【特集IR】横浜市副市長が語る、IRが描く観光都市の未来とは?

毎日のように報道され、多くの人々の関心を集める IR 候補地の状況。そのなかでも有力な候補地である、横浜市の副市長に話を聞いた。

「成長・発展し続ける都市・横浜へ」

中華街やみなとみらい地区をはじめ、観光資源が豊富な横浜市。外国人観光客も多く財政的に潤っているように見えるが、実際はそうではない。

「横浜には年間約3600万人の観光客が訪れますが、そのうち87%が日帰り客。宿泊客が圧倒的に少なく、約50%が宿泊する東京に比べ消費額が大きく劣る」と、副市長の平原敏英氏。

企業が納める税金も東京に「持っていかれている」状態。横浜ゆかりの企業でも、実は「東京が本社」というケースは少なくない。さらに、高齢化も加速し、生産年齢人口の減少も見こまれる。

2065年には、高齢化率が現在の24.8%から35.6%に達し、生産年齢人口が、現在の約3分の2になり、社会保障費増や、税収減も予想されている。

「今でさえ、財政はカツカツ。収入を増やしていく手段のひとつとして、IR誘致に舵を切りました。滞在型観光地の魅力をつくり、収入を増やすためです」

建設の候補地は横浜港の山下ふ頭。47haの広大な敷地に、海辺の立地を生かした横浜市ならではのIRをつくる意向だ。

「IR=カジノ と思われている方も多いですが、施設全体でカジノを行える面積はのべ床面積のわずか3%。子供から年配の方まで誰もが楽しめるシアターや景色のいい公園をつくっていきたい。ふ頭という立地を生かし、クルーズ船と融合したエンタテインメントなども考えていきたいですね」

横浜市のIR誘致は将来を見据えた最善の策に思えるが、反対の声も多い。

「市民ひとりひとりと向き合い、説明していくしかありません。そのため、林市長自らが18区すべてで市民に対して説明会を行っています。誘致反対の大きな理由にギャンブル依存症問題が挙げられますが、方策は用意していきます。現在、日本にはパチンコ、競馬、競艇などの賭け事がありますが、依存症対策については、まだ十分とは言えない状況。IR誘致により、しっかりと対策を講じることで、依存症の数は減っていくと思います」

IR施設ができれば雇用が増え、失業率の改善も期待できる。そして何より、街が活気づく。質の高い福祉、教育、インフラ整備などを実現していくために、IR施設は必要なのだ。

Toshihide Hirahara
横浜市副市長。1958年新潟県生まれ。武蔵工業大学工学部卒業。都市整備局にて都市再生の基本計画や災害対策などに従事。戸塚駅周辺の再開発やみなとみらい地区の開発を手がけた。2016年より現職。

Text=川岸 徹 Photograph=五十嵐 真