“ごみゼロ”の上勝町で、何もない贅沢を学ぶ宿「HOTEL WHY」【ゲーテ旅特集2020】

豪奢な造りや調度品の代わりに、突き抜けた個性やコンセプトを持つ新しいカタチのホテルが誕生している。ラグジュアリーの真価とはどこにあるのか、滞在しながら今一度考えてみたい。

廃材で造られたとは思えない落ち着いた雰囲気のホテル

四国山地から徳島県に流れこむ勝浦川の上流、緑濃き山々に囲まれた上勝町に今年5月にオープンしたのが、ゼロ・ウェイストアクションホテル「HOTEL WHY」。

ここは日本で初めて「ゼロ・ウェイスト宣言」を行い、45種類の分別など、さまざまなごみゼロ化の取り組みを行っている上勝町の理念を具現化したようなホテルだ。

設計を担当したのは、注目の若手建築家・中村拓志氏。

名前の由来は、「なぜゴミを捨てるのか?」という問いかけ。町の人がゴミを持ち寄る収集所に隣接するホテルという発想も大胆だが、そのホテルの建物を町の人から集めた資源や廃材で造ったことにも驚かされる。

だが、全4室、メゾネットタイプの部屋は、それとは思えない洗練されたデザインでゆったりとした雰囲気。

ホテルがある「上勝町ゼロ・ウェイストセンター」ではSDGsなどについて学ぶことができる。

美しい山々を眺めながら、涼やかな風が通り抜ける部屋で鳥や虫の鳴き声を聞いていると、本当の贅沢とは何かを改めて考えさせられる。

ふかふかのベッドはない。ガラス張りのバスルームも露天風呂もない。高級ワインもないし、有名シェフもいない。それでもどんなホテルよりもぐっすりと眠り、気持ちのいい朝を迎えることができる。

新しい時代のラグジュアリーのヒントがここにある。

ホテル ホワイ
住所:徳島県勝浦郡上勝町大字福原字下日浦7-2
TEL:080-2989-1533
客席数:4室
料金:ひとり¥11,000~(4名1室利用時、朝食つき、税込)
施設:なし
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Text=代々木 元 Photograph=松本 昇