「人間失格」「歯車」 エレカシ宮本浩次を育んだ文学


『青年』森鷗外

1910年発表。主人公、小泉純一の恋や心の葛藤を描いた青春小説。「漱石の『三四郎』から影響されたというか、真似をしてる小説なんです。でも、それが実にたくみで、僕は『青年』のほうが好き。小泉純一はピュアで、かわいくて、ロマンを感じます」

『歯車』芥川龍之介

1927年発表。晩年の代表作のひとつ。この年自殺にいたる芥川の幻想や妄想が短い文章で描かれている遺作。「小学生時代の頃の僕は、着物を着た芥川の姿に憧れていました。悩んで疲れて死ぬ小説家にロマンを感じ、カッコいいとすら思ってしまいました」


『つゆのあとさき』永井荷風

1931年発表。舞台は銀座のカフェー(風俗店)。たくましく生きる20歳の私娼と軽薄な男たちの物語。「荷風は全集まで揃えて、ほとんど読んでいます。『つゆのあとさき』は、最初に読んだ作品だから特に印象的でした。風景描写が素晴らしいんですよ」

『人間失格』太宰治

1948年発表。太宰の代表作のひとつ。この年に玉川上水で入水自殺したため、完成した小説としては最後の作品となる。主人公は酒とたばこと乱れた生活の末精神を病んでいく。「高校3年生の時に読みました。10代の僕にとって内容があまりにも衝撃的でした」

『吾輩は猫である』夏目漱石

1905年発表。「猫がかわいくて、おかしくて、声を出して笑って読んでいます」。中学校の英語教師に飼われる猫の視点で描いた人間模様。「『門』も『こゝろ』も『明暗』もですが、漱石の作品は文庫を片手に舞台となった東京の町を散歩できるのも魅力です」


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Hiroji Miyamoto
1966年東京都生まれ。エレファントカシマシで1988年にデビュー。「今宵の月のように」「風に吹かれて」などの名曲を生む。2018年3月17日にさいたまスーパーアリーナで30周年ツアーのファイナル公演が行われる。

Text=神舘和典 Photograph=吉場正和

*本記事の内容は17年12月取材のものに基づきます。価格、商品の有無などは時期により異なりますので予めご了承下さい。 14年4月以降の記事では原則、税抜き価格を掲載しています。(14年3月以前は原則、税込み価格)