42億! 爆発的に高騰する中国古美術。いまアートは アジアが大穴!


案内人:サザビーズジャパン 代表取締役社長 平野龍一  
1971年生まれ。2007年古美術商、平野古陶軒の3代目を継承。12年サザビーズ中国美術部門インターナショナル上級スペシャリストとして入社。16年より現職。

10月3日に開催されたサザビーズ香港オークション。筆を洗う際に用いる小振りな皿が、会場の視線をさらった。12億円でビッドがスタートし、瞬く間に30億円まで上がった。しかしそこから20分の時間をかけて、約42億円に到達。従来の最高記録である明成化(みんせいか) のチキンカップの37億円を大幅に塗り替える中国陶磁器の世界記録となった。サザビーズジャパン代表取締役社長の平野龍一氏は語る。

「歴史を長い目で見れば、中国は約4000年にわたって"世界の王者"でした。ここ数十年は低迷しましたが、現在は勢力を盛り返しています。2000年を境に、中国人が美術市場でも主役に返り咲き、美術品の爆発的高騰が見られます」

今回、42億円をつけた『汝窯青磁筆洗(じょようせいじひっせん)』は、中国陶磁のなかでも希少とされる汝窯の器。北宋(ほくそう)時代(10~12世紀)に皇帝用として作られたもので、同様の作品は中国・故宮(こきゅう)博物院や英国・大英博物館に収められている。

「西洋絵画で最も価格が高いといえる印象派の絵画は、最高額が200億円前後。今回の器が42億円でしたから、まだ伸び代がある。今後価格がさらに高騰する可能性は高いと思います」

落札価格:約¥4,248,000,000 中国陶磁器史上最高額の42億円で落札 今年10月に約42億円で落札された『北宋 汝窯青磁筆洗(ほくそう じょようせいじひっせん)』。世界のコレクターが憧れる北宋の青磁のなかでも、汝窯は特に希少性が高い。個人が所蔵する同様の作品は、世界に4点のみ。

そうした状況もあり、今、世界中のコレクターの目が中国美術に向いている。イギリス人はクラシックな図柄を求める。アメリカ人は形がはっきりとした明快な作品に惹かれ、日本人は宋時代のモノトーンを好む傾向が強いという。

「大切なのは、自分が好きな物を買うこと。高い品だけがいいわけではありません。まずは集めてみてください。10点ほど集まれば、その人の個性が浮きでてきます。コレクションは、その人の心を映し出す鏡のようなもの。自分を知るため美術品を集めるのが愉しいのです」

落札価格:約¥28,800,000 重厚感と華やかさが同居する明時代の壷 2013年の香港オークションに出品された『明嘉靖 五彩雲龍文方壷(みんかせい ごさいうんりゅうもんほうこ)』。明時代の方壷で、鮮やかな色彩で描かれた雲龍文が目を引く。予想落札価格の倍以上の値で落札された。
落札価格:約¥141,000,000 日本人に好まれるモノトーン 2016年のサザビーズロンドン「中国美術オークション」に出品された『南宋 目天目茶碗(なんそう のぎめてんもくちゃわん)』。予想落札額は300,000~400,000ポンド。約3倍の値がつき、1億円超え。


Text=川岸 徹 (C)Christie’s Images Limited 2017

*本記事の内容は17年11月取材のものに基づきます。価格、商品の有無などは時期により異なりますので予めご了承下さい。 14年4月以降の記事では原則、税抜き価格を掲載しています。(14年3月以前は原則、税込み価格)