湘南セカンドハウス 至福の5者5様 Part.1

金曜日の夜に自宅を出て、湘南へと1時間強、クルマを走らせる。行き先は、鎌倉、逗子、葉山、茅ヶ崎か、はたまた、秋谷や佐島か。土日を湘南のセカンドハウスで過ごし、平日の疲れを癒やす。そして、月曜日の早朝に仕事場へと戻りながら、ビジネスの戦略を練る。そんな湘南の使い方をする、成熟した大人が明らかに増えている。湘南の独自のカルチャーに惹かれ、それを堪能する男たちの最先端な湘南ライフスタイルの大特集。これを読めば、きっと湘南での拠点が欲しくなるはず!

湘南セカンドハウス 至福の5者5様

都心から1時間ほどで来られる海沿いのリゾート、湘南に魅せられ、ついにはセカンドハウスを持つ。そんな自分の思いどおりのライフスタイルを過ごす仕事人たちの湘南での過ごし方を公開する。まずは、フラットフォー 代表取締役社長 小森 隆氏の湘南ライフを紹介。

People 01
フラットフォー 代表取締役社長
小森 隆
敷地を買い足し、遊び場を作り続ける

Takashi Komori
1946年生まれ。76年、空冷フォルクスワーゲンのレストア・販売を行う「FLAT-4」をオープン。今まで乗り継いだ旧車は100台以上。

1970年式エアストリームをプールハウスとして設置。宿泊もできるよう水道や冷暖房も完備している。テラスの裾にもアンティークの欄間を使用。ガゼボの地下には秘密の絶景バーが完成間近だ。

パームツリーに囲まれたプールとガゼボ、その向こうには続く水平線。とても日本にいるとは思えないこの場所は、フォルクスワーゲンのレストア・販売を手がけ、日本のビートル文化の祖ともいえるフラットフォー、小森隆氏のセカンドハウスだ。

「最初に見た時は、タヌキが住みついた古家があるだけの荒れ果てた土地だったんですよ」

何年も買い手がつかず、不法投棄のゴミさえあったという土地を、気に入った理由は明確。

「とにかく大自然が残っていたこと。さらに山の上なので、海を見下ろせる眺望が目の前に。こんな貴重なロケーションはないと思ったんです」

現在も山の上から下まで、敷地のほとんどが樹木に覆われている。そんなジャングルのような木々の間には、吊り橋が。

「移動するのに、木の間を渡ったほうが近道になるからね」

高いところは15m以上とスリル満点。途中にはツリーハウスもあり、少年ならだれもが思い描く冒険の森が広がっている。

崖の上のガゼボにはジェットバスも。「江の島から伊豆半島、富士山や大島も望めます。崖沿いに植えたレモンが生ったら、それを使ってここでジントニックを飲みたいです」

いつでも乗れるようクルマは常にチューンアップする

世界でわずか11台という1958年式ベントレーS-1マリーナコンチネンタルクーペをはじめとした名車が並ぶガレージ。

鹿児島の指宿(いぶすき)から運んだ大きなパームツリーの向こうには母屋が。1階のガレージスペースには、1964年式ポルシェ356-SCに1957年式ジャガーXK-140F.H.Cなど、マニア垂涎(すいぜん)のクラシックカーがずらりと並ぶ。どのクルマもピカピカに磨かれ、すぐにエンジンを始動しドライブできる状態に。

「クルマは飾るものじゃなく、使うもの。ここに来たらいつもクルマをいじってますね。使わないとダメになるし、古いからこそ、きれいにしないと」

MG-TDで来て帰りは縦目のメルセデス・ベンツで帰る、そんな贅沢な楽しみ方もしているそうだ。なかでもお気に入りは「もう僕の身体の一部」という54年前に購入した1959年式のトライアンフTR3-A。当時はこのクルマに10フィートのロングボードを積んで、毎週この湘南に通っていたそう。しかし2シーターでは友人を乗せられないと、手に入れたのが4人乗りのフォルクスワーゲンの空冷ビートル。

ここにいるとやりたいことがどんどん出てくる。遊びはエンドレス

窓からダイヤモンド富士も望めるリビング。壁際の1920年代のバックキャビネットとバーカウンターは、重すぎてクレーンを使って設置したそう。

「それをチューンアップしたくて、パーツを探したり作ったり。それが今のビジネスをスタートしたきっかけなんです」

奥にはバーカウンター、壁にはアンティークの看板やニッパー犬にジュークボックスと、クルマをはじめ、すべてお気に入りのものが詰め込まれている。

母屋の2階は、80畳ものリビングルーム。壁や窓に使われている古い欄間(らんま)や昭和初期のガラス、昔の旅館の手すりや蔵の扉、電傘などもすべて小森氏が集めていたアンティーク。セカンドハウスを作る際に自ら指示してひとつひとつ配置を決め、この空間を作り上げた。

敷地内の木々をつなぐ吊り橋。大人でもわくわくする冒険の森。

「クルマもアンティークも同じ。好きなものを集めたら、置いておくだけではなく全部生かしてあげるのが、一番幸せな使い方だと思うんです」

各室内には、ジュークボックスが置いてあるのも面白い。

「自分の好きな場所で、好きな曲がすぐにかけられる。それが最高の時間なんです」

好きが高じてそのコレクションは130台以上。ついには4年前から販売・修理を行う店舗も始めてしまったそうだ。

実は敷地内には防空壕も。崖をゴンドラで降りたところに、約2年かけライブハウスや茶室、檜風呂、ワインバー、さらには適度な温度と湿度を生かしワインカーブも造ってしまった。

防空壕をワインカーブにするほどのワイン好き。ここでよく飲むのはルーチェのセカンドワイン「ルチェンテ」。

現在も敷地内のさまざまなところに手を加え、完成間近なのが富士山を望む絶景バー。

「崖の上に作る予定でしたが、建物で景観を壊したくない。ならば、地中に作ろうと」

ガゼボ横の階段を下り、古い鉄扉を開けると、窓に広がるのはサンセットと富士山。そんな絶景バーが出来上がる予定だ。

自ら徹底的に追及するそれが遊びの神髄

小森氏にとって、ここはただのんびりする場所ではない。訪れればクルマは必ずエンジンをかけてチューンアップ、家具のレストアも徹底的に行う。さらに驚くのは、敷地に植えるパームツリーも自ら栽培。「種から僕が育てています。どこに配置しようかと考えるのも楽しい。来るたびに植えているんですよ」と温室まで造ってしまった。

温室では約500本のパームツリーを栽培。

やると決めたら、絶対に可能にする。仕事でも遊びでも変わらない、そのスタイルは奇しくもビジネスのきっかけにもなった湘南の地に建つ、このセカンドハウスを見ればわかるはずだ。

温水プールに吊り橋、ガレージや防空壕まで、これらはすべて「何があったら楽しいだろう?」という小森氏の遊び心が生んだもの。現在もバーのあるツリーハウスをプール横に計画中。最近は隣地を買い足し、敷地はなんと3,500坪に広がった。

「ここにいるとやりたいことが、どんどん出てくる。遊びはエンドレスですからね」

小森氏の宝物が詰まったこの場所は、終わらない夢をかなえる大人の遊び場なのだ。

ギター・コレクションも多数。思い切り音を出せるのも、この場所ならでは。

Text=牛丸由紀子 Photograph=内田裕介(P1)、辻谷 宏(Nacása & Partners/P2-P9)

*本記事の内容は16年7月取材のものに基づきます。価格、商品の有無などは時期により異なりますので予めご了承下さい。 14年4月以降の記事では原則、税抜き価格を掲載しています。(14年3月以前は原則、税込み価格)

2016.8.24