アートブック? フィンランドのガイド本? 俳優・小関裕太の写真集がすごい!【未公開画像】

アイドルやスターの写真集市場。一昔前と比べると、大きな話題作が見受けられなくなった。それもこれもデジタルに駆逐された出版需要の凋落によるものと言ってしまえばそれまでだが、一般的な編集手法から離れることで、できあがるものも一味違ってくる。


クリエイターの共演で長く取っておきたい一冊に

ペーパーレス化の余波もあり、製紙会社の生産が激減。印刷業界では紙の入手が困難な状況にある今、「せっかく作るのであれば、できるだけ長く、手元に置いてもらえるような一冊に」というテーマで、このほど大手芸能事務所のアミューズが出版したのが、俳優・小関裕太の写真集『Kiitos! Yuta Koseki in Finland』。文字通りフィンランドで撮影した今作。Kiitos(キートス)とは現地の言葉で「ありがとう」を意味する。

第一にカバーはアートブックなどでよく見る布張り、瑞々しい水色は、今回のロケ地となったフィンランドの国旗にちなんだもの。グラフィックデザインは「白い立体」の吉田昌平が担当。今年、雑誌『POPEYE』(マガジンハウス)のアートディレクターにも抜擢され、紙にまつわるデザインにおいて実験的かつ繊細な作品を生み出す気鋭のクリエイターであり、字・紙・本を主な素材やテーマとし、コラージュ作品を発表してきたアーティストでもある。ニューヨークでもパリでもなく、フィンランドというアイデアは、撮影を担当し、ポートレート以外に世界各地のランドスケープを独特の透明感で捉えた写真集や写真展を積極的に発信し続けるフォトグラファー今城純の「フィンランドのムードや光が、小関にマッチする気がする」という提案を、本人が快く引き受けたかたちだ。

一方、写真部分の構成は「DAY 1」「DAY 2」……と完全に時系列とし、ページをめくるごと、読者も小関の旅を追体験できる手法を採っている。ロケ地に関してもただ美しい風景というだけでなく、フィンランドが世界に誇る20世紀の建築家アルヴァ・アアルトが妻と立ち上げた「ARTEK」のヴィンテージストアや、1873年創業の北欧を代表する陶磁器ブランド「ARABIA」のアーティストデパートメント、さらにフィンランド南西部沿岸の古都トゥルクではピクニック、ヘルシンキ郊外の湖畔では伝統的なスモークサウナなど、北欧デザインと「世界幸福度ランキング1位」=人と自然の豊かさというフィンランドの二大コンテンツを余すところなく伝えている。

そんな中で、現地のクリエイターたちと屈託なく触れ合う小関の人となりを感じさせる写真、旅の後半になるにつれてどんどん心が解放されていく表情の変化は、こちらまで胸がすくよう! おまけに終盤のインタビューパートでは、小関が訪れた全スポットの解説も付いていて、ちょっとしたフィンランド旅行カイドとしての機能も備えている。

一方で、小関の直筆サインとシリアルナンバーが入った数量限定のスペシャルエディションには、近年は海外でのインスタレーションも話題を集める「edenworks」主宰のフラワークリエイター篠崎恵美が、写真集の中にも登場するフィンランドの素朴な花々にインスピレーションを受け、一枚一枚制作した押し花のポストカードがインサートされている。

限定版のみにインサートされているedenworksによる押し花のポストカード。消印は本も手がけた吉田昌平がデザイン。

篠崎といえば、昨年末の紅白歌合戦で話題を独占した米津玄師の徳島からの生中継でステージの宙に作り上げた花のアンブレラも記憶に新しく、去年は他にも星野源のアルバム「POP VIRUS」でジャケットのクリエイションなども手がけているが、そうした撮影の後や、自身の花屋で売れ残った花々を棄てることに疑問を抱き、2017年にそれらをドライフラワーとして加工し販売する「EW.Pharmacy」を東京・代々木で始動。今回の押し花のポストカードもそれこそ棄てられるはずだった花々を活かし、一つとして同じものがないという。

なお、写真集の発売日である11月23日から11月29日まで、東京の「IDD世田谷ものづくり学校」を舞台に、写真も嗜む小関がフィンランドの旅を通じて愛用のカメラで捉えた写真展と、今城による写真展を2つの教室で同時開催。前者の会場では篠崎によるシンボルフラワーも展示される。

Yuta Koseki
1995年東京都出身。NHK『天才てれびくん MAX』(2006~’08年)などで子役としてキャリアをスタート。舞台『ミュージカル・テニスの王子様』('11~’12年)で注目を集め、以降もドラマ『ごめんね青春!』(’14年)『ホテルコンシェルジュ』(’15年などに出演。′16年には舞台『DNA-SHARAKU』でナオト・インティライミとW主演を務め、ミュージカル『わたしは真悟』(原作:楳図かずお)に出演。´17年には映画『覆面系ノイズ』、’18年には映画『ちょっとまて野球部』『曇天に笑う』『わたしに××し なさい!』、ドラマ『ゼロ 一獲千金ゲーム』などに出演し、NHK連続テレビ小説『半分、青い。』では個性的な役を演じた。′19年には映画『サムライマラソン』『"隠れビッチ"やってました。』、ドラマ『死亡フラグが立ちました!』などに出演し活躍の場を広げている。'20年には3年ぶりのミュージカル「四月は君の嘘」にも出演予定。


ヘルシンキのシンボルである大聖堂を背景にした左が通常版、小関がスナフキンに扮した右がスペシャルエディション。
小関裕太 3rd 写真集『Kiitos!~Yuta Koseki in Finland~ photo by Jun Imajo』
価格:通常版 ¥4000、スペシャルエディション版 ¥5000 (いずれも税別)
販売:アスマート、そのほか銀座 蔦屋書店、Artek Tokyo Storeなど(通常版のみ)取り扱い ※売り切れ次第で販売終了
発売/販売元:アミューズ
編集プロデュース:岡田有加(edit81)


Composition=岡田有加(edit81) Photograph=今城純 ※すべて写真集未使用カット、野口佳那子 ※書影