最新湘南ライフ。 最先端カルチャーを生む湘南コミュニティ

都会的文化と自然が調和し、独自の文化が生まれ育つ湘南エリア。海の家を発信基地として広がる湘南カルチャーは、少しずつカタチを変え、世代から世代へと受け継がれていく。

海の家が育む「湘南カルチャー」の変遷

店内で定期的にライブを開催。今年はキセル、千尋などが出演した。

 海水浴客でにぎわう逗子海岸を縁どる国道134号線から道1本裏手に、『シネマ・アミーゴ』はある。わずか22席のミニシアターだ。民家を改装した素朴な佇まい。ランチタイムからオープンする小さなカフェ・バーも併設している。ところどころ修繕して営業をしているのだろう。かすかな木屑の匂いが鼻をくすぐる。

 劇場のオーナー、長島源さんは1990年代から湘南カルチャーの変遷を体験してきた。

 「60年代から湘南にはミュージシャンや作家が数多く暮らしています。海があり、山があり、時間がゆっくり流れていて、創作には抜群の環境だからでしょう。都心へ1時間というのもほどよい距離です」

 長島さんが湘南カルチャーに濃密にかかわったのは97年から。葉山の一色海岸に兄、太郎さんが開いた海の家、『ブルームーン』の立ち上げに参加した。

逗子、葉山、鎌倉が影響し合って文化を形成
湘南海の家のさきがけ「オアシス」

店内で定期的にライブを開催。今年はキセル、千尋などが出演した。

 「海水浴客の食事や更衣だけでなくカルチャーの発信基地としての海の家のさきがけは、81年に東京藝術大学出身の方が始めた店、オアシスです。当初はベジタリアンやオーガニック好きが集まって、やがてレゲエ色が濃くなりました」

 一方のブルームーンは、オープン以来ロハス色が強い海の家として愛されている。

店の象徴ともいえる"青い月"との共演。海水浴客が帰った時刻の一色海岸はムーディーだ。

ナチュラリストは葉山に、アカデミック志向は鎌倉へ

 「スタート時に資金が少なかったこともあり、廃材や廃棄された家電を集めて営業を始めました。それが独自のスタイルになって、今も間伐竹で柱や梁(はり)、屋根を組み立てています。食事も地産地消を心がけて、葉山の野菜や魚、肉を利用したメニューが中心です。電気の利用を最小限にしたアコースティック系のライブも行っています」

なぜ逗子で映画館なのか?

300インチの巨大スクリーンで、今年は『スタンド・バイ・ミー』などを上映した。

 なぜ映画館なのか──。

 「映画には、映像だけでなく、音楽があり、飲食とのコラボレーションもできる。僕が経験したさまざまなカルチャーを総合的に展開できると思えました」

 その成果のひとつが2010年から開催している逗子海岸映画祭だ。テーマは「Play With Earth(地球と遊ぼう)」。

ここが日本とは思えない夕刻のエントランス。映画祭そのものが毎年ドラマを生んでいる。

 「逗子海岸の星空と潮風とともに映画を楽しむイベントです。日替わりで世界各国の映画と食事を楽しんでいただきます」

逗子海岸映画祭の名物、メリー・ゴー・ラウンド。バザーやボルダリング・ウォールも。

 この地が好きな人が集まることで自然とコミュニティが生まれ、互いに影響し合いながら独自の文化を育てている。

Gen Nagashima
1978年神奈川県逗子市生まれ。シネマカフェ『シネマ・アミーゴ』オーナー。97年に海の家『ブルームーン』立ち上げに参加。逗子海岸映画祭など湘南カルチャーの展開に尽力する。
シネマ・アミーゴ
映画を観ながら食事も楽しめる。
住所:神奈川県逗子市新宿1-5-14
TEL:046-873-5643

Text=神舘和典

*本記事の内容は16年7月取材のものに基づきます。価格、商品の有無などは時期により異なりますので予めご了承下さい。 14年4月以降の記事では原則、税抜き価格を掲載しています。(14年3月以前は原則、税込み価格)