MA-1の裏地はなぜオレンジ? カジュアルはやり過ぎ厳禁【ファッションアドバイザーMB】

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カジュアルファッションの「正しい着こなし」を考える

ある程度の役職や地位を獲得すると付き合う人が変わり、飲みに行く場所が変わり、読む雑誌が変わり、触れるカルチャーが変わり……徐々に「ラグジュアリー」を纏う様にもなってきます。

良いクルマに乗り、良い服を着て、良い靴を履き、良い小物をつけ……もちろんそうしたスタイルも素敵ではありますが、私はファッションの専門家として「やり過ぎ注意」と警告させて頂きたい。

六本木や麻布で飲んでいると、この「やり過ぎ」な男性をよく見かけます。ラグジュアリーがインフレし、嫌味ったらしい、成金趣味になってしまっている人…...。やたらとギラギラとしたラグジュアリーなTシャツを選んでいたり、目立つシルバーやゴールドの小物をこれでもかと重ね付けしていたり。スーツの場合は装飾するポイントがさほど多くないため「やり過ぎ」な方はそこまで見かけませんが、夜の食事の場などカジュアルウェアではこうした着こなしが目立ちます。

この「やり過ぎ」、実は街着の成り立ちを考えるといかに間違った着こなしか、理解できます。今回はカジュアルファッションの成り立ちから「正しい着こなし」を考えていきましょう。

▼「ミックスとオリジナル」の関係性

実は昔からカジュアルファッションではこの「やり過ぎ」を嫌う傾向があるのです。アパレル関係者は「Too much」などと表現します、一つの系統や一つのカテゴリに特化した着こなしをカジュアルファッションは嫌います。

これは成り立ちを考えれば納得なのですが……さてよく考えてみてください、実はカジュアルファッションにおいて「街で着るために作られた洋服」はほぼ存在しないのです。どういう意味か? 例えばジーンズはワークウェアであり元々作業用に作られたものであり「街で着るため」に開発されたものではありません。同じようにスニーカーは競技用に作れたものです。マウンテンパーカは登山用に作られたものです。シャツは礼服として作られたものです。トレンチコートは軍用に作られたものです。パーカはトレーニングウェアとして作られたものです。こう考えて行くと実は街で我々が着ている服はほぼ一つの例外もなく「違う目的で作られたものをあえて街で使っている」わけです。

そしてこうして様々なカテゴリのものを混ぜこぜに使っているからこそ「バランス」が必要になるのが街でのカジュアルファッション。何故なら「全身アウトドア」ではオリジナルである登山服になってしまうでしょう?「全身ミリタリー」ではオリジナルである軍人になってしまうでしょう? 混ぜこぜに着るから街着なのであって、オリジナルのまま使ってしまってはそれはもう街着とは言えないのです。

さてこの「ミックスとオリジナル」の関係において実はスーツも「オリジナル」です。そしてオリジナルには必ず正解があります。スーツは袖の長さは腕をおろした親指の先から何cmなど決まっています。ネクタイの幅はラペルの幅に揃える、シャツは襟が高いものを選ぶ、スラックスはクッションを過剰につけない、など「正解」と言えるルールが徹底的に決まっています。「オリジナル」は目的着であるからこそ必ずこうした正解があるのです。ミリタリーにおけるMA-1の裏地がオレンジになっているのはレスキュー時に裏返して発見しやくするためのものだし、マウンテンパーカがカラフルな切り替えばかりなのは遭難しない様に山の中で目立たせるためです。しかしカジュアルにおいては色も袖の長さもルールがありません。これは「ミックスとオリジナル」の大きな違いなのです。

そして前述の「Too much」に戻ります。この様にファッションには「ミックスとオリジナル」の2つの異なる世界が存在します。ミックスである街着において「あまりにも一つのカテゴリに傾倒すること」はオリジナルと混同していることとなり、それは街着の否定につながります。これをファッションの世界では「Too much(やりすぎ)」と表現するわけ。正解のない街着カジュアルの中で唯一と言って良いNGスタイルがこの「Too much」です。ミックスを否定する行為なので、そもそもカジュアルのあり方を否定する意味につながるわけです。難しいですがご理解頂けますでしょうか。

▼どこかで「ハズす」ポイントを作ること

そしてこれが転じて「ラグジュアリーで固めすぎると嫌味ったらしい」「古着で固めすぎると野暮ったい」など各カテゴリ、各ジャンルで「キメすぎるのを嫌う」ことに繋がっているのです。ラグジュアリーを全身で固めて財力を誇示するのは結構ですが、多くの人にとってそれは「おしゃれ」に映りません。ファッションを知っている人ほどそれが間違いであることを知っています。とりわけ着こなしにうるさい女性たちは敏感に察知してくるでしょう。

イタリア人は仕立ての良いポロシャツやシャツなどに、あえて野暮ったい古着のM65パンツなどを合わせます。こうした「上はカッチリしているけど下はルーズ」の様なバランス感が街着においては何より必要です。

スラックスにポロシャツに革靴とキメたスタイルでも「素材がリネン、シルエットがワイド」など少しラフな印象をプラスすることが大事です。何もかもキメキメでラグジュアリーにするのではなく「どこかで気をぬく」ことが必要なのです。

街着とはミックスである、だから何か一つに傾倒しすぎてはいけない。「Too much」を学んで頂ければよりあなたのファッションが洗練されるでしょう。「地位も役職もあるのに、あの人服はダサいよね」そんな陰口を叩かれないように、ほんの少しこうしたことを意識してみてください。是非ご参考に。

MB
ファッションバイヤー/ファッションアドバイザー/ファッションブロガー/作家。誰もが理解できる「オシャレの教科書」KnowerMagを運営。ブログ「最も早くオシャレになる方法KnowerMag」を運営。発行する有料メルマガは個人配信者としては日本一の規模を誇る(配信メディアまぐまぐにて)。書籍『最速でおしゃれに見せる方法』、漫画『服を着るならこんなふうに』など多数。関連書籍累計100万部突破。