2人のママによるスナックベンチャー~玉袋筋太郎のスナックミシュラン②東京·荒木町『二枚貝』

全日本スナック連盟の会長である玉袋筋太郎さん(以下玉ちゃん)がスナックを巡り、プロの目線で、ママやお店の評価を下す連載「スナックミシュラン」。日本列島津々浦々、スナックは全国に7万軒もあるというのに「興味はあるけど行ったことがない」なんて人も多いはず……。玉ちゃんが、ママのキャラ、お店の雰囲気、つまみ、歴史、時にはお客さんの質まで、深い愛情を持って★をつけてゆく。第1回の東京・四谷三栄町編に続き、第2回は、東京・荒木町にある「二枚貝」さん。


何も主張しない入口。

大人の街、荒木町にこの店名。何も主張しない入り口。一見さんなら、多少の不安と危険を感じるかもしれないが、この玄関の前に立てば「ここには、何かがある」と思わせてくれる。今日も玉ちゃんは、そんな魅惑的な『二枚貝』の扉を開くのだった。

ゲスナックに乾杯!

かなこママ&ちなつママ お疲れ様でーす。

玉ちゃん (ビールを飲んで)カーッ! 結局また飲んじゃったよ。今週、自分の誕生日ウイークでさ、連日シャンパンフェアだなんつってさ、自分の店に毎日顔を出してたら大分飲んじゃったよ。こんな生活してたら10年もつ体が3年持ちませんよってな。これ猪木の名言な。

ちなつママ でも、玉さんって、酔ってからの楽しい時間がすごい長いですよね。

玉ちゃん そう、長いの。そっから段々悪いブラック玉ちゃんが出てくるんだけどね。それにしてもすごいよね、二枚貝と玉袋って……こんな組み合わせないでしょ。

ちなつママ ほんとですよね、ひどい組み合わせですよね(笑)。

玉ちゃん 世が世なら消されてるよ、どっちもな(笑)

かなこママ ゲスにもほどがありますよね(笑)。

玉ちゃん うん、ほどがあるね。でも、そのゲスさがいいのよ。

かなこママ ありがとうございます。うちゲスナックなんで(笑)。

玉ちゃん ゲスナック、いいねー!! こういう洗練された人たちがやるとね、いいよね。

ちなつママ うわー、その褒め方、悪い。ブラックな玉ちゃんになってる。

オフィス二枚貝からスナック二枚貝へ

ちなつママ。編集部が入れたカラオケの選曲に対し「びみょー‼」と本音を言ってくれた毒舌ママ。元々は、テレビ制作をしていた異色の経歴の持ち主。

編集部 「二枚貝」という店名は、どうやってついた名前なんですか?

ちなつママ スナック自体は4年目なんですけど、それより以前から二人で「オフィス二枚貝」という会社をやっているんですよ。

玉ちゃん 4年も続いているんだからすごいよね。だって元々は制作者、クリエイターだよ?

編集部 え?

かなこママ そうなんですよ。私はCMを作る仕事をしていて……。

ちなつママ 私は、テレビ番組を作っていたんですよ。

玉ちゃん そうなのよ。

かなこママ。編集部の「ボトル入れておいて~」というお願いに対し「多分、あなた来なさそうだからダメ」とまさかの拒否権を発動した毒舌ママ。元CMクリエイターという異色の経歴の持ち主。

ちなつママ もともと同郷で知り合いだったんですけど、フリーになったのがたまたま同時期で、よく一緒に飲みに行っていた流れで仕事も一緒にするようになって……。

かなこママ それで、そのユニット名が「二枚貝」だったんですよ。まさか、その時はスナックをやるとは思ってなかったんですけどね(笑)。

玉ちゃん すごいでしょ、それが4年目だもんね。俺もスナックやってみてわかったけど、本当に浮き沈みあるしね。それが、この荒木町で4年。お客さんが二枚貝に潮干狩りに来るんですよ。

かなこママ うちの店、あたりますけどね、貝毒があるんで(笑)。

玉ちゃん ガハハハ!貝毒って(笑)。

どうせ飲むなら作っちゃえ!

早くもビールから焼酎「二枚貝」に突入。「調子入ってきたね~!」

編集部 でも、どうして制作のお仕事からスナックをやることになったんですか?

かなこママ 飲み会に呼ばれることが多くて。

玉ちゃん 座持ちいいからな。

かなこママ そうそう、そうなんです。それで、これだけ呼ばれるなら自分たちで箱作っちゃおうか、みたいな。ほんとノリですよ(笑)。

玉ちゃん どうですか、この新しい人生!セカンドライフって言うかね。

かなこママ でも、一番儲からないですよ(笑)。

玉ちゃん ハハハ、そうか、一番儲からないか(爆笑)。でも、楽しいしさ、女性の人生の一つの選択肢としてスナックをやるってのもアリだと思うね。言ってみれば、スナックはベンチャーだと思うよね。

かなこママ でも、私たち、商才はなかったよね。

ちなつママ そうですね、なかったですね(笑)。

玉ちゃん 商才なかった? そう? 商才がなかったら4年ももたないよ。

編集部 でも、看板とかも出てないですし、全く主張してないですよね。

ちなつママ セコムのステッカーの方が目立ってますもんね……。

セコムじゃなくてアルソックでした。

玉ちゃん 商才がないからね(笑)。

編集部 広告屋さんなのに……。

二毛作

2人のママのお酒も進む。

編集部 お客さんはどうやって増やしているんですか?

玉ちゃん やっぱ口コミなのかな。

ちなつママ そうですね、みなさん誰かの紹介で来られるかたが多いですね。
じゃないと、あの入り口を開けてもらえないですよ(笑)。

玉ちゃん そうだよね、あの扉開けるのは上級者だね。でも、この荒木町の迷路みたいなフラフラ彷徨う感じがまた素敵だよね。あの曲がりくねった道がさ、人生のワインディングロードっていうかさ。

編集部 でも、それまでやっていた制作のお仕事などをやめて、スナックを生業にするって勇気いりませんでしたか?

かなこママ あ、でもフリーなんで、声かけて頂ければ昼間にやりますよ。

玉ちゃん だからね、二枚貝は二毛作だっていうことよ(笑)。


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①TALK:★★★
「ビジネスから下ネタまで、どんなネタも打ち返す会話のキャパが広いね」
②BUSINESS:★★
「二枚貝のお二人曰く"商才はない"らしいが、俺から見れば二つ星に値するポテンシャルを持ってるよ」
③ATTACK:★★★
「お客さんのカラオケにも平気でダメ出しをする"愛ある攻撃力"は凄い……」
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二枚貝
住所:東京都新宿区荒木町3-21
TEL:03-6457-7433
営業時間:20:00〜24:00
休み:日曜・祝日
平均予算:¥4,000(女性は¥3,000)


Composition=河合昇平(コレロ) Photograph=吉田タカユキ




玉袋筋太郎
玉袋筋太郎
1967年6月22日、東京都新宿区生まれ。実家はスナック。高校卒業後にビートたけしに弟子入りし、1987年に水道橋博士と漫才コンビ「浅草キッド」を結成。社団法人全日本スナック連盟会長も務め、『浅草キッド玉ちゃんのスナック案内』などの本を手がける。
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