「痛んだ毛先を2cm切りたい」を美容院で言えるか? ~英語力ゼロのロンドン移住体験記21

35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めて渡英した元編集者。「その英語力でよく来たね(笑)」と日本人含め各国人からお叱りを受けつつ、覚えたフレーズの数々。下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。「人のEnglishを笑うな」第21回!

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勇気を振り絞って、美容院に行ってみた!

先日、初めてローカルの美容院に行って髪の毛を切ってきました。これまでは日系の美容室に行っており、日本人の美容師さんと日本語で髪型を相談することができました。しかし渡英してちょうど一年、ここは一度英語で美容院に行ってみようと思い立ちました。

とはいえ、英語で希望のスタイルを説明できなければ、意図せず刈り上げられてしまうなんてこともあるかもしれません。美容院に行く前に言うべきフレーズを必死に予習します。

私の希望は「痛んだ毛先を2cmほど切りたい」でしたから、

“Can I have a trim about two inches off?”

で行こうと決めました。普段の雑談と違って、絶対に伝えなければいけないことが、今回はあります。なるべく簡潔に、はっきりと言うことをまず目指します。

trim=整える 

という意味ですので、バッサリ切って欲しくない時に使えるのでは、と思っていました。現に日本から持って来た英語参考書にもそう書いてありました。

さらに以下のフレーズを用意、丸暗記します。緊張すると簡単なフレーズでも出てこなくなるので、スラスラ言えるようにひたすら暗記するのみです。なんといっても自分の毛髪がかかっていますから、真剣になります。

I haven’t had haircut in 6 months. (6ヵ月髪を切っていない)

I don't want to make a big difference. (大幅には変えたくない)

最終手段としては、希望のスタイルの写真を美容師さんに見せれば伝わるかもしれませんが、今回はなるべく英語で説明するという課題を自分に課します。それでも一応、万一に備えてスマホに希望に近い写真を保存しておきました。ちなみに先日ツイッターを見ていたら、トルコにいるタレントの平愛梨さんが、同じ手段で美容院に行っていらっしゃいました。パーマスタイルの写真を持って行ったら、パーマはかけてもらえず、ブローだけで終わったそうです。そういうケースもあるかもしれないと、心の準備もしていきます。

夕方の美容院に備え、最終調整としてその日の午前の語学教室で、教育実習生のイギリス人のおばさま、リンを呼び止めます。私の用意した3つのフレーズで、正しく私の希望は通じるか、確認してもらうと、目から鱗のフレーズを教えていただきました。

“Please take ends off ”

take off は飛行機の離陸、のイメージでしたが、「切り離す」という意味があります。また毛先のことはendsで表現できるので、まさに「毛先を切る」という意味になります。

私が当初用意していた単語trimに関しては「『2cm trimして』だと、前髪からサイドの髪から全部2cmずつ切られるかもしれない。少し特定的すぎる」ということでした。またそもそも“trim”には私が未だうまく発音できない「r」が入っているので、通じない可能性も充分にありました。簡単な言い方を教えてもらってよかった、とリンと別れましたが、その1時間後にリンがこちらに駆け寄ってきました。

Don’t forget you should say “Please take ends off ”("Please take ends off ”だからね、忘れないでね)

ものすごく念をおされました。英語の下手な私がローカルの美容室に行く、というのがよっぽど心配だったのだと思います。

より簡潔で言いやすい言い方を教えていただけたことで、美容室ではなんとか写真を出すことなくすんなりとオーダーすることができました。

担当の美容師さんは私のオーダーを聞くと「痛んだところ切るだけね。わかった。でも今のあなたの髪型は毛先にレイヤーが入りすぎていてすごくオールドスタイルだから、私はレイヤーこんなには入れないわよ? いい?」

と言われました。面と向かってバッサリ「古臭い」と言われたのがなぜか爽快で、そこはお任せしました。

ハゲの進行を止めるための単語

英語でのスタイリング説明を突破でき、後の雑談は別にブロークンイングリッシュでも構わないと思うと、一気に気が楽になり、その時にやっと気がつきました。半年ぶりに、大きな鏡で自分の頭をまじまじ見ると、渡英前に比べて格段に毛が細くなり、地肌がだいぶ見えていることに。
震える声で聞きました。

“Am I getting bald?”(私はハゲるのでしょうか?)

美容師さんは在英歴の長い韓国の方でしたのですぐこう言ってくれました。

「アジア人はね、水が合わないのよ。シャンプーするのは2日に1回にして地肌が濡れている時間を短くしなさい。洗ったらすぐ乾かすのよ」

ロンドンの水道水は硬水なので、軟水に慣れている日本人の肌にはなかなか合わないとのことです。カットとスタリングはうまくいきましたが、1年でハゲが進行していることが気がかりで、帰りがけ肩を落としている私に美容師さんがさらに言いました。

“Your cowlick is right side but sometimes you should change your hair parting”

cowlickが右側だけど、分け目を時々変えなきゃダメよ」ということでした。
分け目がずっと一緒だと薄毛に見えるからでしょう。

hair partingが「分け目」のことを指すのはなんとなくわかりましたcowlick(カウリック)という単語は初めて聞きましたが、これは日本にいた時から美容師さんに言われ続けていることでしたので、すぐに理解できました、「つむじ」のことだと。

あとでまたリンに聞くと人によっては“Crown(クラウン/スペルも発音も「王冠」のクラウンと同じです)”と言うこともあるとのことでした。

イタリア、トルコ、中国、韓国などなど、それぞれの国の人がやっている美容室やバーバーが街中にたくさんあります。この扉を開けるのにはなかなか勇気がいるものです。(この写真は男性用のバーバーです)
MOMOKO YASUI
ロンドン在住編集・ライター。1983年生まれ。男性ライフスタイル誌、美術誌、映画誌で計13年の編集職を経て2018年渡英。英語のプレスリリースを読むのに膨大な時間がかかって現在、仕事が非効率。


Illustration=Norio



"Do you have a fiver?"って?

英語で「甘党」ってなんていう?

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