングが下手で、疑問形をとっさに作るのが極端に苦手だったのです。

例えば、私がした質問

I guess you practice violin quite hard every day. Isn't it?”(毎日、バイオリンをすごく練習していると思うのですが。そうじゃないですか?)

これは会話の流れの中で、疑問形を作る作業(適切な助動詞を選び、前に持ってくる)ができずに、いつも肯定文になってしまい、慌ててIsn't it?(そうじゃないですか?)をつけて質問にする、という苦肉の作なのです。

しかし、疑問形を作るのが苦手な私のような人にも、やや使いやすい質問フレーズを発見しました。

How come

です。これはWhy(なぜ)の質問で使えます。

例えば「なぜミュージシャンになったのか?」をWhyで聞くとこうなります。

Why did you become a musician?

当然Whyの後に助動詞を入れて、主語の後には、適切な時制の動詞を選びます。私がとっさにできない作業です。

しかしHow comeを使うとこうなります。

How come you became a musician?

How come 以降は動詞を入れ替えたりせず、肯定文でいいのです。疑問文を作るのに慣れるまでの、しばらくの間は「なぜ」系の質問はすべて「How come」で通しました。ただ、あまりフォーマルな表現ではないようで、実際に大御所ミュージシャンにインタビューするなら、やはりWhyを使うべきだそうです。

サイダーなのにアルコールが入っている?

ロンドンにはそこら中にパブがあり、平日でも17時を過ぎればどこでも盛況になります。寒くても暑くても、パブの外に出て、おつまみもなしにみなさんビールを飲んでいる印象です。イギリス人英語教師のアンドリュー曰く「何も食べなければ安上がりで酔えるし、ギネスならお腹もいっぱいになる。みんな早く、安く酔いたいんだよ」ということで、アルコール分9%のチューハイが売れている国から来た身としては、どこも同じだなぁと納得しました。

私も時々はパブに行ってみたりしますが、そこで居合わせた人に“Would you like Cider?”(サイダーはいかが?)と言われて「お酒が飲みたいから、サイダーはいらない」と返してしまったことがありました。しかしこれは間違いでした。

Cider=りんごのお酒

のことでした。日本でサイダーといえば甘いノンアルコールの炭酸水のことですが、イギリスではいわゆる「シードル」のことを指しています。どこのパブにもスーパーにもある一般的なお酒で、女性にも人気です。

アルコール分は4%ほどと軽めなので、私の「お酒が飲みたいからサイダーはいらない」という返しは「もっと度数の高い酒を持ってこい」という意味に捉えられたようで、その後はワインなどをすすめられました。

ロンドンで生まれた新進気鋭のサイダーのブランド「HAWKES」。

お酒の祭典が始まる秋

世界各地でビールの祭典オクトーバーフェストが開催される時期になってきましたが、ロンドンでは10月4日から13日までカクテルの祭典「LONDON COCKTAIL WEEK 2019」が始まります。2010年から開催されているイベントで、10ポンドのチケット(約1,350円)を購入すればロンドン300店舗のバーで、割引でカクテルを楽しめるほか、ブリックレーンの会場に30のポップアップバーが出現する「カクテル・ビレッジ」にも入場できます。他にもカクテル作りのワークショップなど様々なカクテルイベントが開催されるようです。

1パイント(約500ml)のビールやサイダーはどこのパブでも5ポンド(約680円)ですが、バーに行ってカクテルを飲もうとすると12ポンドくらい(約1620円)とちょっと価格が違うので、ロンドンのカクテル好きには嬉しいお祭りです。もしロンドンをこの時期に訪れることがあれば、ぜひ体験してみてください。

(C) DrinkUp.London。昨年の会場の様子。イベントの詳細はこちら(https://drinkup.london/)

※ 価格表記は、2019年9月14日現在 1ポンド=135円

MOMOKO YASUI
ロンドン在住編集・ライター。1983年生まれ。男性ライフスタイル誌、美術誌、映画誌で計13年の編集職を経て2018年渡英。英語のプレスリリースを読むのに膨大な時間がかかって現在、仕事が非効率。


Illustration=Norio


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