【豪邸特集】エルドラド、サンダーバード、コルベットなどの名車が揃う美術館のような家

深い緑の中、現れたのは、まるで海外の美術館と見紛うばかりの豪壮な邸宅。さらに長いアプローチには博物館級のクルマがずらり! 「クルマと一緒に暮らす家。それが子供の頃からの夢だったんです」と教えてくれたのは、国内外で美容整形クリニックを経営するガーデンクリニック最高顧問医師の大庭英信氏だ。


どこからでも愛車を愛でられる、クルマと暮らす家

ひと目でこの地を即決した、という理由もリビングを見れば納得だ。連なる窓の向こうには、遮ることなく雄大な富士山がそびえ立ち、モダンなミノッティの家具を揃えた開放感溢れるリビングダイニング。富士山ビューの寝室やバスルームなど、邸宅の素晴らしさは書き尽くせないほどあるのだが、

青空を屋根のシャープなラインが切り取る、大庭邸の外観。そのダイナミックさに圧倒される。

「僕はクルマが置ければそれだけでよかったんです(笑)」と大庭氏。1階に設えたガレージのほか、ガレージ棟も設置。ギャラリーのようにクルマを並べ、あらゆる角度から愛でることができる。

「朝起きて山中湖を一周、あるいは富士スカイラインで富士山を回る。古いクルマも多いので、僕にとってこの周辺はドライブコースとしても最高なんです」

子供時代、空地に乗り捨てられた軽トラに乗り「ドキドキしながらハンドルを握って遊んでいました」という大庭氏。「大人になったらクルマを10台持ちたい!」という夢は、現在45台を所有するまでに。とはいえ、氏はクルマを投機的な対象とは捉えていない。

「自分の好きなクルマを探して、とことんメンテナンスし、乗って楽しむだけ。だからあまり価値はないんです(笑)」

フェラーリP4のレプリカも、閉館したスポーツカー博物館で朽ち果てていたものを譲ってもらい、すべて修理。本物のフェラーリのエンジンを載せて復活させた。

生年と同じ年式のキャデラック・エルドラド、ユーミンのアルバムジャケットにも描かれた1954年式シボレー・コルベットや、映画『アメリカン・グ
ラフィティ』と同じ白色に塗りかえたフォード・サンダーバード、映画『プリティ・ウーマン』のロータス・エスプリなど、大庭氏が所有するクルマにはすべてにストーリーがある。

「クルマの原型がわからないぐらいの改造は大嫌い。こういう生い立ちだからこのデザイン、このスペックなんだと、クルマのルーツを感じながら、あるべき姿に戻してあげるのが好きなんです」

玄関を入ると、ガラスの向こうに名車たちのノーズがお目見え。

それは仕事にも通じている。

「キレイになりたいと言っても、理想の形や思いはひとりひとり違います。患者さんがどんな気持ちで悩んできたか。その悩みの元を見つけ、患者さん本人のよさを活かすことが大切なんです」

自分がクルマによって得た喜びを分かち合いたいと「一般社団法人 日本乗物振興会」を設立。これらのクルマを開放し、老若男女問わず触って、乗って楽しめる機会も創出する。さらに今年は「ガーデンクリニックレーシングチーム(G .C .R .T)」を発足。チームオーナー兼ドライバーとして、富士スピードウェイのインタープロトシリーズに参戦している。

「一瞬の迷いが許されない手術同様に、集中力が必要なレースは、メンタルトレーニングにもなっていると思います」

午前中はこの家で子供と遊び、午後は富士スピードウェイでレース。そんなギャップも楽しいという。大庭氏にとってレースと仕事の間にある、自分のスイ
ッチを切り替えられる場所、それがこの家なのだ。

「患者さんに、『人生が変わりました』と言われることほど嬉しいことはありません」

ガレージのクルマたちが喋れるとしたら、きっと同じことを言うに違いない。


<物件DATA>
所在地:山梨県山中湖村
敷地面積:4403.96㎡
延床面積:299.76㎡
設計:アーネストアーキテクツ

Hidenobu Oba
ガーデンクリニック最高顧問医師。1967年福岡県生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。大手美容外科、大学病院麻酔科などを経て’99年より日本・シンガポールでガーデンクリニックを運営。


Text=牛丸由紀子 Photograph=太田隆生