発表前のBMW新型1シリーズを本場ドイツで試乗! ~吉田由美の世界のクルマ見聞録④

女性カーライフエッセイスト・吉田由美は、日本列島だけでなく世界中のさまざまな国にひとりで飛び、クルマの最先端を肌で感じ続ける"現場主義者"である。ゲーテWEBでは『吉田由美の"世界のクルマ"見聞録』と題し、彼女が実際に現地に出向き「見て、聞いて、乗って、感じた」ことを独占レポート。第1回第2回はランボルギーニ、第3回はマツダの新作を取り上げたが、今回はBMWの1シリーズの国際試乗会に参加した際のレポート。


「8シリーズに見える? 見えない?? 新型1シリーズ。ひと足お先にドイツで試乗」

7月初旬、ドイツ・ミュンヘン近郊で、フルモデルチェンジした新型BMW1シリーズの国際試乗会に参加してきました。しかも1泊4日の超弾丸ツアー!(笑)。スケジュールが届いたときは思わず2度見、いえ、3度見してしまいましたが何度見返してもホテルは1泊分しか書かれておらず……。本当にそうでした(笑)。業界ではそういった海外試乗会は行われているとは聞きますが、まさか私もその洗礼を受けるとは……。

ミュンヘンと言えばBMW本社がある場所で、つまりBMWのお膝元です。しかものんびりしていたら、日本でも8月29日に発表記者会見があるとのこと。その前に、ミュンヘンでの国際試乗会の模様を皆様にお届けしたいと思います。

世界各国のモータージャーナリストを招待した国際試乗会に参加。

今回、私が試乗した新型1シリーズは、今年6月にドイツ・ミュンヘンの「BMW Welt」(BMW ヴェルト、別名BMWワールドともいうらしい)というBMWの大きなショールームにて世界初公開され、翌月7月に世界各国のモータージャーナリストを招待した国際試乗会。そこに私も参加させていただきました。

私が行った日は、日本と韓国、そして中東欧地域の24名が参加。プログラムは前日にプレゼンテーションが行われ、試乗は翌日の1日のみ。試乗会自体は数日にわたって行われ、約140名のジャーナリストが参加したとか。とはいえ、一般公開は今年9月のフランクフルトモーターショーとのことですが、その前に日本で発表されるというサプライズ。なぜなぜ? こちらも気になります。

BMW1シリーズといえば、BMW最小モデルですが、今やBMWで一番売れているモデルで、先代モデルは世界で130万台以上を販売し、日本は世界で5番目に販売台数の多い国。

新型も全長4319㎜、全幅1799㎜、全高1334㎜というボディサイズなので、立体駐車場や狭い道の多い日本の道路事情、住宅問題などを考えると日本で嬉しい大きさ。加えてスタイリッシュなデザインは幅広い年齢層に受け入れられ、BMWブランドのクルマで320万円~という価格も魅力的。といっても新型の価格はわかりませんが。

3代目となった新型1シリーズ

そして今回、3代目となった新型1シリーズの一番のトピックは、駆動方式を前輪駆動(FF)になったこと。これまでの1シリーズはBMWらしい運転の楽しさ’にこだわり、縦置きのエンジンだったため室内の広さを犠牲にしても後輪駆動のFRにこだわってきました。しかし、1シリーズといえばメルセデスベンツAクラスやフォルクスワーゲン・ゴルフ、アウディA3といった強力なライバルがひしめく激戦区。1シリーズでは女性オーナーが4割という中で、「室内を広くしてほしい」というお客様の要望を受け、今回、5年の開発期間を経てFFを採用したとのこと。そのため先代に比べて全長は少し短く、全幅はややワイドに、そして全高が少しだけ高くなりましたが、フロントのエンジン部分が短くなったため、室内が広くなりました。

特に後席空間が全体的に広くなり、子供やママ友を乗せる場合でも窮屈さを感じることはないでしょう。ラゲッジスペースも通常時で380ℓ、後席をたためば1200ℓに拡がります。実際には全高が少し高くなっていますが、むしろ低くなったように感じるのは、リアにかけて傾斜しているシルエットの効果かもしれません。

傾斜しているシルエットのリア

BMWのシンボル、腎臓をモチーフにしたキドニー・グリルは大きくなり、その下にあるエア・インテークも大きくなったため、クルマの'顔'の迫力も増量。そこに細めで斜めのヘッドライトがシャープな印象を与えます。正面から見たら、BMWのフラッグシップモデル8シリーズと見間違いそうなぐらい迫力があります。

インテリアは上質な素材とスッキリと現代的なデザイン。インターフェイスはすべてドライバーの方に向いています。コネクティビティは、若い世代に馴染みやすいデジタルタイプ。オーディオの音量やラジオの選局などを手の動作で調整できるジェスチャーコントロールやBMW版AIアシスタント「BMWインテルジェント・パーソナル・アシスタント」でクルマと対話しながら車両の機能や設定ができる「BMWオペレーションシステム7.0」が搭載されています。しかし、この時の試乗車は英語版だったので、英語の苦手な私は使いこなせませんでしたが。

レスポンスの良さを感じた「M 135i xDrive」

今回試乗したのは「M135i xDrive」と「118d」。

まず最初に試乗したのは、いきなりのハイスペックモデル「M 135i xDrive」。搭載エンジンはBMWグループの4気筒で最もパワフルな2.0リッターのツインパワー・ターボのガソリンエンジン。最高出力は306PS 、最大トルクは450Nm 。0-100㎞/hの加速は4.8秒。最高速度は250㎞/h。とはいえこんなスピードは出すことがありませんが、一応書いておきます(笑)。

新開発の4気筒エンジンで、圧縮比の変更やクランクシャフトの改良、ターボチャージャーの大型化などでパワフルで低燃費を実現させたとのこと。さらにこのエンジンには特別に排気ガスの排圧を最小限に抑える新開発のツイン・パイプ・エグゾースト・システムが装備されています。また、エンジンの排気音を迫力のあるものにすることもできるというシステムも搭載されているので「スポーツモード」にすればダイナミックなエンジン音も愉しめます。

BMWの四輪駆動システム「xDrive」は、8速ステップトロニック・スポーツトランスミッションに新開発の機械式トルセン・リミテッド・スリップ・ディファレンシャル(トルセンLSD)を組み合わせて、さらにスポーティな走りを実現しています。

私はまずは運転席をモータージャーナリストの渡辺敏史さんに譲り、後席からのスタートでしたが、手に馴染むドアハンドルやドアトリムのソフトパットの作りが好印象。また、車内の広さは確かに十分です。走り出すと乗り心地は少し硬めで、先代モデルより突き上げ感を感じました。が、車速が上がるほどしっくりくるから不思議~。

そしてドライバーチェンジ。いよいよ運転です。

今回のトピックのひとつ、電気自動車「i3」で搭載された「ARBテクノロジー(アクチュエーター近接ホイール・スリップ・リミテーション)」が、内燃式エンジンのクルマで初採用されています。これは発進時や滑りやすい路面を走行するときに、スリップを抑えたり、トラクションを制御するもので、「BMWパフォーマンス・コントロール」や横滑りを防止する「DSC」などと連携し、車両の安定性を確保します。ちなみにARBはエンジン・コントロール・ユニットにあるため、担当者の話によると「情報がこれまでの3倍の速さで伝達されるので、ドライバーには10倍の速さで対応してくれたように感じます」という。

このところBMWのスポーティグレードはハンドルの太さが気になりますが、新型「M135 i xDrive」でもそれは同様。個人的にはこの太さには違和感があります。一方で、発進直後からアクセルのレスポンスの良さを感じます。そしてクルージングは快適そのもの。また、スピードの高いアウトバーンでのカーブでも、100㎞で駆け抜ける郊外の一般道でも、イメージしているラインを走行してくれるので、まったく不安を感じることなく、自然で快適にドライブ。BMWの四輪駆動「xDrive」は、アクセルの踏み具合や車速、舵角に応じて最適な駆動配分を行い、前後のトルク配分を最大で50:50までサポートしてくれるので、これらの総合的な制御のお陰で気持ちのいいドライブに繋がっているようです。

電気自動車「i3」で搭載された「ARBテクノロジー」が、内燃式エンジンのクルマで初採用。

余裕のあるドライブができた「118d Sport Line」

続いて試乗したのは2.0リッター4気筒のディーゼルターボエンジンを搭載する「118d Sport Line」。

新型1シリーズには3種類のディーゼルエンジンが設定されていますが、すべてにNOxや排出ガスを浄化するための「ディーゼル・パティキュレート・フィルター」や「NOx吸着触媒コンバーター」、「SCRシステム(選択的触媒還元)」などで、厳しくなるEURO 6d-TEMの環境規制をクリアしています。
「118d」の最高出力は150PS 、最大トルクは350N.m。複合モード燃費は22.7~24.3㎞/L 。CO2排出量は116~108g/㎞。0-100㎞/hは8.5秒。最高速度は218㎞/h。

「118d Sport Line」

ガソリンエンジンの「M135i xDrive」から乗り換えるとやはりエンジンの排気音は大きく感じます。しかし「118d」にだけ乗ったら、気が付かないレベル。しかしやはりM135i に比べると、若干タイムラグがあるような気がしないでもありませんが、気になるほどではありません。とはいえ上り坂や高速道路などでの巡航が多いシーンでは、ディーゼルエンジンならではの低回転時のトルクを発揮できるので余裕のあるドライブができるのは嬉しいポイントです。

日本導入は、ガソリンエンジンの「BMW M135i xDrive」、「118i/118d」スタンダードおよびM sportが予定されています。(118dは少し遅くなるらしいですが)

日本仕様も早く乗りたい!!! 楽しみです。


Yumi Yoshida
岩手県生まれ。カーライフ・エッセイスト。自動車評論家(日本自動車ジャーナリスト協会理事)。短大時代からモデルを始め、国産メーカーのセーフティドライビングのインストラクター経て「カーライフ・エッセイスト」に転身。クルマまわりのエトセトラについて独自の視点で自動車雑誌を中心に、テレビ、ラジオ、web、女性誌など広く活動中。3つのブログを展開し、中でも「なんちゃってセレブなカーライフ」は、ピーク時で1日約20万アクセスを誇る。持っている資格は、普通自動車免許、小型船舶1級、国内A級ライセンス、秘書検定、ECO検定、カラーセラピー。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)理事。日本ボートオブザイヤー選考委員。


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