なぜ、エグゼクティブはサウナにハマってしまうのか? ~ととのえ親方のサウナ道①

「ととのう」「はごろも」「サフレ」……というフレーズ、聞いたことがあるだろうか? この言葉は、サウナ・ラヴァーズ(=サウナー)の間でよく使われるもの。なんでも今、経営者やクリエイターの間でブームになっているらしい。そこで、サウナを究めた"ととのえ親方"にサウナの神髄を語てもらった。


星付きレストランでの食事や大事な会合の前にもサウナは必須

タナカカツキ氏の書籍『サ道』(2011年)やスーパー銭湯の増加などをきっかけに、近年、知る人ぞ知るブームの続いているサウナ。その流れはエグゼクティブ層にも波及。海外の宿泊はサウナがあるかないかで選んだり、自宅や別荘にサウナを設ける人も増えている。

そこで、そんなサウナブームの一翼を担う実業家でプロサウナ―で、ととのえ親方こと松尾大氏の連載をスタート。第一回の今回は、日本と世界のサウナを渡り歩いてきたととのえ親方が、エグゼクティブ層の間でサウナが流行する背景を分析し、ビジネスパーソンにも役立つサウナの入り方を伝授する。

「日本ではサウナは“おじさんの文化”というイメージが強いですが、海外では老若男女が入る国も多いですし、アメリカなどにはアッパー層向けのサウナもあります。日本でもグランドハイアット東京の『Nagomi スパ アンド フィットネス』など、3000~4000円台のホテルのスパのサウナは、エグゼクティブ層の隠れ家のように使われていますね。お客さんには弁護士や医師、経営者などが多い印象です。

エグゼクティブ層がサウナにハマるのには、複数の理由があると思います。
まず一つ目は、サウナでは誰にも邪魔されない一人の時間を作れること。スマホを手放し、外部からの連絡が入らない状況で、じっくりと仕事について考えられる環境は、今の社会ではとても貴重なものです。サウナ好きの経営者の間では、「サウナで考え、水風呂で決断する」という言葉もありますからね。「サウナで考え、水風呂で忘れる」という言葉もありますが(笑)。

また、運動後と同じような爽快感を得られることも人気の秘訣だと思います。実際、サウナに入るという行為は、それ相応の負荷が体にかかっているんです。体温の変化を見ても、サウナに入る前が36.5度だとすると、一度サウナを出たときには38.5度まで体温が上がる。その後で水風呂に入ると、35度台まで下がります。この負荷が、運動後と同じような爽快感(=ととのう)の正体なんです。

そうやって体に適度な負荷をかけたあとは、ご飯もおいしくなります。僕個人の感覚では、2倍くらいウマくなりますね(笑)。だから星付きのレストランでの食事のときなどは、必ずサウナに入ってから行くようにしています。ととのっていない状態で食事に行くのはもったいないし、「会食する相手にも失礼だな」と今では考えるようになりました。

サウナに入ると心も体もさっぱりして、心身の状態をベストにできるので、大事な会合の前に入るのもオススメです。この連載の打ち合わせで幻冬舎に来るときも、僕は朝に『スカイスパYokohama』のサウナに入ってきました。

なお以前のインタビューで、サウナの正しい入り方は「サウナ→水風呂→外気浴を2、3回繰り返すこと」と説明しましたが、適度に体温を上げ、すっきりした感覚を得るには1セットでも十分です。何セットも繰り返すと心地よさが増す一方で、体への負荷も大きくなります。大事な会合や食事の前、早朝や日中にサウナに入るときは、サクッと1セットで出るのもオススメですよ」

次回に続く

ととのえ親方
札幌在住。福祉施設やフィットネスクラブを経営する実業家にしてプロサウナー。サウナにハマったのは20代半ばの頃で、その後は世界各地のサウナも訪問。札幌を訪れる経営者や著名人をサウナに案内し、“ととのう”状態に導いてきたことから“ととのえ親方”と呼ばれるように。2017年にはプロサウナーの専門ブランド「TTNE PRO SAUNNER」を立ち上げ、'19年2月には友人の医師らとサウナの最適な入り方を提唱する「日本サウナ学会」も設立した。

Composition=古澤誠一郎