【IR特集】国際ホテルジャーナリストが語る、日本のIRが高級ではなく一流を目指すべき理由

来たるIR時代に求められるものはいったい何なのだろうか。スポーツ、食、エンタメ、投資、街づくり、イベンター、観光、ホテル。各界のトップランナーによる分析が明かすのは、IRには日本をさらなるステージへと導く力を秘めているということだ。
     

「最高のIRはおのずと客を選びます」

京都をはじめ、日本でも受容範囲を超えた観光客が訪れるオーバーツーリズムが問題視されるようになってきた。

「今は量よりも質が重視される時代。ですから、日本のIRは“高級”ではなく、“一流”を目指すべき。高級と一流の違いは、その土地の住民から誇りと愛着を持たれているかどうか。

例えば、高級ホテルは建物の周りに高い塀を築いて、地域住民との交流を遮断するようなものでもいい。でも、地元に密着してこそ、一流のホテル。地域としての質を高め、それに見合ったゲストを迎えるためにも、一流の施設をつくるべきです」

そう話す小原康裕氏の理想は、ドイツのバーデン=バーデン。欧州屈指の温泉地として知られ、18世紀にホテルやカジノが誕生。王侯貴族や文化人に愛され、その格式は今も守られている。

「ここにあるホテルやレストラン、美術館、劇場などの施設は、すべて一流。さらに温泉地ならではのクアハウスという楽しみもある。日本も温泉はもちろん、世界遺産に登録されるほど質が高い食文化、神社・仏閣に代表されるスピリチュアルなスポットなど、外国人を惹きつける要素が多い。日本の独自性を押しだしながら、一流のIR施設をつくり上げてほしいですね」

Yasuhiro Obara
国際ホテルジャーナリスト。慶應義塾大学法学部法律学科卒。1974年Munich Reに入社。2001年に投資顧問会社原健を設立し、代表取締役CEOに就く。JHRCA(日本ホテルレストランコンサルタント協会)常務理事。

Text=川岸 徹 Photograph=五十嵐 真