「R」の発音が全然できない ~英語力ゼロの私が、ロンドンに移住したら④

35歳英語力ゼロなのに、会社を辞めて渡英した元編集者。「その英語力でよく来たね(笑)」と日本人含め各国人からお叱りを受けつつ、覚えたフレーズの数々。下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。「人のイングリッシュを笑うな」第4回!

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渡英8ヵ月目の絶望

先日、初めて英語の電話をしました。(これまで大抵のことはメールで済ませていました)。相手が何を言っているのかまったくわからずフリーズ、何回も同じことを言わせた挙句、「私は英語が下手でよく聞き取れないので、もう一度最初から言ってもらえますか」と伝えると。

「Actually it’s not bad」

と笑いながら言われました。「気にしないで」ということだと思います。実際、ロンドンは移民の多い街なので、みんな外国人の英語には慣れています。ですが一方でイギリス人は時にピリリとした謙遜やお世辞を言う人種でもあります。私はここで、京都の人に「ぶぶづけどうぞ」と言われるくらいの、刺激を感じました。実際電話口で30秒近く沈黙したわけですから、Not Badなわけがないのです。また唯一ここだけ聞き取れたところも情けなく、結局求めていた回答を得られないまま電話を切りました。

渡英から8ヵ月。いまだに「Earl Grey Tea Please」の注文が一発で通ったことがありません(「R」の発音は日本語にはない音で、実際には正しくありませんが、下手すぎる私は「巻き舌」にするくらい意識しないとダメ、と教師に言われています)、また語学学校の課外授業で「Nail」を持ってきて、と言われて、ネイルアートに使うマニュキュアを持って行ったこともあります(Nail=釘でした)。渡英前は、8ヵ月も経てばある程度英語ができるようになる、と思っていました。何を根拠にそう思っていたのか、勉強の仕方を、何か根本的に変えなければいけないのかもしれない、そう思っている今日この頃です。


Trainers って何?

ロンドンにやって来て、1ヵ月が経った頃の話です。スニーカーの底が完全にすり減りました。バスの路線が複雑で、Wi-Fiも微弱、人に聞く英語力もなく、「間違ったバスに乗るくらいなら歩こう」という判断が積み重なった結果です。

(ちなみにこの頃、初めて「Earl Grey Tea Please」の失敗を経験、これがトラウマとなりしばらく店員さんと対面しなくていい、セルフレジの店にしか行けなくなっていました)

流石に新調しなければと、買い物に出たところ。店員さんに声をかけられました

“Are you looking for trainers?“(トレーナーズをお探しですか?)

何を言っているかわからなかったので、聞き返しました。何度訊いても「トレーナー」と言っているように聞こえます。明らかにスニーカーを手にしている私になぜ「トレーナー」と言ったのか。それは

スニーカー=Trainers

というから。「スニーカー」はこれもまたアメリカ英語だったようです。このような服の名称違いは他にもいくつかあり、例えば”Pants”。いわゆるズボンですが、日本語でもアメリカ英語でも「パンツ」でOKですが、イギリスでは“Trousers”と言います(イギリスで”Pants”というと、下着のことになってしまうほか、口語では「ごみ、クズ」という意味にもなってしまいます)。


巷に溢れる日本語ロゴグッズ

ちなみにスニーカーを探していた時にこんなものを見つけました。

「SUPERDRY 極度乾燥(しなさい)」というブランドのスニーカー。日本語が絶妙にあしらわれています。これは2003年に生まれた「アメリカのヴンテージ生地と、日本のグラフィックに触発された」イギリス発のストリートブランドです。デヴィッド・ベッカムが着用していたことをきっかけに2008年頃から大流行し、現在46カ国で展開。ロンドンの中心街、オックスフォードストリートに店舗を構えます(しかもお隣はバーバリーです)。

日本語デザインがなんとも言えずおかしいですが、さらりと着こなしている人が多いため、だんだんおかしいとさえも思わなくなってきました。ちなみに日本語ロゴTシャツは他のブランドでもかなり見かけます。

一度オープンカーに乗ったイケメンが「暗殺者」と書いてあるT シャツを着ていた時は、流石に衝撃でした(なぜ写真を撮らなかったのか、いますごく後悔しています)。

⑤に続く
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MOMOKO YASUI
ロンドン在住編集・ライター。1983年生まれ。男性ライフスタイル誌、美術誌、映画誌で計13年の編集職を経て2018年渡英。英語のプレスリリースを読むのに膨大な時間がかかって現在仕事が非効率。