「最近面白いことがないなあ……」と嘆くあなたに。人気作家が贈る2つのヒント

「最近面白いことがないなあ…」。そんな漠とした物足りなさを抱えている読者は多いはずだ。評判の映画を観ても、好きな人とデートをしても、念願だった旅行に行っても。何をしても、どこか予定調和で刺激がない。膨大な情報に囲まれ生きる現代社会。私達の「面白さ」に対する感覚が知らず知らずのうちに麻痺してしまっているのかも。こんな時代に「面白い」はどこにあるのか? 人気作家の森博嗣に「面白く生きる」コツを聞いてみた。


自由に発想し、それを実践すること

「『面白い』生き方をするコツは、同様に、自分が『面白い』ことを思いつくことです。それさえ思いつけば、実行あるのみなのです」

そう森さんは言う。「面白い」生き方とは誰かに与えられるものではなく、自分の頭で考えつくり出すものなのだ。一にも二にも発想力が大事。発想できれば行動にうつせる。

「たとえば、『王様のような暮らしをしたい』と思いついたとしましょう。あとは、それを実行すれば良いだけですが、いったい何をしたら良いのかは、なかなか思いつけないのではないでしょうか。『自家用ジェットに乗りたい』のなら、それを実行するだけですけれど、実行するためには資金が必要であり、その資金を得る方法を思いつかなければなりません。そうなると、それを思いつくことができない。できない理由は、最終的には『思いつけない』からなのです」

そして、現代人の「最近なんにも面白いことないなあ…」という嘆きの正体をこう言語化する。これまで私たちが「面白い」と思っていたものは、所詮借り物だったのだ。本当の面白さは自分の内からわきあがるもの。

「『面白いことがない』という状況は、『面白いことが思いつけない』状況だ、ということです。そして、思いつかなくなってしまったのは、面白さを他者から与えられたり、売っている面白さを買ったりといった生活が続いたからでしょう。与えられたものや、買ったものは、一時的には面白くても、いずれ厭きてしまいます。

自分で思いついたものであれば、考えて、思いつく過程でさらに別のことを連想し、つぎつぎと面白さが展開します。その違いに気づけば、与えられるもの、買えるものでは不充分だとわかるはずです」

「面白さ」は発明されるものだ

この、本当の「面白さ」は、製品のように機械的に生産されるものではない。それはどちらかと言えば発明に近いものだ。

「『面白さ』は生産するものというと、これも少し違っている気がします。作るものではあるのですが、設計図などはなく、何をどう作るのかを誰も指示してくれません。つまり、労働として、あるいは技術として、作る能力だけがあっても、作れないものなのです」

「一番似合う言葉は『発明する』かな、と思います。『面白さ』とは、発明するものでしょう。自分で考えて、これまでになかったものを発想したうえで、実際に自分の手を動かし作ってみることです。考える段階でも、作る段階でも、試行錯誤があり、そのときどき工夫も必要です。ですから、見つけるだけでもなく、また作り出すだけでも駄目で、その両方を組み合わせたチャレンジがあって、初めて手に入れることができるものだと思います」

超シンプルな2つのヒント

とは言え、「発明」と聞いて急にハードルの高さを感じてしまった方もいるかもしれない。心配ご無用。シンプルで身近なところにヒントがあった。ひとつは好きなものを増やしていくこと。
 
「もう一つ大事なことは、その『面白さ』を好きになることでしょう。好きになれば、多少の苦労はどうってことないし、いつも頭から離れないから、どんどんアイデアも生まれると思います。ただ、好きであり続けることは、非常に難しい。厭きてしまうかもしれません。面白さは、好きなことをしていれば比較的簡単に得られますが、それだけではすぐに消えてしまうことが多いのです。ですから、ずっと面白く生きたいのなら、どんどん好きなものを増やしていかないと難しいかもしれません」

もうひとつは健康であること。

「さらに、『元気』も、『面白さ』と関連があります。面白ければ、元気が出ます。元気があれば、面白くもなります。これは、生きることが『面白さ』を目的としているからだと思います。そういう意味では、健康に気をつけることは、条件として挙げられるかもしれません」

Hiroshi Mori
1957年愛知県生まれ。作家。工学博士。国立大学工学部助教授として勤務するかたわら、'96年に『すべてがFになる』で第一回メフィスト賞を受賞し、作家としてデビュー。以後、次々と作品を発表し人気作家として不動の地位を築く。現在までに300冊以上の著書が出版されている。近著『面白いとは何か? 面白く生きるには?』が絶賛発売中。


『面白いとは何か? 面白く生きるには?』
森博嗣著
¥830 ワニブックス刊