谷口徹が星野陸也に教えたアプローチのコツとは? ~プロキャディ出口の目②

プロキャディの出口慎一郎氏がプロトーナメントの裏側で起きていることをロープの内側から独自の視点でレポートする連載「出口の目」。キャディを務めるプロのことはもちろん、ロッカールームでの他選手の会話や練習場で気になったこと、さらには選手たちのプライベートなことまで様々な切り口でプロゴルフの面白さを伝えていく!


アプローチで大事なことはリズムと左手!

前回、星野陸也プロが谷口徹プロと練習ラウンドを行なったことに触れましたが、今回はその内容に関して話したいと思います。

谷口プロに一緒に練習ラウンドをしてもらったのは中日クラウンズの練習日。谷口プロとはあれが初めての練習ラウンド。目的はもちろん先輩プロから技を学ぶことですが、実はこの時は星野プロには明確なテーマがありました。それがアプローチでした。

もともと星野プロの今シーズンの課題はショートゲームを強化してリカバリー率を上げることでした。だからこそ、谷口プロとの練習ラウンドはいち早く実現したかったんです。

まず谷口プロが星野プロに伝えたことが「リズム」でした。アプローチで大事なことはリズムで、「1・2・3」と常に同じリズムで振らなければならないとのこと。テークバックが始まってから、切り返してインパクトからフォローにかけて「1・2・3」と振らなきゃいけないと。「1」が始動で、「2」が切り返し、「3」がダウンスイングからフォローという感じです。でも星野プロの場合は「1・2!」で打っているような感じだと。要するに切り返しで間がなくなっているということだと思います。

切り返しからがめちゃくちゃ早くなっていたので、飛んだり、飛ばなかったりが起こる。ダフりもトップも全部出てしまうんだと谷口プロは説明してくれました。

また、技術的な部分では、谷口プロはアプローチでは左手は絶対に返さないということを強調していました。

左手をベースとして、左手の甲がフェース面だとイメージして肩を回していくだけ。その時にグリップエンドは常にヘソを向いていなければならない。といったことを星野プロにアドバイスしていました。

手を使っちゃう人って、チャチャっと早くヘッドが動いてしまいますが、星野プロの場合も手を使いすぎてリズムが早くなっていたんだと思います。10回打てば10回、スピン量やサイドスピン量がバラバラになってしまう。膨大な練習を積んでいるプロでさえ、そういった悩みといつも直面しているんです。

あとから星野プロに聞くと、確かにリズムは早くなっていたと思うと話していました。アプローチに限ったことではないですが、調子が悪くなると、どんどん不安要素って増えてくるものです。するとボールに早く当てたいという気持ちが強くなるのは誰もが持つ心理ですが、星野プロでさえ早く当てたいといった気持ちがあったとのことでした。こういう話を聞くと、プロもアマも技術的なレベルは違えど、同じようなことで悩んでいるんだなと思うと、なんだか不思議な感じがしますよね。

感じられたかもしれませんが谷口プロのアドバイスは、本当に基本的なことばかりだったんです。もちろん個々によって打ち方や感覚は異なるので、これが正解というものはないし、その状況次第で打ちかたも変わると思います。でも、守るべきことは本当に基本に忠実なことなんだと思いました。トッププロになるほど基本を大事にしていることを星野プロも改めて感じたんじゃないでしょうか。星野プロにとっても自分にとっても本当にいい時間だったと思っています。

先週、奈良のコマカントリークラブで行われた関西オープンでは、星野プロは惜しくも大槻智春プロとの4ホールにも及ぶプレーオフに敗れ優勝を逃しましたが、いろんな作戦が成功して多くの収穫があった試合でした。今後に期待してください。

続く


Shinchiro Ideguchi
1983年生まれ。ディライトワークス所属。2013年よりプロキャディとして活動をスタート。プロキャディの世界では異色とも言える脱サラからプロゴルフの世界に飛び込んだ。昨年から星野陸也プロをメインにキャディを務め、今シーズンも星野プロを中心に比嘉一貴プロらのバッグを担ぐ予定。2017年には片山晋呉プロの専属キャディとして1年を通して戦い、これがプロキャディとしての大きな機転となった。その後メンタルトレーナーの資格を取得するなど、プロのより良いプレーを引き出すために様々な勉強を積んでいる。


Composition=出島正登