"Do you have a fiver?"って?~英語力ゼロの私がロンドンに移住したら⑯

35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めて渡英した元編集者。「その英語力でよく来たね(笑)」と日本人含め各国人からお叱りを受けつつ、覚えたフレーズの数々。下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。「人のEnglishを笑うな」第16回!

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この単語を使えるとツウっぽい!?

先日スーパーで4.99ポンドの買い物をしました。イギリスはカード社会なので、現金を使うことは普段ほとんどないのですが、この日はマシンが壊れているとかで、店員さんにこう言われました。

Do you have a fiver?

「ファイバー」がなんのことかわかりませんでしたが、財布の中のお札を出したときに気がつきました。

Fiver =5ポンド札

のことでした。店員さんは「5ポンド札ある?」と聞いていました。日本で1万円札のことを「万札」と呼ぶのと同じ感覚だと思います(5ポンド=約650円なのでもっと金額は小さいですが)。10ポンド札のことは“Tenner ”(テナー)というようです。ちなみに「お札」のことをアメリカ英語では“Bill”と言いますが、イギリス英語で使われるのは“Note”。お札は他にも20と50ポンド札がありますが、こちらは特に口語的な呼び名はないので単に“a 20 pound note”と言います。

「ファイバー」、なんだかこれが使えると急激に現地人っぽい気がして、最近はやたらお会計時“I have a fiver”と宣言してから、わざわざ現金を出すようになりました。

スラングですが外国の方でも、イギリスに暮らしていれば大抵知っている単語だそうです。

お金にまつわる諺が面白い

イギリスはコインのデザインも凝っていて、特に50ペンスコイン(約65円)は、限定で昨年亡くなった物理学者スティーブン・ホーキング氏を忍んだ「ブラック・ホール」がデザインされたものや、他にも『ピーター・ラビット』『くまのパディントン』などさまざまなデザインがあります。今年8月に発行された「パディントン」の50ペンス硬貨、未使用の記念コインは10ポンド(約1300円)で販売されているそうです。

ちなみに名詞の「造幣局」、または動詞の「鋳造する」を“Mint”(ミント)というので、この未使用の記念コインのことを、作りたてのコイン、という意味で“Mint condition”(ミント・コンディション)と言います。最初に新聞でこの言葉を見た時にはハーブの「ミント」を連想してしまい意味不明でした。イギリスの造幣局のことは“Royal Mint”(ロイヤル・ミント)と呼ぶそうです。

お金にまつわる諺もいくつかあります。

To spend money like water.

これは日本語の「湯水のように金を使う」とまったく同じ表現です。

そしてちょっと面白いのがこれです。

A fool and his money are easily parted.

直訳通り「愚か者はすぐ金を失う」という意味です。かなり手厳しいですが、まったくその通りで私も反省しています。“A fool and his money are soon parted.”と使う人もいます。

またケチな人のことを

“Tight fisted”

とも呼びます。英語を学んだ人だと「ケチ」は“Stingy”と覚えたかもしれませんがこれとほぼ同義語です。

Tight(タイト)=きつく、fisted(フェスティット)=握った

という意味なので、日本語でいう「財布の紐がきつい」と発想が同じです。

My husband is very tight fisted.

(うちの夫、すごくケチなの)という会話はTVドラマや雑誌などにも頻繁に登場します。

このようにお金に関する「イメージ」は万国共有のようなので、覚えやすいです。Fiverとともにこのあたりの表現を使うと、ますます英語がわかっている風を装えると思います。私はまだまだ、長いセンテンスを話すのが苦手で、fiver 以外は使ったことはありませんが。

詐欺かスリか、強盗か。いざという時のために覚えておくべく単語

お金にまつわることで、ロンドンで気をつけなければいけないのが、「スリ」と「詐欺」です。日本にいるときは、うっかりカバンを開けたまま街を歩いたり、電車で口を開けて爆睡したりしていましたが、今は語学学校のクラスメイトが国籍年齢問わず次々と被害に遭っているのを聞いて、気を引き締めて暮らしています。

先日はチェコから来た40代の女性が、ATMに入れたクレジットカードが抜けなくなり、銀行職員を装った男性に「このATM壊れているんだ、直したら届けるから」と言って暗証番号と名前、宿泊先を言うように迫られたそうです。女性はうっかりこれに答えてしまい、詐欺だと気がつくまでの3時間程度で、数十万が使われていたとか。ロンドンでは、ATMが銀行の外にポツンとあることがよくあります。この被害もその手のATMでした。銀行内部のATMではこのようにマシンに仕掛けをするなんてことは不可能だと思うので、これを聞いて以来、なるべく外のATMは使わないようにしています。

こちらが外にあるタイプのATMです。お金を引き出した直後に後ろにいた強盗に現金を奪われた人もいました。

語学力があまりない状態で詐欺に遭うと、二次被害も大きくなります。この女性は銀行職員を装った男に “Do you have another card?(他のカードありますか?)”と言われてなぜもう一枚カードが必要なのかよくわからないまま、もう一枚のカードもマシンに入れて取られてしまったそうです。2枚のカードと暗証番号を奪われ「夫にはバカ呼ばわりされるし、気持ち的にも立ち直れない」と言っていました。

この話を受けて、警察や銀行などにすぐに知らせるためには、「どんな種類の犯罪だったのか」すぐに言えるように単語を覚えておいた方がいい、と英語教師には言われました。

英語が下手だと説明がまどろっこしくなるので、時間がかかってしまいます。
詐欺なのか、スリなのか、強盗なのか、一言で言えることが大事なようです。

このチェコの女性の場合は

“Fraud”(フラウド)=詐欺

です。「スリ」の場合はPickpocket(ピックポケット)、「泥棒」はBurglar(バーグラー)、銀行や施設への強盗犯はrobber(ロバー)、道などで暴力を振るわれ金銭を取られた場合はmugging(マギング)となります。

Two men mugged me at knifepoint.
(二人の男にナイフを突きつけて強盗された)

ただでさえ、喋る時に「あうー」となっているので、何かあった時に、このように簡潔に、説明できる自信はありません。今はただ、被害にあわないように用心することが最大限できることです。ちなみに渡英当初、バイクに乗った男性が私をみてバイクを止め「Googleマップを見ていたのだけれど、充電切れちゃって、君のスマホで調べてくれないか」と言われました。言っていることが理解できたのが嬉しかったのと、自分もまだ道がわからなくなることがよくあったので、つい見てあげようとしてしまいました。一緒にいた韓国人の友人(イギリス在住。日本語と英語両方喋れる)がとっさに「私たちもさっきロンドンについたばかりでWi-Fiがないの」と断ってくれましたが、これはよくある、スマホをかっさらうタイプの犯罪だそうです。危ないところでした。皆様もくれぐれもお気をつけください。

⑰に続く
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MOMOKO YASUI
ロンドン在住編集・ライター。1983年生まれ。男性ライフスタイル誌、美術誌、映画誌で計13年の編集職を経て2018年渡英。英語のプレスリリースを読むのに膨大な時間がかかって現在、仕事が非効率。

Illustration=Norio