アンチエイジングの第一人者が明かす! 生涯現役のコツはポジティブ思考にあり

長きにわたり第一線で活躍し続ける、生涯現役を地でいくパワーの源は何なのか? 医学的見地からその秘密を解き明かすーー。

ポジティブ思考は、いい生活習慣との関係性が高い

「生涯現役でいるための3つの基本は、運動、適切な食事、そして“ごきげん”でいること、いわゆるストレスマネジメントです」と言うのは、医学でアンチエイジングを解き明かすべく、日本で最初のアンチエイジング団体「日本抗加齢医学会」創設メンバーのひとり、坪田一男先生だ。

「日常的に身体を動かす人は脳機能にいい影響を及ぼすということはさまざまなデータでも明らか。筋トレやエアロビクスのような心拍を上げる運動のほか、バランス能力を高めるエクササイズやストレッチなども組み合わせれば効果的です」

食事は栄養バランスはもちろんのこと、タイミングも大事だ。

「食事は脳を覚醒させるので、良質な睡眠のために夕食は就寝3時間前までに。もちろん朝食は必須です」

なかでも重要なのが、3つめのストレスマネジメント。坪田先生いわく「ごきげんに生きる」というポジティブな思考だ。一種の感情論のように聞こえるが、実は数々の科学的検証とともに“ポジティブサイコロジー”として、世界的に確立されている研究分野のひとつ。

「日本でも厚生労働省の研究班の論文では、生活を楽しんでいると答えた人ほど、脳卒中や心血管疾患による死亡リスクが低いという結果でした。さらに生活を楽しむ意識が高いグループは、運動習慣を持つ人が多く、喫煙習慣を持つ人が少ないというデータもあり、ポジティブな心の持ち方はいい生活習慣との関係性も高いのです」

その影響は体内の変化にも現れる。

「ストレスで増加するコルチゾールというホルモン。その濃度が高い状態が続くと、免疫力が低下したり、長期的には脳の記憶力低下にもつながるという研究データがあります。同じ環境でも、ストレスと感じているか、幸せと感じているかで、身体の状態も如実に変わってくるんです」

ではそんなポジティブ思考であり続けるために、誰でもできることがあれば知りたいもの。

「例えば寝る前に3つのいいことを書き記すこと。続けることで脳が常にいいことを探そうとする神経ネットワークが形成され、何事もポジティブに考えやすい脳がつくられていきます」

また、目にもアンチエイジングの鍵が。眼科が専門の坪田先生によれば「脳の情報処理の90%以上は目から得たもの」という。

「目は脳の出先機関と言われるように、脳神経の多くが眼球の動きや視覚に関っています。目から多くの情報が入るということは、それだけ脳をたくさん刺激しているということなんです」

さらにモノを見るだけではなく、目から入る光の効果も。

「光の刺激で脳の体内時計が朝だと感知し、身体を日中のモードに整えます。さまざまな病気のリスクが高まると言われている体内時計の狂いにも、目は深く関わっているんです」

とはいえ、目に見えないウイルスという敵との闘いが続く今。未曽有の社会環境の変化のなかストレスは常に降りかかる。

「そんな時は脳をだませばいいんです。口角を上げて作り笑いをすると、今自分は楽しいんだと脳が勘違いすることもわかっています。だからイライラしたり不安な時は、敢えて笑顔をつくる。それが恒常的なポジティブ思考へとつながるんです」

ネガティブな感情を捨て、常に前へ前へと進む気概を脳に与え続けよう。

Kazuo Tsubota
1955年東京都生まれ。慶應義塾大学医学部眼科教授。日米の医師免許を取得し、米国ハーバード大学に留学。日本ポジティブサイコロジー医学会の創立メンバーでもある。

Text=牛丸由紀子