「思春期で反抗的な態度をとる子供に、どう接すればいい?」 ~ 親子関係はアドラー心理学で解決⑦

仕事では実績を上げ、高い評価を受けているし、周囲からの信頼も厚い。ところが、相手が我が子となると、努力と成果がどうも見合っていないような……。前回、夫婦関係の悩みを、アドラー心理学をベースにズバリ解決してくれた熊野英一先生が、今度は親子問題をレスキュー! 


子供を信頼し、つかず離れず見守るのが得策

思春期を迎えた子供の多くは、親との接触を極端に避け、心を開かなくなる。これは、子供から大人へと成長する過程における、ごく自然な言動。親たる自分も通ってきた道だ、身をもってわかっている。それなのに、子供に反抗的な態度をとられるとカチンと来て、「親に向かってその態度はなんだ!」と声を荒げてしまったり、何も話してくれない子供が心配なあまり、「どうした? 何かあったのか?」と、執拗に追及してしまったり。

「それまでの親子関係にもよりますが、思春期は、子供が親離れしようとする時期。そこで、ムリに子供に関わろうとすると、ウザがられるだけです。ここは、つかず離れず、穏やかな気持ちで子供を見守りましょう」(熊野さん)

第一回(※リンク入る)で熊野さんが説明してくれた通り、子育てで必須なのは、親子間の信頼だ。気がかりなことや心配なことは多々あるものの、ここは子供を信頼し、そっとしておくのが賢明。「子供が、どんな態度をとろうが、まるごと受け入れるという気持ちも忘れずに」

対等な関係が築けていれば、反抗期は訪れない

思春期は、第二次性徴とも重なる。自分の身体の変化に戸惑うと同時に、心の成長が追いついていないことにイライラし、情緒が不安定になるという。そのフラストレーションを周囲、とくに親にぶつけることが多いため、「第二次反抗期」などとも称されるのだが、「それまでの親子関係が対等であれば、反抗期は起こりづらい」と、熊野さんは指摘する。

「子供が親に反抗するのは、自分の考えや主張を認めてほしいから。けれど、幼い頃から、親が自分を対等に扱い、意見を聞き、どんなことも主体的に選ばせてくれた家庭の場合、子供は、わざわざ親に反抗する必要はありません。結果、反抗期を経なくても、じゅうぶん大人へと成長できるのです」

ということは、反抗期がない=対等で、良好な親子関係が築けているということ?

「基本的にはそうなのですが……、反抗期がないケースにはもう1パターンあるんですよ。それは、子供が親に対して、自分の気持ちや考えを伝えられないケース。親が子供をコントロールし続けてきた結果、子供が親の気持ちを忖度(そんたく)し、親の意向に沿って行動するようになってしまう。つまり、親に刃向かうことができなくなっているのです。親からすれば、何でも自分の言うことを聞く"いい子"ですが、実は、自分で何も決めたことがない・決められない子なのです」

無免許で親になるのだから、事故が多発するのは当たり前

主体性が育まれないまま、大人になってしまったら……。自分で考え、決め、行動できない人間になる危険性が大。それどころか、親によって自主性を奪われたと気づいた時に、親への復讐心が芽生える場合も。それも、親が最も失望し、嫌がる形をとることが少なくない。だからこそ、どう子供と接し、育てるかが重要なのだ。

「もしも、これまで子供をコントロールしようとしてきたなら、今からでも遅くはありません。子供と対等に向き合って、話を聞き、子供が決めて行動することを見守ってください。時には、この原則を忘れて、頭ごなしに命令したり、感情的になって怒鳴ったりするかもしれません。子供と決めたルールを自ら破ってしまうことだってあるでしょうし、“勇気くじき”するような言葉をかけることもあるでしょう。そんな時は、素直に『お父さん、間違った選択をしちゃった! ごめん!』と、子供に謝ってしまえばいいのです。お互い信頼し、失敗した時は許容し合う。それも素敵な親子の関係だと思います。

親になるのに、試験はありません。みんな無免許で親になるのですから、“事故”が多発するのは当たり前。子供といっしょに、いろいろ悩み、経験を積みながら、父親として少しずつ成長していかれることを願っています」

Today’s Advice
子供と共に学び、経験を重ねながら、父親として成長すればOK

アドラー心理学とは
ユダヤ系オーストリア人心理学者アルフレッド・アドラー(Alfred Adler、1870-1937)が築き上げた心理学。個人とは分割できない存在であるという理論のもと、現代のさまざまな問題に具体的な解決法を与える実践的な心理学として、臨床現場はもちろん、学校や家庭や企業でも活用されている。


Eiichi Kumano
アドラー心理学に基づく「親と上司の勇気づけ」のプロフェッショナル。日本アドラー心理学会正会員。1972年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業し、メルセデス・ベンツ日本勤務の後、アメリカのインディアナ大学ケリー経営大学院に留学、MBAを取得。帰国後、保育サービス業などを経て、2007年、株式会社子育て支援を創業。著書に、『アドラー式働き方改革 仕事も家庭も充実させたいパパのための本』などがある。


『アドラー式子育て 家族を笑顔にしたいパパのための本』
熊野英一
小学館 ¥1,404


Text=村上早苗 Photograph=鈴木克典