【特集IR】IRってどこにできるの? 候補地の決定は早くて2021年後半!

IR実施法が成立したことで、自治体による誘致合戦がいよいよ本格化する。最初の設置が認められるのは最大3ヵ所だけに、自治体同士の候補地争いは過熱しそうだ。


IRを誘致する条件とは!?

昨年11月29日、北海道の鈴木直道知事が、国へのIR区域認定申請を今回は見送ることを急遽表明した。道央に位置する苫小牧市がIR誘致に積極的なことはよく知られていたが、なぜ、北海道の意向で申請が断念させられたのか。

それは、最大3ヵ所まで認定されるIR誘致の主体になれるのが、都道府県か政令指定都市と決まっているからである。政令指定都市でない苫小牧市は、市単独での申請はできないのだ。

現在、日本初のIRが開業する有力候補地は下の図の6ヵ所に絞られた。東京都のように現時点では誘致方針を明らかにせず、検討中にとどめている区域もあるが、国への申請期間は来年(1月から7月なので、まだどうなるかはわからない。意見をまとめる猶予は十分にある。

誘致レースをリードしているのは、大阪府/市。今年6月ごろにはIRオペレーターの選定まで進める予定だ。国がIR認定の評価基準に挙げているのは、優れたコンセプト日本の魅力を伝える施設オペレーターの財務力地域との良好な関係構築など。大阪府/市がこれらをどう引きだすことができるか。まずは パイオニア” の動向に注目が集まる。

日本の成長起爆剤「統合型リゾート」

国土交通省・観光庁は2017年4 月に「観光立国推進基本計画」の改定版を発表。東京オリンピックが開催される今年は、訪日外国人観光客数を4000万人の大台に乗せる、という目標を掲げた。

’13年に1,036万人だった訪日外国人観光客数は右肩上がりで増え続け、’18年には3,119万人に。’19年は韓国からの客が減少して伸び悩んだものの、オリンピック効果で目標達成も可能な状況になっている。

問題はそのあと。観光立国を実現させるためには、新たなキラーコンテンツが必要になる。そこで早くから着目されていたのがIR=統合型リゾートだ。

日本版IRの見本となるのは’10年に2つのIRを開業させたシンガポール。’08~’09年には減少傾向だった同国の観光客数と観光収入は、IRのおかげで勢いを取り戻した。’09年に約126億シンガポールドルだった観光収入は、’16年の段階で倍増!  日本でも経済成長の起爆剤としてIRに大きな期待が寄せられるのも当然だ。

【東京都】7月の都知事選後に注目!ポテンシャルはピカイチ

誘致は検討中。しかし、官民連携チームからは「青海」地区でのIR提案を含む「東京ベイエリアビジョン」が出されるなど、準備は進んでいる。もちろん、候補地としてのポテンシャルはダントツ!7月5日投開票の都知事選が終われば、大きな動きがありそうだ。

【神奈川県 横浜市】数多くの海外オペレーターが狙う激戦区
国内有数のウォーターフロント。山下ふ頭での開業を目指し、林文子市長を中心に、反対派住民とのギャップを埋める取り組みが続く。「ラスベガス・サンズ」「ギャラクシーエンターテインメント」ら、7 つの事業者がコンセプト提案に応募している激戦区。春には事業者選定に取りかかる。

【愛知県 常滑市】県内で候補地が競合!?中部国際空港島がライバル
国内外問わず、アクセスの利便性が魅力の「中部国際空港島」。県内には名古屋市内の「名古屋港ポートアイランド」を推す声があるものの、河村たかし同市長が三重県桑名市への誘致を言及するなど迷走気味。県内でふたつの市が競合する可能性も。

【大阪府 大阪市】日本初のIRは大阪!? ’25年春の開業を目指す
予定地は大阪湾の人工島「夢洲(ゆめしま)」。’25年大阪・関西万博の決定も後押しに、このエリアを一気に整備する計画だ。すでに事業者選定の募集要項まで発表しており、今年6月にはその結果が出る。オリックスとともに「大阪オンリー」を打ちだすMGMリゾーツが一歩リードか。

【和歌山県 和歌山市】ラグジュアリー色の強いIRに
候補地の「和歌山マリーナシティ」はテーマパーク「ポルトヨーロッパ」を含む人工島。ラグジュアリー層に強い海外事業者が興味を示しており、コンパクトでもクオリティの高いIRができる可能性がある。国の基本方針が決定されしだい、県も実施方針を策定する準備が進む。

【長崎県 佐世保市】「地方型IR」枠の獲得へ用地は確保済み
長崎県・佐世保市を “オール九州” でサポートする体制が整っており、本気度が高い。候補地は「ハウステンボス」。昨年末には県から「九州・長崎IR基本構想(案)」が示され、パブリックコメントを実施するところまで手続きは進んでいる。九州の玄関口=福岡空港からのアクセスが鍵。

Text=片山 真 Illustration=阿部伸二