話題をたった一言で変えられる、魔法の英語とは? ~英語力ゼロの私がロンドンに移住したら⑫

35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めて渡英した元編集者。「その英語力でよく来たね(笑)」と日本人含め各国人からお叱りを受けつつ、覚えたフレーズの数々。下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。「人のEnglishを笑うな」第12回!

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Fish & Cats

35歳で渡英して、36歳になりました。

今、最も恋しいのは、生魚と猫です。誕生日も案の定お腹を壊していましたが、とにかく日本食が食べたくて、こっちにある寿司チェーン店(イギリスでは、「ドトール」くらいの割合で街中に寿司チェーン店があります。母体企業は日系ではありません)でお寿司を買いました。それなりに美味しいのですが、なんだかもう完全にお寿司の味を忘れている気がして、寂しさも募りました。

猫に関しては、東京にいた頃、実家の猫に会えない寂しさを野良猫で紛らわしていましたが、ロンドンには滅多にノラがいません。

“I am a cat person”(私は猫派です)

と言っている人はたくさんこの街にもいるので、室内飼いの猫ならいるはず!と最近は窓から他人の家を覗いている始末です。

「WASABI」というチェーン店の寿司が誕生日ランチ。パッケージにはちゃんと日本語が入っています。サーモンの握り、アボカド、きゅうりの巻物と、枝豆とワカメの和え物。これで£6(約840円)くらい。
他人の家を“ノゾキ”しているとたまに発見できる猫。

酷暑到来

ヨーロッパは今、猛暑です。パリではこの夏、気温41度という記録を叩き出し、ロンドンも39度まで上がりました。ここ数年は日本と同じ、異常気象なのだそうです。

しかしロンドンの多くの家には、クーラーがありません。古い建物を壊さず、内側だけをリノベーションして使い続けている物件が多いためです。ですので、たまにクーラー付きの家に住んでいる人がいると、皆さんやたら遊びに行きたがります。私も知人宅に避難しようと、うっかりこんなことを言ってしまいました。

My mansion has no air conditioner.

「うちのマンション、エアコンがないんだ」と言いたかっただけでした。もちろん意味は通じましたが、なんとなく知人の反応に違和感を感じて後で調べました。

mansion=大きくて豪華な家

という意味でした。

正しくはMy flatと言うべきところです。

「フラット」が日本でいうマンションやアパートのことでした(マンションとアパートの区別はないようです)。また「フラット」はイギリス英語で、アメリカ英語だと“apartment”(アパートメント)になります。

最近歌手のエド・シーランが、「23億円のマンション」の隣に、約5億円でもう2軒家を買った、というゴシップ記事をみて、(金額的に違和感はありましたが)マンションの部屋の隣2部屋を買ったのかとずっと思っていました。23億円の「豪邸」を説明する言葉を、私の小さなアパートの一室に使ってしまったことに気がついて、後で赤面しました。

ちなみにこの猛暑は、街中に打撃を与えています。近所のスーパーは暑すぎて冷蔵庫が壊れ、商品が一切置けない状態になりました。うちの近所一帯は軽く食糧危機でした。

スーパーの冷蔵庫が空っぽ。

また毎週金曜日はだいたいどこのバーも混みますが、加えてこの暑さとで、バーは店の外までビールを求める人が溢れていました(でも皆さん、ビールが大好きすぎて、真冬の寒い日でも、こうやって外で飲んでいます。別に暑さは関係ないのかもしれませんが)。

バーに入りきらず、暑いなか、外で飲む人たち
「ジェラートと、エアコン!!あります」の看板

もう帰りたい。そんな時に使える、魔法の言葉

グラストンベリーフェスティバルへ向かう途中の高速バスが、エンジントラブルで立ち往生してまった時の話です。エンジンがかからず、運転手が見るからに焦りだし、乗客が「どうしたんだ?」と問いかけると、「いや、昨日点検したんだけど、その時は別になんともなくて、こういうことってあまりないと思うんだけど、でも昨日見て大丈夫だったから多分直せるかなとは思うんだけど」というような要領を得ない話を延々としていました。そんな時に、見かねた乗客が言ったのがこのひとことでした。

Anyway, have you called someone who can fix it?
(とにかくさ、修理工呼んだわけ?)

Anywayで運転手の言い訳を一旦遮って、一番知りたいことをズバッと聞いています。

“Anyway”、これが会話に入ったら、それまでグタグタ話していたことは一旦おいておくことができるのです。この乗客は若干怒り気味でAnywayを使いましたが、別に怒っていない時にもみなさんよく使っています。

例えば相手の話が長くて帰れない時

Anyway, See you tomorrow

の一言を言えばすぐ帰れます。「とにもかくにも、また明日」という直訳のままです。

イギリス人教師は“Anyway”を「話題をたった一言で変えられる、魔法の言葉」と説明していました。現に電話をしている人が切りぎわに

Anyway, I am going to call you back later.
(とにかく、後で掛け直すから)

と言っているのもよく聞きます。

相手がいろいろ話しているが、もう電話を切りたい。そういう状況です。

スピーキング力と語彙力も低い私は、普段全然喋らないくせに、いざ話しだすと説明に説明を重ねてしまい、自分でも何を言っているかわからなくなりがちです。でもそんな時も“Anyway”、この一言で、軌道修正できて、とっても便利な言葉です。

⑬に続く
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MOMOKO YASUI
ロンドン在住編集・ライター。1983年生まれ。男性ライフスタイル誌、美術誌、映画誌で計13年の編集職を経て2018年渡英。英語のプレスリリースを読むのに膨大な時間がかかって現在、仕事が非効率。

Illustration=Norio