アウトプットの先生「まつゆう*」に聞くnoteのビジネス活用法【前編】

クリエイティブ・プランナーのまつゆう*(本名・松丸祐子)はデジタル黎明期から現在まで20年以上にわたり、インターネットの舞台で発信を続け、世界が注目するブロガーとして多くの共感を呼んできた。常にネット先駆者であった彼女は時代に合わせて新しいアウトプットの場を求めてきたが、現在軸足を置いているのが「note」。GOETHEでは、彼女自ら企画を提案したコグレマサトとの共著『noteではじめる 新しいアウトプットの教室』(インプレス)の刊行を記念し、「noteのビジネス活用法」というテーマでインタビューを行った。


――33万人のフォロワーがいたInstagramのアカウントを消して、今年1月に『m's mag.(ミズマグ)』というセレクトウェブマガジンをnoteで開設されました。なぜInstagramをやめてしまったのでしょうか?

Instagramで発信していた時に凄く長い文章を書いていたんですが、なかなか人に読んでもらえないなというのが一番の悩みでした。ちゃんと人に読まれる場所で文章を書きたいという欲求が湧いてきてnoteに主軸を移しました。

その時の私の職業名は「インフルエンサー」と書かれることが多くて。何かで影響力がある人のことをインフルエンサーって呼ぶのだから、職業「インフルエンサー」というのは腑に落ちないところがありました。

「作家」「歌手」「モデル」「女優」「美容師」とか、何かの肩書があってのインフルエンサーだから、私も肩書を取り戻したい。40歳になったし、ここでちょっと人生を見直そう、設計し直そうと思ったというのが最大の理由です。

――発信の場としてnoteを選んだ経緯を教えてください。

そもそもnoteは5年前にオープンした時に、ネット界隈で凄く流行ったんですよ。何が良かったかというと、1記事単位で金額をつけて記事を販売したり、1ヵ月読み放題の定期購読で記事を売ったりすることができたこと。本当はイラストレーターやライターや小説家1本でやっていきたいけど、アルバイトをしながら頑張っている人たちが、少しでも活動しやすいなと思ってそれは凄く画期的だと思いました。

ただ、初期にnoteに凄く人が集まった時って、どちらかというと情報を売る人たちも多かった印象に思いました。たとえば「お金を儲けるための記事」を高額で売るとか。そういうものが最初、集まっていたりしたので、なんとなくお金儲けなのかな? みたいな空気感があって。

それが、ここ1年くらいでまたnoteに人がどんどん集まってきていて、機能なども良い方向にアップデートされているんです。ユーザーの意見が運営の方に届いているのを感じます。

しかも、凄く面白い記事やエッセイや小説を書いている人とか、漫画を描いている人、音楽をアップしてる人、YouTubeにアップしたものをまとめて発信している人がいたりとか。なんか、いろいろなことができるなと思いました。

――実際にnoteを発信の場にしていて、何か気づいたことはありますか?

フォロワー数を気にしないところでしょうか。noteには、「いいね」にあたる「♡」というボタンがあるんですけど、♡の数とフォロワー数ってあまり合致していないんですよ。

フォロワーがかなり多いからといって♡が多くつくわけでもない。フォロワー数十人なのに、1000個近く♡がついてたり。フォロワーが多いからこの人は影響力がありますということではなくて。

シェアできるSNSとの連動が凄くいいので、たとえばTwitterに記事を載せて、Twitterでバズってnoteに戻ってくるという現象も起こります。noteの場合、ユーザーになってなくてもWEBブラウザから♡のボタンを押せるんですよ。だから、noteを書いたら、必ずTwitterでシェアした方がいい。

――ビジネスパーソンにとってもnoteはアウトプットの場として活用できると思いますか?

ビジネスパーソンは、ぜひnoteを使ってみて欲しいです。既にnoteの世界では、特定の分野で秀でている人たちがたくさん記事を書いていて、それを実際にビジネスに繫げているという話もよく聞きます。

noteって1日に約1万本の記事がアップされると聞いているんですが、その中から「編集部のおすすめ」というものが掲載されているんです。それは全部、noteのスタッフが人力で読んでいい記事を探しているんだそうです。良い記事だったかが1番重要で、そこからブレイクしてお仕事に繋がった人もいるんだそうですよ。

『noteではじめる 新しいアウトプットの教室』の共著者のコグレマサトさんが本の中でも書いているんですけど、結局、アウトプットしてないということは、インターネットの世界の中では存在していないのと同じになってしまう。

アウトプットをしているからこそ、いろいろな人と人との縁が巡り合って、何かに繋がっていったりしている。それってやっぱりビジネスでも同じですよね。

だから、ビジネスパーソンのみなさまには、アウトプットしてインターネットの中の世界にチャレンジしてみてほしいです。何か発信したことがもしかしたらビジネスの役に立つかもしれないし、そこから仕事に広がるかもしれない。

――アウトプットのコツみたいなものはありますか?

発信することを癖づけることです。発信することが苦になってはいけないので、毎日の癖にしてしまうことが重要で。

なんでもいいんです。noteじゃなくてもいいんです。Twitterで140字を徒然と書くことをずっと続けていくと、だんだん発信することが癖になっていく。noteってTwitterの記事自体を埋め込むこともできますし。

たとえば、旅行中にTwitterでがんがんつぶやいて、それを元に記事を作るということもできる。私がよくやるのは、旅行中にTwitterでツイートしといたものを、あとからnoteで時系列順にまとめて、その下にお店の住所や観光局のURLを貼ったりします。

あとは「マガジン」という、ブログでいうところのカテゴリー機能もあるので、全部読みたい人のために旅単位でまとめたマガジンのリンクを貼ったりとかして。見たい人が回遊をうまくできるように、作っています。

――発信を癖づけるために、もっとも大切なことは何でしょうか?

何が書きたいかをまず考えてみましょう。実は小説が好きで、前に書いていたものがあるとか、実は漫画が好きで絵が下手だけどゆるゆるっとした絵で4コマぐらいならいけるかなとか。実はバンドやってて、その動画をアップするとかもいいですね。音楽も売ることができますし、無料で聞かせることもできるので。

何もなければ、毎日ただ日記を書き続けるだけでもいいと思います。日記を書いていただけだけど、いつの間にかnoteの使い方が完璧になっていた。会社でnoteを使って何かをやろう!というプロジェクトが出たとき、自分にチャンスが巡ってくるかも知れませんよね。

ということはやっぱりアウトプットしていたり、動いていたりしていた方がいいんじゃないかなと思っています。

――ほかにnoteの魅力があれば教えて下さい。

noteって、マーケティングのことなど比較的、ビジネス関連のことを書いている人とかが多いんですよ。なので、アウトプットだけではなくて、インプットする場でもあります。ウェブでのマーケティングの手法だったりとかいろんな勉強になる情報があるので、良質な記事を書いている方々をフォローして、自分で見るというのもすごくいいと思います。

たとえば、最近人気のあるNetflixのドラマの話を書いている人がいたとします。ただどういうふうに面白かったかじゃなくて、Netflixの製作をビジネス目線で分析した記事になっていたり。noteは、人の記事も引用してリンクを貼ることができるので、たとえば同じドラマについて書いている人がいたら自分の記事にリンクを貼ればいい。noteじゃないものでもリンクを貼ることができるので、それについて思ったことを書いたりとかもできる。

あとは、note側から「こういうテーマで書いてください」という「お題」というものが常に出されているので、そのお題にチャレンジしたり、私も審査員をやらせてもらった「コンテスト」というものもあるので、そういうのに応募してみてもいいですね。noteを使えば、今まで以上に楽しいビジネス生活を送れるのではないかと思います。

後編に続く

『noteではじめる 新しいアウトプットの教室』
コグレマサト[ネタフル] まつゆう*
¥1,728 インプレス

matsu-you*
東京生まれ渋谷育ち。1993年よりモデルとして活動開始。'98年、ウェブマガジン「chelucy(チェルシー)」を立ち上げ、ビューティー、ファッション、トラベルなどの独自視点の可愛いカルチャー情報をウェブ、ブログ、SNSなどで早期から発信し続ける。2008年米Wired.com「日本のセレブブロガー」、'12年、仏campaygn.com『フォローすべき10人の日本人インフルエンサー』、'16年『ファッション・ビューティにフォーカスしたクリエイティブなアジア人ブロガー10人』として紹介される。現在は、「大好きは、ボーダーレス!」をテーマに掲げた、セレクトウェブマガジン『m’s mag.(ミズマグ)』を日々更新中。WEBマガジン『COMFORTS』でコラム『camera to travel〜カメラ・ト・トラベル』を連載中。公式サイト:https://www.matsuyou.jp


Composition=鈴木 悟(ゲーテWEB編集部)  Photograph=淺田 創