ビリヤニ愛再燃! 帰ってきたディーン・フジオカ ~野村雅夫のラジオな日々vol.23

現在、大阪のFM802を中心に、ラジオDJや翻訳家などさまざまな領域で活躍する野村雅夫さん。この連載は、野村さんのラジオというメディアでDJをすることの醍醐味や、ラジオで出会ったアーティストとのエピソードを披露してもらう。今回は、前回の登場時に尋常ではない南インド料理愛を披露してくれたディーン・フジオカさんだ。


アジアの音楽シーンをかき回す!

年が明けて、ディーンさんがまた番組に帰ってきてくれた。アルバムのこと、アジア・ツアーのこと、僕も聞きたかったこと、確認したかったことがいくつもあったので、20分に及ぶ長めの収録になってしまった。それでも駆け足だったのだけれど。ディーンさんは、基本朗らかに、茶目っ気を混ぜつつも、大事なことには考えながら丁寧に語ってくれた。放送では時間の都合でカットした部分も含めてお楽しみあれ。もちろん、当番組ではおなじみの話題、ビリヤニの話題も出てきますよ。

チャオ! ディーン・フジオカです。

ーーチャオ! 今さらだけど、今年もよろしくお願いします。前回ゲストに出ていただいた時に、スパイシーな炊き込みご飯、ビリヤニの話をうかがって以来、2018年のCiao Amici!(チャオ・アミーチ)はですね、ビリヤニの話で番組が持続できました。

ビリヤニ番組になっちゃいましたか?(笑)

ーーあの料理の魅力に僕らは炊き込まれましたよ。

スパイスを巡る大航海時代だ。

ーー日本ビリヤニ協会というのがあってですね、その関西支部長と知り合いまして、ゲストにも来てもらったんです。

めっちゃ面白いことやってますね。

ーーおかげでリスナーの間でもブームになってしまいまして、店に食べに行くだけじゃなくて、自分の家で作ってみたとか、果ては「年越しビリヤニ」って人もいましたからね。

ハハハ! めっちゃ面白い。めでたい!

ーー僕も実はイベントを一度やったんですよ。ビリヤニ協会の方や、インド料理研究家、さらにはイタリアンのシェフがオリジナルのビリヤニを考案したというんで参加してもらって、それを一挙に食べ比べしちゃおうっていうイベント。

呼ばれてな〜い!(笑)

ーー呼べないわ、気軽には! 

それは参加したかったな。

ーーご飯は何度かご一緒してるけど、同じ釜のビリヤニを食べたことはないから、そのうち実現できるといいですね。とはいえ、忙しいDEANさんです。年末年始もあちこち飛び回っていたようで。

そうですね。年末は香港で仕事納めで、年明けはオーストラリアに行ってました。

ーー年越しは飛行機の上だったんですってね。

そうそう。なんか、カウントダウンが業務連絡っぽい感じで(笑)、 CAさんが「年が明けました」みたいな。

ーーちょっと口調はしめやかなんだね、さすがに。

みんなシーンとしている中、僕は粛々と心の中で「2019年もがんばるぞ」って決意を固めていた感じですね。

ーー僕の場合は国内メインですけど、ちょいちょい出張で飛行機に乗ることもあって、マイルをせっせと貯めてるんですよ。陸マイラーって言うんですが、飛行機に搭乗する以外でもマイルを貯めていくという貪欲なスタイルなんです。

クレジットカードとかで?

ーーそうそう。一度聞きたかったんですけど、DEANさんも相当たまってるでしょ?

ですね。ただ、あんまり使ってないので、勝手に貯まってる感じですね。

ーー「DEAN、マイルで世界一周」みたいなことも可能じゃない?

やってみたい。ていうか、「やってみた」企画だ(笑)。

ーー前回ゲストに来てもらった時にね、撮影してた映画も一通り公開され、あるいは公開時期も決まり、音楽活動も順調にやって、これからどうしていこうかっていう目論見については、まだ言えないことも多いって話してた記憶があるんです。今思えば、それはもっとアジアに打って出ていこうってことだったのかなと。

ですね。1stアジアツアーもやりますし。日本国内7都市と、上海、香港、台湾を回る予定です。

ーーこれまでも英語や中国語での歌があったとはいえ、1月30日に出た今回の2ndアルバム『History In The Making』では、タイトルトラックの歌詞は中国語だし、ボーナス・トラックとして入っている『Let it snow! -Mandarin Ver.-』ってのもあるし、作品の大事な部分を担うようにもなっている印象です。ツアーでの盛り上がりも意識してのことだと思いますが、聞くところによると、曲順は曲ができた順番らしいじゃないですか。

そうです。作った順で並べました。ボーナス・トラックの前、15曲目に入っている『History In The Making』という曲は、簡単に言えば、アジアツアーのテーマソング、アンセムみたいなものですね。そういうのを自分で作りたかったんですよ。『Let it snow!』に関しては、2017年にシングルで出した時に中国語でも作ろうって思ってたんですけど、タイミングが合わなくて、やっと今回実現できたということですね。

ーー1stの『Cycle』から、アルバムとしては2年半ほど空きました。考えてみると、1stはインドネシアでの音楽体験を踏まえて、向こうでエイヤッと作りましたよね。その勢いもパッケージされていました。今回は東京ベースで音楽を作る中で、そのやり方も変わってきたと聞いています。『History Maker』から始まり『History In The Making』で終わるこのアルバムは、DEAN FUJIOKAというミュージシャンがこの2年半に歩んできた歴史、物語、道のりをたどるような作品ですよね。

そう! ドキュメンタリーですね(笑)、音の変化のドキュメンタリー。

ーー徐々に変わっていきますもんね。

確かに、グラデーション、あるいは数珠つなぎになっています。

ーーそこが面白い。こういうのって、あまり無いですよ。普通は曲が揃ったら、いったん整理して順序を考えるだろうし。ところが、これはサウンドの変化をダイナミックに楽しめます。それだけDEANさんの興味もどんどん広がってるってことだろうし。

これまでに出していた曲も、このアルバムに入ることで、意味がまた出てきますね。

ーー具体的な曲の話の前に、ひとつ聞いてみたかったことがあるんです。DEANさんって、幅広く音楽を聴いているじゃないですか。作るだけじゃなくて。

はい。ひとりの音楽ファンとして。

ーー宇多田ヒカルが『Too Proud』って曲のL1 Remixっていうのを出しました。

はいはい。

ーー中国、韓国、ベトナム、それぞれのラッパーに母国語(Language 1)でラップしてもらうという作品だったわけですよ。彼女がデビューした頃ならまず考えられないような試みをやってのけた。宇多田ヒカルはそういう方法だったけれど、DEANさんはアジアでの知名度もミュージシャンとの交流もある人だから、僕はアジアの音楽圏をつないでほしいなって思っているんです。今回のアジアツアーは、その意味でも成功させてほしい。僕は観に行くのは難しいけど……。

なるほど。っていうか、来てくださいよ。マイルを貯めに(笑)。

ーーCiao Amici! 今日は香港から生放送です、みたいなね。

そして、一緒にビリヤニも食べに行きましょう、みたいな。香港がまた美味しいんですよ。

ーーマジで!?

だって、インド人のコミュニティーがめっちゃデカいから、香港は。あと、他にもビリヤニがおいしい街にたぶん行けると思うんで。

ーー帯同したいわ。

僕の自分史上最高のビリヤニっていうお店を案内したいですね。

ーーていうか、その企画で一冊本ができそうだよ。

なんでまだ出てないんだろうって思いますよ(笑)。

ーービリヤニはさておき、なぜこういう話をしたかというとですね……たとえば、ヒップホップ、あるいはラップを例にすれば、アメリカで生まれたものなわけで、それが世界あちこちに広がって根づいてきてはいるわけですが、日本のシーンにおいて、どうしても日本国内の音楽かアメリカのものか、そのどちらかだけになりがちじゃないですか。だけど、日本はアジアの一ヵ国ですよ。

間違いない。

ーー本来は音楽的にももっと交流があるべきでしょう。なのに、僕らFM802でオンエアするものだって、英語圏の音楽と邦楽がほぼすべてって状態なわけです。これからの10年を考えていった時に、もっとアジアの中での日本という位置づけが必要だよなと思っているんです。そこでキーパーソンとなるのはDEAN FUJIOKAだろうと。

ありがとうございます。嬉しいな。

ーーまさにヒストリー・メイカーとして、このアルバム『History In The Making』は大事な1枚になるのではないかと。

すごく嬉しいことを今言ってくださいましたね。そこまで深く考えていただけるとは。

ーーもちろん、サウンドとしてはアメリカのトレンドを取り入れているものもあるし、そういう切り口で話すこともできるんでしょうけど、僕は今みたいな観点で捉えたい。だって、参加している面々を見渡してみると、Ovallのmabanuaくんだったり、starRoだったり、国際的に活躍している人も多いですよね。あと、DJ SUMOさん。この方はどこの方でしたっけ?

インドネシア。ジャカルタです。

ーージャカルタだ! こういう方がスッと入ってるのが、ディーンさんならではじゃないですか。

それこそ、SUMOなんて、ビリヤニ仲間ですよ! セッションが終わって、夜中の3時4時とかに、ビリヤニを一緒に食べに行ってましたから。

ーーこの前も話してくれてましたよね。夜中まで空いてるお店があって重宝したんだって。

そう、24時間やってるんですよ。

ーー既存の曲、たとえば僕の番組でもおなじみの『History Maker』『Permanent Vacation』も、アルバムバージョンに仕立て直してます。

『History Maker』については、ボーカルのテイクが違うっていうのがまずあって、ミックスはより壮大な感じに広げたっていう感じですね。『Permanent Vacation』に関しては、シングルで出した頃の音が今の僕にはなじまなくて、マスタリングの工程でかなり音の方向性を変えました。

ーーまさにHistory In The Makingっていうプロセスじゃないですか。ドキュメンタリーだ。単純にバージョンを変えたっていうことじゃなくて、ディーンさんが今はこう思うっていう音がこちらには入っている。

そうですね。この曲は唯一そのままだとダメだと思ったんです。マスタリングで試行錯誤したんですけど、すごくびっくりしたのが、マスタリングの工程でこれだけの変化をつけられるんだっていう技術的な可能性です。自分が思っていた以上に、できることがたくさんあるんだと知るいいきっかけになったんですよ。勉強になりました。

ーーデモを作り、レコーディングをし、ポスト・プロダクションと言われるような仕上げの段階の選択肢が広がったっていうことですね。それは今後の曲作りにも変化が出てくるんじゃないですか? 引き出しが増えたってことだから。

おっしゃる通りですね。15曲作っていく中で、デモの作り方、アレンジでの発展のさせ方、ミックスとはそもそも何なのか、マスタリングで何ができるのか、東京オペレーションシステムの進め方は勉強になりました。この2年半の間に。

ーーアルバムは頭からぽんぽんと既存曲が続くから、いきなりハイライトって感じがするんですが、リスナーにアルバムをこれから聴き込んでもらうにあたり、僕は半ばに注目してほしいなと思っています。

ああ!

ーー特に『Sakura』『Legacy』『Accidental Poet』『Fukushima』という流れがすごく好きです。

ありがとうございます。

ーー『Maybe Tomorrow』というFM802でもたくさん鳴っているタイアップ付きの曲がその後に控えているんですが、それを目がけるように続く4曲が面白い。『Sakura』なんて、タイトル直球ですが、日本的な情緒の代表で、どのミュージシャンも桜ソングは作ってますよね。だけど、まだこんなアプローチがあったかっていうくらい新しかったです。

嬉しい。

ーー和のメロディーみたいなものに、必ずしも寄りかからず、花びらが舞うようななめらかなメロディー・フロウをきれいに聞かせていて、すごくいいなと。『Fukushima』は、ご自身の出身地でもあります。オフィシャルのインタビューでも語ってらっしゃいますが、福島とフクシマ、あるいはFUKUSHIMAには違いがある。地名という固有名詞以上の、特別な意味を持ちすぎた福島を、一度、元の意味に戻す歌なんですかね。

戻すというか、違う見方を足すって感じですかね。全部は変えられないけど、FUKUSHIMAの偏ったイメージを極端にも感じたんです。そこで生活されていたり、自分も含めてそこを故郷に持つ人が持つ景色があるっていうのを足したかったですね。

ーー3.11もまた迎えることになりますから、シングルとは違う、アルバムならではのこうした試みや実験が半ばに詰まっているので、このあたりをCiao Amici!のリスナーにはぜひじっくりと聴いていただきたいです。

そうですね、確かにこのあたりは実験的です。

ーーさ、これからはDEAN FUJIOKA 1st Asia Tour 2019 "Born To Make History”です。そこでまた成果を上げてもらって、今後歩んでいかれる音楽の道への先鞭をつけるってこともあるし、アジアの音楽シーンをかき回してほしいなと願っています。今日は、どうもありがとうございました。

はい! ありがとうございました。

DEAN FUJIOKA 1st Asia Tour 2019 “Born To Make History”

スケジュール
◇2019年2月16日(土) 宮城 東京エレクトロンホール宮城 大ホール
【開場】17:00【開演】18:00
問い合わせ先:GIP 022-222-9999

◇2019年2月20日(水) 大阪 フェスティバルホール
【開場】18:00【開演】19:00
問い合わせ先:キョードーインフォメーション TEL:0570-200-888(全日 10:00~18:00)

◇2019年2月21日(木) 大阪 フェスティバルホール
【開場】18:00【開演】19:00
問い合わせ先:キョードーインフォメーション TEL:0570-200-888(全日 10:00~18:00)

◇2019年3月3日(日) 福岡 福岡市民会館 大ホール
【開場】16:30【開演】17:30
問い合わせ先:BEA TEL:092-712-4221(月~金 11:00~18:00、第2・第4土 11:00~15:00)

◇2019年3月9日(土) 広島 広島JMSアステールプラザ 大ホール
【開場】17:00【開演】18:00
問い合わせ先:夢番地(広島)TEL: 082-249-3571(平日 11:00〜19:00)

◇2019年3月15日(金) 静岡 静岡市清水文化会館マリナート 大ホール
【開場】18:00【開演】19:00
問い合わせ先:サンデーフォークプロモーション静岡 TEL:054-284-9999(月~土 10:00~18:00)

◇2019年3月17日(日) 愛知 名古屋国際会議場センチュリーホール
【開場】16:30【開演】17:30
問い合わせ先:サンデーフォークプロモーション TEL:052-320-9100

◇2019年3月23日(土) 北海道 札幌市教育文化会館 大ホール
【開場】17:00【開演】18:00
問い合わせ先:ウエス TEL:011-614-9999(平日 11:00~18:00)

◇2019年3月29日(金) 東京 NHKホール
【開場】18:00【開演】19:00
問い合わせ先:ホットスタッフ・プロモーションTEL: 03-5720-9999(平日 12:00~18:00)

◇2019年3月30日(土) 東京 NHKホール
【開場】17:00【開演】18:00
問い合わせ先:ホットスタッフ・プロモーション TEL:03-5720-9999(平日 12:00~18:00)

◇2019年4月12日(金) 上海 MODERN SKY LAB
Amuse Shanghai Weibo : www.weibo.com/amusecn
※詳細は上記のサイトをご覧ください♫

◇2019年4月20日(土) 香港 Music Zone @ E-Max
Live Nation Hong Kong Home Page : www.livenation.hk
Live Nation Hong Kong Facebook : www.facebook.com/livenationhk
※詳細は上記のサイトでご覧いただけます!

◇2019年4月27日(土) 台湾 CLAPPER STUDIO
Amuse Taiwan Facebook : www.facebook.com/amusetaiwan/
※詳細は上記のサイトでご覧いただけます!


野村雅夫
野村雅夫
ラジオDJ/翻訳家。1978年、イタリア生まれ、京都在住。大人のためのミュージック・ステーションとして人気を博すFM COCOLOで、モーニングショーCIAO 765(mon-thurs. 6:00-11:00)を担当するほか、イタリア文化を紹介する京都ドーナッツクラブの代表を務め、映画や小説の翻訳を行う。訳書や映画評、エッセイなど多数。
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