安藤忠雄が築いた静謐と開放の宿「瀬戸内リトリート青凪」【ゲーテ旅特集2020】

名建築が纏う空気は、人々の心に特別な余韻を残す。そこで過ごす一夜は、癒やしとインスピレーションを得るきっかけにもなるはずだ。

瀬戸内海の多島美と安藤建築のマリアージュ

インフィニティプールの向こうに広がるのは、瀬戸内海の島々。それはまるで時刻や季節によって表情を変える額縁のようだ。

この「瀬戸内リトリート青凪」は、もともと美術館兼ゲストハウスとして1998年に建造された。特徴的な打ちっぱなしのコンクリートの壁からもわかるように、設計を担当したのはあの安藤忠雄氏。

5年前、スモールラグジュアリーホテルとしてリノベーションされた今も、エントランスから続く静謐な雰囲気や各所に展示された絵画が美術館だったころを思い起こさせてくれる。

安藤建築の凛とした雰囲気と、瀬戸内ならではのゆったりとした雰囲気が見事にマリアージュ。他にはない贅沢な気分を味わうことができる。

その静謐が開放感に変わるのは、部屋に入った時だ。最上階に位置する「THE AONAGIスイート」の天井高8mいっぱいにとられた大きな窓から見えるのは、瀬戸内海の大パノラマ。その気持ちよさに思わず声を上げそうになる。

緑濃い森林の中の大人の隠れ家。窓を開けても聞こえてくるのは、木々のざわめきと鳥の鳴き声だけ。ゆったりとソファに腰かけていると、ふんわりと潮の香りが漂ってくるような錯覚すらおぼえる。

8000㎡の敷地にわずか7部屋。窓から見えるのは、海と山、そして空だけ。吹き抜ける風を感じながら過ごしていると、三密なんて言葉すら忘れてしまいそうになる。

隣接する「エリエールゴルフクラブ松山」でゴルフを楽しむもよし、プライベート温水プール&温泉ジャグジーでゆったり過ごすもよし。

もちろん地元の旬の食材を堪能できるダイニングや、スイートルームで行われるスパなど、各種施設も充実。フロントからソムリエまで全員がコンシェルジュのような役割を担うというパーソナルなサービスも自慢だ。

当初の安藤建築を目当てに訪ねてきた客がリピーターになるという秘密は、そんなところにもあるのだろう。

ホテルのアイコンとも呼べる、30mに及ぶインフィニティプール。美しい景色のための額縁のよう。

Setouchi Retreat Aonagi
住所:愛媛県松山市柳谷町794-1
TEL:089-977-9500
客室数:7室
料金:¥103,950~(2名1室利用時、夕朝食つき、税サ込)
施設:レストラン、プール、貸切プール& ジャグジー、サウナほか
詳細はこちら

Text=代々木 元 Photograph=松本 昇