卓越したギタープレイの女性シンガーソングライターRei~野村雅夫のラジオvol.38

現在、関西のFM COCOLOを中心に、DJや翻訳家などさまざまな領域で活躍する野村雅夫さん。この連載は、野村さんのラジオというメディアでDJをすることの醍醐味や、ラジオで出会ったアーティストとのエピソードを披露してもらう。今回はシンガーソングライターでギタリストのRei。


音楽好きをシビれさせる超注目アーティスト

彼女に初めて会ったのは、5年前だったか、6年前だったか。いずれにせよ、デビューの前後だった。小さな身体にギターを背負って、殊勝な態度で挨拶をしてくれた。品の良さと、とっつきやすさ、その両方を兼ね備えていて好感が持てたのだけれど、いただいたCDを再生してみて驚いたのは、その卓越したギタープレイだった。音楽にも、何かに媚びた感じがない。僕はすっかりハマってしまい、番組にも何度となく迎え、イベントも一緒に実施してきた。と、その間に彼女の評価は音楽シーンでグングン上がっているのだけれど、それもそのはずで、はっきり言ってますます作品が良くなっているのだ。幅広い世代の音楽好きのハートを掴んでやまない彼女が、11月6日、また僕の番組に出てくれたので、その模様をお送りする。

シンガーソングライター、ギタリストのReiです。

――Reiちゃん、チャオ!

チャオ!

――久しぶりです。よろしくお願いします。

はい。お願いします。

――FM802に僕がいた時には、繰り返しゲストとして出演してもらったし、なんなら、出演の予定がない時であっても、生放送中のスタジオに立ち寄って挨拶をしてくれたり、ずっとおつきあいがあります。

そうですね!

――ただ、このFM COCOLOに移ってからは、初めてご一緒するので、まずはReiちゃんのプロフィールをご紹介です。兵庫県伊丹市の生まれ。幼少期をニューヨークで過ごし、4歳からクラシック・ギターをまず始めます。そして5歳の頃にブルーズに出会い、やがてはジャンルを越えた独自の音楽を作るようになります。2015年、1stミニ・アルバム『BLU』をリリース。その後、国内外のイベントにも多数出演して大活躍。よく、こういう時に、海外でもやってますよなんて言うことがあるわけですが、Reiちゃんの場合には、FM COCOLOのスローガンWhole Earth Stationの言葉を使えば、ホール・アースですよ。

(笑)ホール・アース!

――だって、もう、所狭しとあちこちのフェスに出演してますから。で、2017年には、日本人ミュージシャンとしては初となる、TED NYCでのライブを行いました。COCOLOリスナーにもファンが多いと思います。卓越したギタープレイと、伸びやかな声の魅力を振りまきながら、今にいたっていると。

ありがとうございます。

――新しいミニ・アルバム『SEVEN』の発売までちょうど1週間というこのタイミングで来てくれました。メッセージもたくさん届いています。抜粋して、こちらは東大阪の男性から。「今日のゲストがReiちゃんと聞いてテンションが上がっています。FM COCOLOでたまたま『Route246』(3rdミニ・アルバム『ORB』に収録)を耳にして即ファンになり、曲もダウンロード。新しい作品『SEVEN』も楽しみです。そして、昨夜のDJマーキーさん(現在67歳で、関西のラジオシーンを引っ張るスーパーDJ)との即興のセッション、最高でした。マジック・サム(1937年に生まれ、69年に早逝したブルーズのシンガーでギタリスト)の『I Just Want A Little Bit』という選曲の渋さに、惚れ直しました。50のおっさんですが、ライブにも行きたいと思います」と。もちろん! そんなの年齢関係ありませんから!

はい。ぜひいらしてください。

――そっか、昨日はFM COCOLO梅田タワースタジオからの公開生放送、マーキーさんとは盛り上がりましたか?

そうですね。あの方……

――あの方は?

個性が爆発っていうか。リスナーとしてもそう思ってましたけど、実際にインターアクトしてみて、バイタリティーのすごさを感じました。唯一無二の方だなと思います。

――そうなんですよね。それこそ、僕も学生時代からリスナーだった、DJとしての大大大先輩ですけどね、会うと、気さくにもほどがあるというね(笑)。そういう感じで、かわいがっていただいております。で、そうそう、選曲の渋さってことで言えば、思い出すのは、5年ほど前かな、僕がやってる会社の事務所兼イベントスペースのチルコロ京都に来てもらったことです。一緒にトーク&ライブのイベントをやりました。あの時は、ラジオよりも一歩二歩、いや、三歩ほど踏み込んで、Reiちゃんが親しんできたブルーズのルーツを、実際に音を聴きながら教えてもらおうというのがテーマでした。

あれは楽しかった!

――僕も不勉強なことに知らないブルーズ・ミュージシャンが多かったから、未だにあの時のプレイリストを残してあるんだよ。

本当ですか? 嬉しい。

――時々、ブルーズが聴きたいなと思えば、すぐ再生です。そうだ、Reiちゃんがオススメしてくれたもの、Reiちゃんが聴いていたものから初めてみようと。で、そこから、サブスクリプションで引っかかってくる他のプレイリストをまた試してみて、他のミュージシャンへと広げていく。ほんの少しだけど、ブルーズの知識を深めるっていう機会を作ってます。

ありがとうございます。

――で、今日はギターを持ってスタジオに登場。ギブソンのもの。どれだけ弾いているんだっていう。

そうなんですよ。56年製なので、もう60代という。

――ほぼマーキーさんです。

確かに! ほぼマーキーさん。

――実際に手にしてからは何年くらい?

6、7年くらいは経っていると思います。

――もうすっかり馴染んでいるわけですね。それでは、スタジオライブ、よろしくです。

――いやぁ、かっこいい! Reiちゃんの生演奏で、『Territory Blues』お楽しみいただきました。ミュージシャンにこうやって目の前で演奏してもらうスタジオライブの機会ってのは、僕は多いですけど、今日は一味違うなと思ったのは、ガラスの向こうのスタッフたちの眼光の鋭さです。「あの指はどうなってるんだ!?」って思いで、食い入るようにみんなReiちゃんを見ていました。それにしても、『Territory Blues』を演奏するんだって、僕はびっくりしました。

そうなんですか?

――だって、CDではエレキでガンガンにリフを鳴らしているじゃないですか。アコギでこれはハードルが高そうだと思っていたところ、弾き語りならではのアレンジも施しながらって感じで披露してくれました。それでも、リフはしっかり弾くという。かっけぇなぁ。これって、決意の歌でもありますよね?

そうです。テリトリーって、縄張りって意味もありますが、自分にとっては居場所っていう意味で今回は書きました。居場所って、甘やかしてくれる場所でもありますけど、自分を進化させたり高めてくれたりする場所でもあるかなと思っているんですね。マチャオもこうしてFM COCOLOに来て、環境が変わったと思いますが、それって居場所を作る、そして周りにいる人を作るっていう意味もありますよね。そういうことを考えるうちに、自然と決意表明のような部分を含んだ曲になりました。

――ブルーズを基本にしながら、時にポップに、ロックに、ファンクに、フォーキーに、Reiちゃんの音楽的なテリトリーも広がっていますよね。それから、さっきも言ったように、フランスへ行ったり、インドネシアに行ったりと、ホール・アースな動きをしているReiちゃんの、今この段階での決意表明ってのが頼もしいなと思いました。で、実は今日、この10時台、Reiちゃんが出てくれる前に、Reiちゃんへの道のりを作っておこうと思って、バイクにまつわる曲を並べてたんです。Katy Perryやら、Little Mixやら、東京スカパラダイスオーケストラの演奏による『Born To Be Wild』やら。で、今演奏してくれた『Territory Blues』が、ハーレー・ダビッドソンとのタイアップなんだよね? ハーレーに拍手だよ。見事なタイアップだと思ったもの。

ハーレーって世界的なブランドで、そこにカルチャーが絡んでいるじゃないですか。ただの実用的なバイクではないというか、ファッションや、乗る人の生活にも密接につながっているので、そういう意味で、音楽にクロスオーバーしてお声がけいただいたってのは、すごく嬉しかったですね。

――その『Territory Bues』で幕を開けるのが、新しいミニ・アルバム『SEVEN』になります。この7という数字には、いくつかの意味があるようですね。

そうです。これまで6作品リリースしてきて、自分の中では第1章が終わったような感覚があったんです。で、第2章を始めるにあたって、改めて、「これは7作目なんだよ」っていう意味で『SEVEN』と付けました。その他にも、7曲入りだとか、毎日週7で聴いてほしいという意味も込めています。さらに、音楽的には音階の中で7番目のものを含んだ和音であるセブンス・コードが、私のお気に入りの響きなんです。若干の不安定さもあるし、コード全体の中ではひねくれ者的な立ち位置でもあるんです。

――面白いねぇ。ジャケットの写真の衣装について、こんな質問が届いていますよ。ハルクマニアさんという方です。「あの衣装はどうなってるんですか? ちゃんと袖とかあるのか。それとも、ただ上から被っているものなのか。重くないのか。むしろ、服なのか?」

確かに!

――7っていう数字は、虹の七色にもつながるじゃないですか。そんなことも想わせるカラフルな衣装に身を包んでおります。で、これは服なの?

服です。

――もこもこしてるねぇ。

もこもこもこ。今回は、イメージ写真、ジャケット、MVも、すべてボリュームのあるお洋服を着ていて、ジャケットでは七色にかけてマルチカラーの、色をまとっているような印象を与えたいと、スタイリストさんとも相談しながら用意していただきました。大阪の作家さんらしいです。バスガウンみたいな感じで。

――完全にオーバーサイズだしね。

そうですね。フルレングスで、くるぶしまであって、フードも付いているんです。

――すごいんだよ。そこにまたパープルのエレキ・ギターを持ったりするもんだから、色の組み合わせが面白いし、Reiちゃんの髪の色もそこに加わるし。リスナーのあなたも、とくとご覧あれ。で、今後のReiちゃんの動きですが、来年の頭には1stアルバム『REI』を英語で歌ったインターナショナル版ってのもリリースします。

はい。これは、ジャズの老舗レーベル、ヴァーヴからリリースする予定です。

――ライブについては、まず、12月から弾き語りによるツアーを全国10箇所で実施します。ミニ・アルバムのリリースツアー『7th Note』については、2月から始まります。弾き語りも、バンドもあって、楽しみだ。日程について詳しくは、Reiちゃんのホームページをご覧ください。では、お別れの曲は、『Connection』にしましょうか。リクエストも何人もいただいていたことだし。人と人のつながりとか絆って大事だとは言うけれど、それだけを安易に目的化してしまうと、おかしなことになるよなって思わされました。

そうですね。本当の人と人とのつながりって何なんだろうってことを問うような内容になっています。

――でもね、難しい歌じゃない。面白い歌でもある。MVでのキューブリック・オマージュも鑑賞いただきたいところです。今日のゲストはReiちゃんでした。ありがとうございました。

ありがとうございました。


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野村雅夫
野村雅夫
ラジオDJ/翻訳家。1978年、イタリア生まれ、京都在住。大人のためのミュージック・ステーションとして人気を博すFM COCOLOで、モーニングショーCIAO 765(mon-thurs. 6:00-11:00)を担当するほか、イタリア文化を紹介する京都ドーナッツクラブの代表を務め、映画や小説の翻訳を行う。訳書や映画評、エッセイなど多数。
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