【ゴルフ場】生まれ変わった「太平洋クラブ御殿場コース」は真の世界レベルになれたのか?

太平洋クラブ御殿場コースと言えば、ゴルファーなら誰もが憧れる名コース。その御殿場コースが2018年に大規模改修を行い、新しく生まれ変わった!


名門ゴルフ場が次のステージへ

国内男子ツアーの三井住友VISA太平洋マスターズの舞台として、多くのドラマを演出してきた御殿場コースの改修を耳にした時、疑問を感じたゴルファーも少なくないだろう。その理由はそれだけ完成されたコースという評価を得ていたからだ。

そのあたりは太平洋クラブ代表取締役社長の韓俊氏も葛藤があったと語っている。ただ、それでも改修に踏み切ったのには御殿場コースにはさらなる次のステージへ進化するポテンシャルがあると考えたからだ。世界的に道具の進化により飛距離が伸び、開場当時の設定ではコースが本来持つ難しさや戦略性が影を潜めてしまっている実情がある。

今回、自身初のコース監修に携わった松山英樹プロは、2016年に参戦した三井住友VISA太平洋マスターズで大会レコードを更新する4日間通算23アンダーで優勝を飾っている。国内ツアーの最多アンダー記録をも更新しかねないゴルフを目の当たりにした韓氏の心は、そのときに動き始めていた。

太平洋クラブ御殿場コースの原設計は故・加藤俊輔氏。2018年4月にご逝去された加藤氏は生前「コースは時代とともに進化すべきものだ」と話している。その言葉を胸に、太平洋クラブ御殿場コースの改修は着工された。

今回改修を手掛けたのは米国のリース・ジョーンズ氏。ロバート・トレント・ジョーンズを父に、ロバート・トレント・ジョーンズJrを兄に持つ、コース設計一家に生まれ、自身も多くのコースを設計し、高い評価を得ている。特に近年は「オープンドクター」と評されており、メジャー請負人とまで言われている。

リース・ジョーンズ氏が評価される要因は、単に飛距離を伸ばすことでコースの難度を上げるといった手法を取らない点にある。あくまでも元のデザインを尊重し、それを現代風にアレンジしていく。今回の御殿場コースに関しても、故・加藤氏の設計は素晴らしく完成されたものだと評したうえで、監修を引き受け、コースの全長はほとんど伸ばしていない。バンカーなどのハザードの配置や形を変えることで、そのコースが持つ戦略性を蘇らせているのだ。

太平洋クラブ代表取締役社長の韓俊氏(左)と今回改修を手掛けたのは米国のリース・ジョーンズ氏(右)。

実際にラウンドしてみた印象は、以前は松林にセパレートされている日本的な雰囲気だったのが、広々とした欧米風の雰囲気になったこと。バンカーの輪郭が変わり、ホール自体の見え方が変わったのもそう見える要因の一つだが、ティショットでの狙い目が以前よりも明確になったように感じる。それは狙い目が広くなり優しくなったという意味ではなく、打つべきポイントがわかりやすくなったということ。そこにしっかり打っていければ、次のショットで攻めていける。グリーンまでのルートがティグランドからイメージすることができる。

また、今回の改修でグリーン面はほぼそのままの形状を残している。その代わりにグリーン周りにはリース氏の罠が随所で仕掛けられている。もともと砲台型になっている御殿場コースだが、グリーン周りの傾斜の芝を狩り込むことでミスショットに対しては確実にペナルティを課すようなデザインになった。そのためにグリーン周りのバンカーはほぼ全てに手を加えており、プレーヤーにプレッシャーを与えている。2018年大会ではまだ改修初年度ということもあり、芝の状態がベストではなかった。来年、再来年と年を重ねるごとに、リース氏が仕掛けた罠は牙を剥くに違いない。

また松山プロが監修に加わったことで、トーナメントコースとしての難度は世界水準へと引き上げられている。コースの全長を伸ばさずに、トーナメント時にはパー72を70にする。これは松山プロの提案で、たったそれだけで確かに優勝スコアは引き下げられた。これは世界のメジャーでも多く採用されていることで、プロが感じる難しさがトーナメント時に現れるということが、リース氏の改修ポイントにもなっている。

こういった大規模改修は賛否両論を伴うものだが、2018年の三井住友VISA太平洋マスターズを終えたプロの評価は軒並み高評価だった。富士山の麓に広がる太平洋御殿場コースは、今後の日本のコースが変貌していくべき道標になるのかもしれない。

太平洋クラブ御殿場コースの詳細はコチラ!


Text=出島正登