オーダーメイドは自身を映しだす鏡だ!【私のオーダー履歴書まとめ】

世界にたったひとつ自分だけの品は、人生をより豊かに彩ってくれるもの。オーダーメイドのある生活を愉しんでいる各界のトップランナーに、その魅力を語ってもらう。そう、オーダーメイドは己を映し出す鏡なのである。


経営者・宇野康秀「仕事とオーダーメイドは似ているかもしれない」

自分のオフィスはリゾート風に仕上げ、会社のイニシャルである"U"をあしらったUシャツやパーカなどを制作する宇野康秀氏は家具作りを通して、オーダーの仕方を覚えた。

「まず、空間をイメージして、そこに合うものを考えます。それを繰り返すことで、気に入ったものができあがるようになった時の喜びは格別ですよね」

宇野氏はオフィスも、自宅の家具もこうしてオーダーして、この世に存在しないものを作りだすことを楽しんでいる。


音楽家・千住明「絵のようにきれいな譜面が きれいな音を鳴らす」

千住明氏が五線紙をオーダーメイドするようになったのは、1990年代の前半。ご自身の仕事でいえば、アニメ『機動戦士V ガンダム』やドラマ『高校教師』などの音楽を手がけた時期だった。

「作家が原稿用紙にこだわるのと同じで、僕にとっては味のある譜面を書くことが大切。音楽家は譜面と書いて"ふづら"とも読みますが、音楽って譜面のとおりに鳴るんです。殴り書きした譜面だと殴り書きした音が鳴る。僕はきれいに音を鳴らしたいので、絵画のようにきれいな譜面を書くことを徹底した。だから五線紙にこだわりました」


クリエイティブディレクター・水野学「オーダーは信頼関係の元に成立」

「オーダーは頼むこと自体が醍醐味。だからこそ作り手への敬意が大切だと思っています。その気持ちがないと仕事の発注みたいになってしまう」

その水野氏が『伊藤若冲 感性インスパイア作品展』からオファーを受けたのは2012年のこと。一旦は引き受けたものの自身のなかには葛藤が生じていた。

「作品を制作してください、という依頼だったのです。でも僕は作家やアーティストではない。けれども出展しないのも、もったいない。そこで思いついたのが、スカジャンだったのです」


シェフ・三國清三「自分のためだけに仕立てたコックコートは魂みたいなもの」

三國清三氏に話をうかがうべくオテル・ドゥ・ミクニを訪ねると、テーブルに置かれたのは1冊の本。『C’est Mikuni 僕の、おいしさ。』という三國氏の著書に、オーダーメイドのルーツとこだわりが記されていた。

「僕のコックコートは、30年以上も前から村松白衣店の横田さんにオーダーメイドで仕立ててもらっています。当時はまだコックコートは既製品を着るのが当たり前でしたが、僕にとっては大切な仕事着。スーツで仕事する人がスーツにこだわるのと同じように、僕はオーダーメイドのコックコートを着ることで気持ちを切り替えているのです」